おでん種専門店の大阪屋では2021年10月からネット通販「おでん専門店大阪屋ONLINE」を開始している。クレジットカード決済や配送日時の指定が可能となっており、セット販売はもちろん単品での注文にも対応しているので非常に使い勝手がよい。今回実際にオーダーしてみたので、レポートにまとめてみた。

昭和11年(1936)から荒川区西尾久で営業を続ける大阪屋

大阪屋は今から85年以上前の昭和11年(1936)に創業した。現存する東京の蒲鉾店(おでん種専門店)でも老舗の部類に入る。

創業者の小林猪佐夫さんが関西地方で修業を積んだ後、荒川区西尾久(小台)で開業した。現在は3代目となる木下久子さんがおでん種を手づくりしている。

イトヨリダイのすり身とクロカジキ(クロカワカジキ)を中心として作りあげた揚げ蒲鉾は、魚の旨味をしっかり味わえる。現在も石臼を用いた昔ながらの製法にこだわっているが、「イタリア揚げ」など新しいおでん種も次々に開発している。はんぺんや魚のすじも手づくりしており、伝統的な原料魚であるアオザメとヨシキリザメを使用している。

大阪屋オリジナルのおでん種「イタリア揚げ」。
大阪屋オリジナルのおでん種「イタリア揚げ」。

2021年10月8日からネット通販を開始したが、同時にWebサイトのリニューアルも行った。おでん種の紹介や営業カレンダーの掲載もしているので、店舗に訪れる際に利用するといいだろう。また、以前からFacebookで情報発信も行っている。

豊富な種類のおでん種が揃う大阪屋のネット通販

それでは、さっそくネット通販を行ってみよう。まずは通販サイト「おでん専門店大阪屋ONLINE」にアクセスする。

初めて利用する場合は、上のメニュー(モバイルの場合はハンバーガーメニュー「≡」)から「初めてご注文される方へ」へ移動して通販に関しての注意事項を確認しておこう。

販売商品は自宅調理用のおでん種、つまり煮る前(生のもの)となり、チルド便での発送となる。発送までは5日ほど必要になるので、おおよそ2週間前にオーダーすれば間違いないだろう。なお、食品のため返品や交換は受け付けていない。

次に上メニューの「ご注文はこちら」から商品選択ページに移動しよう。商品は大きく分けて2つ、おでん種セットと単品のおでん種がある。種類が多いので「なにを選んでいいのか分からない」という方は、セットを注文することをおすすめする。

単品のおでん種は30種類ほどあり、おでん汁の素やからしなども揃っている。それぞれの商品を選択すると詳細説明が表示され、特徴や原材料、写真などが確認できる。

必要な個数を選択して「注文に追加する」ボタンを押せばカートに追加される。カートは右上のアイコンを押すとページが表示される。個数の調整や不要商品の削除を行ったら「レジ」ボタンを押して決済に進む。

レジでは必要事項をすべて入力し、配送日時の指定は「販売者へのメモを追加」欄に入力しよう。配送料はすべての項目を入力して「注文する」ボタンを押すと合計金額に追加されるが、この時点では決済は確定していない。問題なければ再度「注文する」ボタンを押して支払いを完了しよう。

決済処理に問題なければ、メールで注文完了とレシートが自動送信される。その後に店舗から配送の伝票番号などを伝えるメールも送られてくるのでよく確認しておこう。

ネット通販した大阪屋のおでん種を味わう

待つこと数日、大阪屋のおでん種が指定した時間どおりにチルド配送で到着した。箱を開けると注文したおでん種が丁寧に梱包されていた。

おでん種がポリ袋に小分けしてあり、型崩れせずに作りたての美しい形をとどめている。箱の下には美しい絵柄の包み紙が敷いてある。

おでんの美味しい作り方も同梱されていた。煮えにくいものから鍋に入れてひと煮立ちさせた後、揚げ蒲鉾を入れて蓋はせずに30分ほど弱火で煮る。製造日も記載してあるので保存の参考にしよう。

今回は12種類注文した。時計回りに12時から、餃子巻き、ウインナー巻き、お好み揚げ、人参ひじき揚げ、イタリア揚げ、生揚げ、うずら巻き、チーズ巻き、ごぼう巻き、いか巻き、とうもろこし揚げ(中央左)、レンコン揚げ(中央右)。

今回は揚げ蒲鉾ばかりを注文したが、ちくわぶやこんにゃく、結び昆布などおでんに必要な具材はほとんど揃っている。また、顆粒のおでんの素や粉からしも販売している。大根や玉子は自分で用意しよう。

