昔の銭湯をイメージした和の風情漂う建物
『湯楽の里』は関東に19店舗を展開するスーパー銭湯。千葉県内には5店舗あり、認知度は高い。「古き良き木造づくりのレトロな銭湯をイメージした施設」をコンセプトに掲げるだけに、市原店の建物にもちょっと懐かしい和の風情が漂う。
館内も和の意匠でまとめられ、天井が高く広々とした印象で、板張りの床や梁、柱などに木を多用しているので落ち着いた雰囲気がある。
スーパー銭湯には、大人の隠れ家風、女性好み、ファミリー向き、高級感、大衆的などさまざまなタイプがあるが、ここはファミリー向き&大衆的なので、子連れでも気兼ねなく利用できる。
3種類の温泉浴槽やユニーク風呂でハシゴ湯を楽しむ
一番のセールスポイントは、平成19年4月に地下1500mから湧出した温泉。茶褐色のナトリウム-塩化物強塩泉で、毎分318ℓの湧出量があり、源泉温度は29℃。200~300万年前の海水が変化したものともいわれ、泉質にも海水に似た成分が含まれている。別名・熱の湯と呼ばれるほど保温効果に優れており、神経痛や筋肉痛、冷え症や疲労回復などの効果が期待される。
この温泉を楽しめるのが露天風呂。円形の石風呂で浴槽は源泉加温かけ流しの上の湯と、源泉加温加水循環の下の湯の2つに分かれている。
3つの壺が並んだ壷風呂も温泉で、源泉加温加水循環で使用。一人サイズの浴槽に入ると湯があふれ出すちょっと贅沢な風呂だ。
このほか露天エリアには、趣の異なる2つの寝湯と段滝から流れ落ちる湯を背中に浴びながら半身浴ができる段滝座石などユニークな風呂があり、露天エリアだけでも6種類の風呂を楽しめる。
内湯では9種類の風呂と2種類のサウナでリフレッシュ!
内湯のメイン浴槽は高濃度炭酸泉。37℃という湯温は炭酸ガスが溶け込みやすい温度なのだという。肌から体内に取り込まれた炭酸ガスは全身の血管を拡張し、血液の循環をよくする効果を持つ。湯は肌に優しい弱酸性で、毛穴を引き締め、湯上がりには滑らかで潤いのある肌を実感できる。ぬる湯なので10~15分ほどの長湯を楽しもう。
露天風呂を眺める窓際に各種機能浴を備えた浴槽がある。気泡とジェットの2つの水流が全身を包むリラクゼーションバス、強力なジェット噴流が全身をマッサージするジェットバス、高圧水流が全身をほぐしながらマッサージするスーパージェットバス、イスに座った状態でジェット噴流が足・腰をマッサージするシェイプアップバスがあり、この浴槽内をハシゴするだけでもコリや疲れなどが解消され、リフレッシュできそうだ。
このほか内湯には、ピリピリした刺激がクセになる電気風呂、微細な気泡によって湯が白く見えるシルク風呂、腰掛けると背中に湯が流れる腰掛湯、備長炭を使用した水風呂などがあり、風呂三昧を楽しめる。
内湯には男女各2つのサウナも併設されている。遠赤外線の熱で身体の奥から発汗を促す高温サウナのタワーサウナは男女共通。男湯の瞑想風呂は洞窟のような空間のスチームサウナ。女湯には塩サウナがあり、イベントによってハニーパック(蜂蜜)やクレイパック(泥パック)などを備える日もある。
楽蒸洞はこぢんまりとした施設だが手軽に岩盤浴を楽しめる
2階にある楽蒸洞(らくじゅどう)は、40℃前後に保たれた部屋で無理なく効果的な発汗ができる岩盤浴室。遠赤外線を発するミネラル活性石やトルマリン鉱石の板に横になることで、全身の血行を促進して細胞の新陳代謝を高めるという。同時に放出されるマイナスイオンは老化防止をはじめ、不眠の改善、血液浄化、疲労回復などに効果があるといわれる。
ほんのり漂う天然ハーブの香りとリラックスミュージックにも癒やされ、心身ともにリラックスできる空間となっている。フリータイム制なので何度でも利用できるから、楽蒸洞利用者専用のリラックスルームで休憩を取りながら繰り返し体験するといい。楽蒸洞入浴料は420円(館内着含む)。
お休み処や食事処を活用して、房総観光の仕上げの地として利用を
風呂上がりの休憩は、ゆっくり足を伸ばしてくつろげる畳敷きのお休み処へ。テレビを見ながら休める湯ったり処や、雑誌やコミックが読める漫画コーナーもある。館内はFree Wi-Fi完備というのもうれしい。スマホを持ち込めば、ゆっくり自分だけの世界を楽しめる。
湯上がりの一杯を楽しむならお食事処「咲楽(さくら)」へ。三色蕎麦御膳やカレーうどんの評判が高いが、旬の料理や新鮮食材で作る料理の数々に舌鼓を打つのもいい。
ボディケア、韓国式アカスリ、カットサロンなどもあり充実した施設で1日楽しめる。
「当店は平成15年に開業、平成19年より温泉営業を開始しました。新しい施設ではありませんが、交通至便な市街地にあり、多くの地域の皆様に愛されて参りました。今後も、新たな試みを織り交ぜながら、古き良き温泉施設の雰囲気を残し、引き続き皆様の日々の疲れを癒やす施設として運営して参ります。観光施設も多い房総半島の付け根に位置しておりますので、行楽のお帰りの際にも是非お立ち寄りください」とは加藤歩店長の言葉。
加藤歩店長がいうように、京葉道路蘇我ICから10分、館山自動車道市原ICから15分という立地にあるので、房総半島の観光と組み合わせて訪ねるのもいいプランといえる。ひと風呂浴びて、休憩を取ればレジャーの疲れも吹き飛んでしまうし、帰る頃には渋滞も解消されているかもしれない。
取材・文=塙 広明 写真=市原温泉 湯楽の里