豚骨の風味を感じる濃厚あっさりの油そば
飲食店が軒を連ねる池袋西一番街。形態は変わったが、名物の油そばは健在だという。店内に足を踏み入れるとカウンターやテーブル、以前より椅子が高くなったが、基本的には変わらぬ造り。
特選油そば1000円を注文。2種類のチャーシュー、メンマ、温泉たまご、海苔などが盛られていてる。ここにラー油と酢を回し入れて豪快にかき混ぜてから食べる。
醤油ベースに豚骨の風味を加えたタレは、濃厚でありながらしつこさは感じない。温泉たまごがまろやかさを加え、味に深みを与えている。
麺はうどん用の小麦粉を使用したモチモチ麺か、パンに使われる強力粉から作られたゴワゴワ麺が選べる。今回はモチモチ麺にした。秘伝のタレとよく絡む麺は、歯を押し返すほどの弾力が楽しく、どんどん麺をすすってしまう。麺の量は並で180g、大で270g、特で360gあり、同一料金で選ぶことができるのもうれしい。
運営管理部の室木さんは「2022年から老舗製麺所の三河屋製麺と一緒に開発した麺を使用しています。タレやスープとマッチする新しい麺は好評です」と話してくれた。
チャーシューは2種、柔らかな豚バラのチャーシューに加え、しっかりと歯ごたえがあるブロック状のチャーシューは肩ロースを使用。肉の旨みも異なるが食感の違いも楽しめる。味がよく染み込みシャキッとしたメンマや、大量のネギもアクセントになっている。
さらに無料トッピングは、マヨネーズ・粉チーズ・紅ショウガ・野菜増し・魚粉の5つから3つを選べる。自分好みの味に仕上げてみよう。
マヨネーズやチーズでコクを出すか、紅ショウガでさっぱりするか、ヘルシーに野菜にするか、魚粉で味わいを加えるか……。悩ましいところだ。
豚骨の味わいや魚介系の風味、酸味の効いたつけ汁は麺が進む
ランチ限定のつけ麺も忘れてはいけない。さまざまなトッピングが満載の特選つけ麺は1050円。麺は油そば同様に、モチモチ麺かゴワゴワ麺が選べ、量も並・大・特から選ぶことができる。
つけ汁は、豚骨をベースに魚介系の風味を加えている。最初に豚骨の旨みが口に広がり、魚介系が香る。酸味がきいているので、スッキリとした味わいで、モチモチ麺、ゴワゴワ麺どちらとも相性はよさそう。
肉の旨みがしっかりとした豚バラのチャーシューや、メンマなどもスープや麺とよく合う。味付たまごもトロトロの黄身としっかりとした白身のバランスがいい。
もちろん、5つの中から3つが選べる無料トッピングもある。最後にスープ割りで締めよう。
種類豊富なお酒とおつまみメニュー、締めはやっぱり油そば
16時からは居酒屋タイム。リニューアル後の最大の変更点になった居酒屋メニューを楽しむ。
キンキンに冷えた生ビールや瓶ビールのほか、デュワーズや知多などのハイボール、日本酒や本格焼酎、各種サワーなどがそろっていて、女性にも人気になっているという。
つまみのやきとりや揚げ物、お造り、サラダなど、酒に合うフードメニューばかり。
やきとり5本盛り(もも・ハツ・はらみ・せせり・つくね)660円ともつ煮込506円とともに生ビール中495円を注文。秘伝のタレで旨みが増幅したやきとりとともにビールを流し込めば最高! じっくりと煮込まれて柔らかなもつ煮込は、パンチレモンサワー429円かデュワーズハイボール484円のどちらで行くか悩みどころだ。
今日食べたはずだが、最後はやはり油そばで締めてしまった。
室木さんは、「油そばやつけ麺などだけでなく、いろいろな料理とお酒を楽しんでいただきたいと思い、居酒屋形態になりました。
おいしい料理とお酒の後に締めで油そばという人も多いので、ぜひお試し下さい」と話してくれた。
池袋駅からも近い『寵児』で、飲みから最後の締めまで完結する。仕事帰りにちょっと気軽に立ち寄れるそんな一軒に出会った気がする。
取材・文・撮影=速志淳 構成=アド・グリーン