同梱されていた説明書に従って、煮えにくいものから鍋に投入し、最後に揚げ蒲鉾を加えて完成させた。

イタリア揚げは大阪屋オリジナルのおでん種。玉ねぎ、ベーコン、ピーマン、ナチュラルチーズ、バジルペースト、ガーリックペーストなどが贅沢に盛り込まれている。バジルの風味がとてもよく、ベーコンやチーズ、ニンニクがあとをひく美味しさだ。

お好み揚げは紅生姜と玉ねぎ、イカが入っている。ふっくらとした魚のすり身に清々しい生姜の香りがとてもよく合い、イカは味に深みを与えている。

人参ひじき揚げは千切りした人参とひじきがふんだんに混ぜ込まれている。やさしい人参の甘みがなんともいえない。ボリュームがあるサイズなので、これだけで満足感を得られることだろう。

とうもろこし揚げにはたくさんのとうもろこしが混ぜ込まれている。ひと粒ごとにしっかり甘みがあり、魚のすり身にもよくマッチしている。子どもにもきっと喜ばれるだろう。

レンコン揚げは厚く輪切りにしたレンコンと白ゴマが入っている。しゃきっとした歯触りとゴマの香ばしさが楽しめる。このおでん種はお客さんのリクエストで生まれたらしい。

餃子巻きは国産の具材をふんだんに使用した餃子が丸ごと入っている。豚肉と鶏肉の餡から旨味がにじみ出て、おでん汁と見事に融合する。ニラやニンニクが入っているが、癖がなく非常に食べやすい。

ごぼう巻きはおでんに欠かせない定番のおでん種だが、大阪屋では大きめに切られた国産のゴボウが入っている。ゴボウ特有の歯触りと香りが残っている。

うずら巻きも国産のうずら卵を使用しており、丁寧に成形されている。しっとりとした味わいで、鶏卵とはまた違った魅力がある。

ウインナー巻きはJAS特級のウインナーを使用している。JAS特級は「原料肉に豚肉・牛肉のみ使用できて、でん粉などの結着材料が一切入っていないもの」を指す(参考:伊藤ハム「お肉百科」)。昔懐かしい定番のおでん種でありながら、素材選びに余念がない。

チーズ巻きは魚のすり身にナチュラルチーズが入った子どもに人気のおでん種。とろりとした芳醇なチーズのコクが魚のすり身によく合う。

いか巻きは魚のすり身にスルメイカが入っている。柔らかくて歯切れもよいが、イカの旨味はしっかり感じられる。大阪屋ではいか巻きのほかにげそ巻きも揃えており、こちらもスルメイカを使用している。

生揚げはおでん用に作られたものだ。おでん汁をたっぷり含んでおり、ふくよかな味を楽しむことができる。豆腐や油の旨味もしっかり生きている。

ネット通販で気に入ったら、店舗への訪問もおすすめ

ネット通販では自宅調理用のおでん種のみの販売となっているが、店舗では調理済みのできたておでんを購入することができる。

大山鶏の鶏ガラから出汁をとったおでん汁で煮込んでおり、非常にまろやかで深みのある味わいとなっている。大根やつぶ貝、アカニシ貝などネット通販では味わえないものもある。

なお、できたておでんについては「大阪屋のできたておでん」をご覧いただきたい。

大阪屋の近くにある小台橋から隅田川とあらかわ遊園を望む
大阪屋の近くにある小台橋から隅田川とあらかわ遊園を望む

店舗では店主ご夫婦との会話を楽しみながらおでん種を選ぶことができる。また、都電に乗ったり、リニューアルしたあらかわ遊園などを見てまわるのも楽しいだろう。

店舗の様子は「大阪屋のおでん種」という記事を参考にしてほしい。

ネット通販によって、全国各地で大阪屋のおでんを味わえることをうれしく思う。原料や製法にこだわったおでん種の数々をぜひ堪能してもらいたい。

おでん種専門店大阪屋の基本情報

おでん種専門店大阪屋
〒116-0011 東京都荒川区西尾久3-22-15
03-3893-7937
定休日:日・祝
営業時間:10:00~19:00

大阪屋のWebサイト https://oden-oosakaya.com/
大阪屋の通販サイト https://my-site-108805-103793.square.site/
大阪屋のFacebook https://www.facebook.com/oosakayaoden/
大阪屋のLINE https://page.line.me/otb7081x

取材・文・撮影=東京おでんだね