【駒込~東京(約11.2㎞)】
新幹線、京浜東北線、日暮里舎人ライナー、中央線……いろんな街の、いろんな鉄道と出会える区間
駒込~田端(約1.9㎞)
駒込駅のホームから聴こえる「さくらさくら」に背中を押される。発車メロディーとして採用されているのは、駒込がソメイヨシノの発祥の地だからだそうだ。
駒込駅を発ち、まず一気に下る。街を走る際、下りは楽に走れてうれしいような、その後に上りが待っていそうで怖いような……と複雑。そう考えていたら、やっぱり上り始めた! とはいえ、高低差をこなせれば気持ちよく走れるコースが続く。
上った先で眺められる、田端駅へ向かう線路のカーブや、いろんな鉄道が交差する感じが好きだ。
途中、新幹線がこれでもかと勢揃いしている光景を目の当たりにできた。
田端~西日暮里(約1.1㎞)
走っているとより感じることだが、駅が造られる場所、街として栄えるエリア、人々が暮らすエリアなどと地形は、切っても切り離せない関係があるらしい。
田端駅を出発すると、いったん下って、まただらだらと上る。繰り返されるアップダウン、さんたつ編集部なら、走るときも起伏を楽しもうじゃないか(自分に言い聞かせるように)。西日暮里駅までのラストの直線は、線路と線路の間を「ランナーのための道か?」と思うほど、なんの障害もなく走れる。
西日暮里~日暮里(約0.8㎞)
西日暮里から寄り道するとすれば、谷根千エリアだろうか。走ってみたことはないが、見どころは多そうだ。
西日暮里から日暮里はとにかくあっという間。途中に踏切があるので、焦らず電車の通過を待とう。
居並ぶお店の雰囲気から、なんとなく、東京の東側へ来たなという印象を受ける。
日暮里~鶯谷(約1.0㎞)
存在感を放つ日暮里駅に別れを告げ、鶯谷へ向け、大きな通りにコースチェンジした。その通りが平坦な道のりで、道幅もほどよく、山手線一周の中でも屈指の走りやすさ!
鶯谷駅が近づいてくる。駅の写真を撮ってもよかったが、代わりに『信濃路』にカメラを向けてみた。筆者も何度か利用したことのある、大衆酒場。中華料理から定番メニューまで150種類以上の豊富なメニューが壁に張り巡らされている。
鶯谷~上野(約1.5㎞)
鶯谷駅前はらしさが健在で安心するが、気持ち的に少し走りづらさがある。
通り沿いに戻ると、東京スカイツリーが大きく眼前に現れた。走っていけばすぐたどり着きそうな気がするが、実際はかなり距離があるだろう。
入谷口通りに進路を取る。平坦かつ道幅も広めで走りやすさ◎。
上野駅に通じる上り坂に挑戦してみた! 前傾姿勢で一歩ずつ踏みしめて、推進力を生みだすイメージで。忍耐強く上っていった先はとても見晴らしがいいので、がんばり甲斐がある。
上野公園を横目に、駅にたどり着いた。多くの人でにぎわう。日が暮れかけていた。
上野~御徒町(約1.1㎞)
上野駅周辺(アメ横、京成上野駅の方)は混雑していることがほとんどで、当然スピードを出せるコースではない。アメ横や「鈴本演芸場」など、上野らしい景観を見て楽しみながら走りたいところだ。
距離としては短い。上野公園に寄り道してみるのも楽しそうだ。
御徒町~秋葉原(約1.1㎞)
御徒町からは高架下をずっと走っていける。飲み屋、カフェ、中華……などなど、このあたりも惹かれるお店が軒を連ねる。
さまざまな人が行き交う街の空気を感じつつ、夜の濃い青を裂いて進む電車とともに、秋葉原駅まで走り切ることができた。
秋葉原で寄り道するなら、神田明神だろうか。男坂はかなり鍛えられそう。秋葉原を起点に、御茶の水方面、あるいは浅草橋・両国方面へ走ってみるのも魅力的だ。
秋葉原~神田(約1.0㎞)
秋葉原駅からすぐ、万世橋を渡る。走っているといろんな橋に出会うことができる。
この区間は時間帯にもよるかもしれないが、休日は人通りもまばらで、自分のペースを守れるのがいい。
この区間を走るときは、日本橋あたりに足を伸ばしてみるのもありかもしれない。
いよいよ最終区間へ突入する!
