国の登録有形文化財登録の建物を利用。趣ある館内も魅力だ。
国の登録有形文化財登録の建物を利用。趣ある館内も魅力だ。

芦ノ湖の自然と富士山。四季折々に変化する絶景を一望

女湯の露天風呂からの景色。山間に富士山が見える。
女湯の露天風呂からの景色。山間に富士山が見える。

湯船に入りながら芦ノ湖と富士山のダイナミックな風景が楽しめる温泉施設。本館が日帰り温泉施設、別館が宿泊施設で、まるで高級旅館に泊まりに来たような気分が味わえる贅沢な造りも魅力的。

源泉は蛸川温泉で、 カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉 。箱根十七湯の中で一番新しい温泉で、神経痛、筋肉痛、疲労回復、冷え性などに効果がある。

女性浴室の内風呂。窓が大きく、露天風呂のような感覚だ。
女性浴室の内風呂。窓が大きく、露天風呂のような感覚だ。

男性風呂は夢殿、女性風呂は胡蝶と名付けられた大浴場があり、いずれも芦ノ湖方面に向かって開けている。

芦ノ湖からの風を感じながらゆったりと湯に浸かると、目の前に広がるのは雄大な景色。耳を澄ますと小鳥のさえずりが聞こえる。湯気の向こうに富士山を眺めながら、心地よさにため息がひとつ。ぽかぽかと温かいお湯に体の芯からリラックスする最上の時間だ。

リニューアルした屋根のない男性露天風呂。木々に囲まれ、自然と一体になれる。
リニューアルした屋根のない男性露天風呂。木々に囲まれ、自然と一体になれる。

2022年4月、屋根のない男性露天風呂が新規オープン。大きな空の下、ゆったりと手足を伸ばして入浴できる。雨の日は屋根付きの半露天風呂で雨音を楽しむのもいい。

女性浴室は大きく広々とした露天風呂が一つと内湯。内湯はガラス越しに風景を見ることになるが、大きく開けているため露天風呂同様の開放感を味わえる。寒い冬の日でも温かく風景を楽しむことができる。

このほか、男性浴室にはフィンランドサウナと水風呂、女性浴室にはスチームサウナがあり、自然の中での外気浴が気持ちいいととても評判だ。

男性の内湯。季節折々いつでも雄大な景色を楽しめる。
男性の内湯。季節折々いつでも雄大な景色を楽しめる。

景色を見ながら過ごす、湯上がりのひとときは極上

広々とした休憩所。庭を挟んで芦ノ湖が見える。
広々とした休憩所。庭を挟んで芦ノ湖が見える。

全体が畳敷きで純和風の休憩所。ごろりと寝転ぶとい草の香りがすがすがしく、とてもリフレッシュできる。ロッキングチェアにもたれ、風景を眺めながらゆっくりとした時間を過ごすのもいい。

これだけ素晴らしい施設と環境を思う存分楽しむなら、温泉と貸切個室8時間、食事のランチセットプランがおすすめ。1人9900円、タオル付きで要予約。8畳から20畳の4タイプの部屋があるので、カップルや家族連れ、グループなど使い方はいろいろ。 誰にも邪魔されずくつろげる。セットになる料理は、箱根姫の水たま肌もめん 湯豆腐御膳。箱根に湧く名水「姫の水」で作った豆腐が湯豆腐で味わえるほか、天ぷらや小鉢2品が付くとてもお得なセットだ。

歴史的建造物を体感。外観だけでなく内観も優雅

エントランスのロビーにあるシャンデリア。
エントランスのロビーにあるシャンデリア。

昭和14年(1939)、宇治平等院 鳳凰堂をモデルに設計され開業した「浜名湖ホテル」。贅を尽くした高級ホテルだったが、戦時中の折、創業わずか1年半で休業してしまった。1957年、浜名湖から芦ノ湖へ移築し使用したのが現在の『龍宮殿本館』だ。豊かな自然に包まれた純和風のたたずまいは各国の要人や著名人にも評判になった。

その後、外観はそのままに何度かの改修工事を経て来たが、老朽化のため2011年に旅館は閉館。大規模リニューアルをして、日帰り温泉施設としてオープンしたのが2017年のことだ。同じ年、国登録有形文化財に登録された。今でも中央棟の階段ホールでは、釘を1本も使わない宮大工の見事な仕事が見られるなど、館内には見どころが満載だ。外観だけでなく、中に入って楽しみたい歴史ある建造物だ。

館内の食事処も畳敷き。天井も高く、ゆったりとした造りだ。
館内の食事処も畳敷き。天井も高く、ゆったりとした造りだ。
住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根139/営業時間:9:00~20:00(土・日・祝は8:00~。最終受付は19:00)/定休日:無/アクセス:JR小田原駅からバス1時間20分の龍宮殿前下車すぐ

取材・⽂=ミヤウチマサコ 画像提供=絶景日帰り温泉 龍宮殿本館