さんたつサポーターオススメコメント
(Akiratnev さん)
静岡の塩辛屋が展開する日本酒バーなので、常時40種類近くの塩辛が味わえます。他の料理も充実しています。以前、大根に入れた飾り包丁で、Twitterでバズッたことがあるお店でもあります。

定番に留まらない塩辛の新たな可能性

神田駅や秋葉原駅から歩くと、マーチエキュート神田万世橋の一番奥にある杉玉が目印。

目指す酒場『駿河屋賀兵衛 神田万世橋店』は、旧万世橋駅遺構を再利用した商業施設『マーチエキュート 神田万世橋』の最奥にある。渋い煉瓦アーチの遺構に、アルコール分ではなく、まずは“鉄”分をチャージ。
お店はカウンターのみで全13席。塩辛でしっぽり一杯やるには、これぐらいの広さがちょうどいい。暖かくなると店前にテラス席も出すそうだ。

代表の渡邊悠さん。塩辛作りや日本酒とのペアリングへの探求心がすさまじく、勝手に塩辛王子と命名。

品書きに目をやると、色とりどりの塩辛が40種近くも! ニシンやずわい蟹、バジリコ風味など斬新な塩辛もあり、気になる~。「もともと両親が地元・静岡県富士市にある道の駅富士で地場産品を販売してたんです。そこで、静岡の味覚を使い、もっと魅力的なものを売り出せないかと考えたのが生シラスや桜エビを使った塩辛なんです」と代表の渡邊悠さん。

分かっちゃいるけど、日本酒と相思相愛なんすよ

800円以下の塩辛を5つ選べる大名セット1500円と死神純米120mL 800円。

店の名物・生シラスの塩辛をまずは一口つまむと、シラスのプリプリ食感とワサビの鮮烈な辛さが早速日本酒を誘う。塩辛王子推薦、島根は加茂福酒造の死神純米と合せると、旨口で米のほんのりとした甘みが、塩辛の塩味と抜群に合い、思わずエビス顔。「合うでしょ(笑)?  近海で獲れて1時間以内に帰港する静岡の新鮮なシラスじゃないと、この食感は出せないんですよ」。

特注の箸は、先が細く長いので塩辛をつかみやすい。

渡邉さんの塩辛への想いは深い。例えば暁(あかつき)600円は、一度イカを天日干した後、肝やお酒などに漬け込み三カ月も低温熟成させるので、うまみが濃厚!(通常は二週間程度) 箸は、小ぶりでぬるっとした塩辛をつかみやすいよう、先端が極細になったものを京都の会社に特注しているという。ほかにも「地元静岡の茶葉を使った塩辛も作ってみたけど人気が出なかった」など、塩辛愛の深さから出るよもやま話も、酒のつまみとなる。

怒涛の静岡尽くし!

生シラスなめろう600円、静岡おでんおまかせ5種盛合せ1080円、小夜衣(さよごろも)顔(かお)特米120mL 700円。

「塩辛だけじゃなく、静岡の食材を使った一品料理もたくさん用意してるんですよ」と渡邊さんに促され、品書きを見ると、静岡おでんや伊豆鹿のジビエ料理、ニジマスの昆布〆など、うまそうな酒肴がずらり。生シラスのなめろうを頼み、ちびりと舐めると、品のあるうまみと大葉の香りが口に広がる。余韻が残るうちに、静岡県菊川市の小さな酒蔵・森本酒造が醸す小夜衣 顔 特純を流し込めばうまみが膨らみ、笑顔咲く。

選べる塩辛茶漬。写真の塩辛は楽杯(がくはい)で780円。

杯を重ね、笑顔が咲き過ぎたせいか頬が赤く染まってきたので、そろそろ〆の一品を。品書きに小さく「茶漬」の文字を発見、注文すると「のせる塩辛を選べますよ」と渡邊さん。イカとカツオを同時熟成させた楽杯を選んで待つこと数分、お盆に丼と急須が仲良く並んで登場。急須を傾け、静岡の緑茶とドンコやイリコで引いた出汁を塩辛にぶつけるように注ぐ。スプーンでかっこめば、パンチのある塩辛の辛さや香りが上品なお出汁でマイルドになり、ユズの香りの余韻を残して喉をするりと落ちてゆく。〆の一品まで「塩辛の楽しさ」を感じさせてくれた駿河屋賀兵衛。奥深し、塩辛道!

『駿河屋賀兵衛』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田須田町1-25-4マーチエキュート神田万世橋/営業時間:11:00〜22:00(日・祝は~21:00)/定休日:奇数月の第一月/アクセス:JR・私鉄・地下鉄秋葉原駅から徒歩4分

取材・文・撮影=鈴木健太