神田~東京(約1.7㎞)
想定していたよりも時間がかかってしまい、すっかり夜になった。日が暮れてからのランニングは体感温度も下がるため、体を冷やさないよう、無理は禁物だ。
神田から東京にかけては道幅がかなり広く取られており、軽快に足を運べる。
三越前まで来た。箱根駅伝の10区同様、ここからラストスパート!
果てしなく感じられた山手線一周、大型バスが列をなす東京駅前までやって来られて、「帰ってきた……」という感慨を覚えた。
ランニングステーションで汗を流したら、自分へのご褒美に、一杯飲みに行こう。いつもよりもおいしく感じられるのは間違いない。
【まとめ】山手線一周ランニングに挑戦してみて
駆け抜けてきた山手線一周を振り返ってみる。
東京駅から走り出し、人通りの多い街中から、浜松町~田町駅間まで来ると、かなり落ち着いて走れるようになった。田町から高輪ゲートウェイ、その先の品川までは平坦な道をまっすぐに進める、明快なコースだ。品川~大崎駅間の新八ツ山橋の交差点は、箱根駅伝ファンならきっと気持ちが高まるだろう。
渋谷、原宿、新宿駅周辺は当然いつもにぎわい、注意が必要だ。一方で、街の変化をたどれ、どんな人たちが行き交っているのかがわかって、興味深い。
西武新宿駅から新大久保駅、さらに高田馬場駅までは線路沿いの道がまっすぐ続き、とても走りやすいのでおすすめだ。目白駅手前の最後の上り坂や、池袋~大塚~巣鴨のアップダウンは鍛えられる。
今回の駒込~東京編実走の模様をお届けした中では、田端から西日暮里駅間、そして日暮里から鶯谷駅間が特に走りやすかった。下町っぽさから繁華街へのグラデーションも、街を走る楽しさだと感じた。
東京の多種多様な顔を見られた、40㎞超の道のり。街それぞれの表情、川や高低差を含めた地形、変わりゆくエリア、変わらない安心感。自分の足でしっかり踏みしめたことで、各街への愛着は自ずと増していた。
【はみだしコラム】④ランニングの魅力
ランニングの魅力はなんだろうと、ときどき考える。
体が引き締まる。ストレス解消になる。走り切ったときの達成感を得られる。ごはん・お酒がよりおいしく感じられる。など、いい面がいろいろと思い浮かぶが、何よりも簡単に、誰でもできる点がいいと個人的には感じている。
ちょっとした隙間時間に、1人でもマイペースにできる。他のスポーツのように、必要な人数はない(誰かと走るのももちろん楽しい)。
コスパがいい。運動しやすい服装、走りやすい靴さえあれば、今からでも始められる。どんなスポーツよりもお手軽に体を動かせると感じている。
また、いつスタートしても、成長、上達できる。走れる距離が伸びていったり、タイムがじわじわと上がっていったり……それは若くなくても、成長を感じる瞬間が必ず訪れる。マラソン大会に参加すると、あらゆる年代、性別の方がいて、誰にでも門戸が広く開かれているなと実感する。
最後にあげるとすると、走っている中で訪れる多幸感、爽快感がクセになる。「ランニングハイ」という言葉もあるが、走っていると気持ちよく走れる瞬間がふとやって来て、それまでつらかった分クセになる。純粋に爽やかな感情を覚えられるところがいいと思っている。
みなさんにとってのランニングの魅力はなんでしょうか?