池袋西口の飲み屋街にあるパンケーキの看板を見逃すな
池袋駅から徒歩2分。飲み屋とパチンコ屋がひしめき合うエリアにしゃれたパンケーキの看板が目立つ。雑居ビルの地下にあるこの店は、看板どおりパンケーキが自慢のカフェ。この隠れ家感はかなりなものだ。
ぽってり厚みのあるパンケーキ。生地と焼き方にこだわりが
「一番気を使ったのは生地作りです」。店長の吉仲さんがパンケーキに対して抱いていたのは、もっちりだと食べきれない人もいるけれど、スフレだと物足りない……、という思いだ。ここでしか食べられない特別なパンケーキが作れないだろうか。試行錯誤して生まれたのが、ふんわりともっちりの両方を兼ね備えた新しい食感のパンケーキだった。
小麦粉、卵、牛乳、ヨーグルト、蜂蜜などを配合したこだわりの生地はオーブンを使って焼く。熱くなるまで熱したスキレットに生地を流し入れ、すぐにオーブンへ。食事系のパンケーキは一般的なパンケーキのサイズで、焼き上がるまでには5分ほど。対してスイーツ系は今川焼きサイズと小ぶりだが、こちらのほうが厚みがあるため焼き上がるまでには7〜8分が必要だ。途中で一度ひっくり返し、焼き上げる。
中まで火が通ったかをチェック。「焼け方はその時々によりばらつきがあるので、必ず1枚ずつ確認します」と吉仲さん。丁寧な作業ぶりが窺える。
もちふわのパンケーキに自家製ソースがたっぷり。軽いのに食べごたえも満点
待つこと約10分。小ぶりなパンケーキが3枚と、たっぷりのクリーム、イチゴ、ブルーベリー、そしてバニラアイスののった魅惑のビジュアルがやってきた。小さなピッチャーに入ったストロベリーソースをまんべんなくとろ〜りと回しかける。
ナイフとフォークでパンケーキを切り分けると弾力のある手応えが。すでにもっちり感満載だ。クリームとソース、フルーツをのせ、ぱくりとひと口。
たしかに「もちふわ」!初めて食べる食感だ。表面にはサクッとした食感があり、厚みの部分はもっちりとした弾力がある。生地に含まれた気泡がふんわり感と軽さを出し、ソースがジュワッと染み込む感じもいい。サワークリームとクリームチーズを配合した自家製のクリームは、甘さ控えめながらさわやかさとコク、そして軽さがあり、ストロベリーのソースとの相性もいい。アイスクリームの冷たさとパンケーキの温かさも絶妙で、もっちりふんわりがクセになる味わいだ。
アイデア満載!季節限定のメニューも見逃せない
ほぼ月替りの限定メニューは吉仲さんのアイデアが光るラインナップが並ぶ。この月は、かぼちゃ、栗、紫イモをそれぞれをペーストにして作る3種のモンブラン。紫イモのモンブランは毎年秋になるとメニューに入る大人気のメニューだ。長年レストランやカフェのキッチンを担ってきた吉仲さんにとって、工夫を凝らしたメニュー作りはお手の物。今後作りたいものや使ってみたい食材の話も尽きることがない。もちふわ食感のパンケーキも、吉仲さんだからこそ生み出されたメニューだと感じる。
壁面はギャラリースペースで、アートと自然に関わることができる。また、火曜日は、閉店後に豊島区の子どもたちが利用できる無料の塾として店内を開放するなど地域の活動にも積極的だ。「池袋西口は個店も多いエリア。チェーン店に負けないようにみんなで盛り上げて行きたい」と吉仲さん。これからも楽しみが広がる隠れ家カフェだ。
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ、DIORAMA CAFE 構成=アド・グリーン