Let’s BOXPING!
Let’s BOXPING!

軽快な音楽が流れる会場で、黒いTシャツ姿の面々が、格好よく軽快に体を動かしている。一見、卓球のようだが、ちょっと違う。両手にラケットを装着し、球を打つというよりパンチしているのだ。ひと際動きが美しく、オーラを放つ先生が、田代秀夫さん。ボクピングを考えた張本人だ。

「長年、武術を続ける中、効率のいい稽古法を模索していて、ふと卓球台に目が止まって、これだ! と思ったんです」

手軽に楽しめる卓球に、武術の体の操作を融合するというユニークな発想を、スポーツとして構築。2020年に、ここ南浦和から堂々デビューした。

代表 田代秀夫さん

武道・武術歴40余年。ボクピングの考案者で、同協会の代表。南浦和にある整体・鍼灸院『はたらっく』の院長。

ボクピングが革新的な3つの理由

●新感覚スポーツ

日常の運動としてゲームを楽しむ。

●武術の鍛錬

体幹の強化で健康になる。

●打撃格闘技の練習

左右の動作で瞬発力を高める。

一石二鳥、三鳥、それ以上!

「昔の人は、鍬(くわ)で耕す仕事を一日中しても疲れないように体を使っていて、武術の原点はここにあります」と、田代さん。ポイントは、いかに省エネで動くかで、武術を基本にするボクピングも然り。

後述の「準備体操」のように、あばらをゆっくり開閉しながら、細かい筋肉にエネルギーを連動させていくのだが、初心者にはなかなか難しい。発足メンバーの一人、加藤真夏さんは、「最初はあまり意識しすぎないでくださいね。体を伸ばして、その先にラケットがあるイメージです」と、アドバイス。

まずは、新しいスポーツとして、エンジョイして汗かいてみよう。ゲームのルールは卓球と同じ。得点を数えるとついついむきになり、空振りして凹んだり、まぐれでも決まると「よっしゃーっ」とガッツポーズ。両手を使う難しさ、おもしろさも未知の世界で、もっと上手くなりたいと欲が湧いてしまう。

「健康と美容のために続けています」、「体が軽くなり、持久力が増しました」など、参加者の目的、効果はさまざまだ。田代さんの着眼通り、武術の稽古としても、「瞬発力が養われる」など手応え上々。

さらに、上級者も初心者も、爽快パンチ1発で、気持ちがスカッと前を向く!

これが専用ラケット

ラバー&板にマジックテープやベルトを付着したオリジナル(特許申請中)だ。試行錯誤して徐々に進化中。
小指から順に曲げ親指で押さえて握り、第二関節から拳までを面と平行に当てる。1組2410円で販売も。

準備体操も大事

膝をゆるめて拳を合わせ、腹部からあばらを1本ずつ開くように腕を上げる。上げ切ったら筋肉をゆるめながら下ろす。

次は拳を後頭部に合わせ、肩甲骨をゆるめてあばらを開閉。股関節、腸腰筋も意識してゆるめる。

そして打ち方

腰を落として膝をゆるめ、両足を平行に正面を向く。あるいはやや斜めに構える(写真)。瞬時に左右どちらでも打てるように踵(かかと)を少し浮かす。準備体操を思い出し、あばらを下から開き、拳をまっすぐ出す。

ロングバージョンはすごい!

卓球台を縦に2台並べてダイナミックに打つ。打撃距離は2倍になるが、あばらをうまく開閉して、ラケットの真芯でパンチできたらスコーンと返せる。自然に動きが大きくなるので、肩こり解消、ストレス発散にもってこい。

武術の本格指導も……

ボクシング用のグローブをつけて、パンチやキックも体験。ボクピングの要領で手足の末端に全身の力を集結できたら、初心者でも見事に決まり、パーンといい音が響く。武術の効率のいい稽古として理にかなったスポーツだと、確信。

体験会やってます

<おまけ>
取材の様子を、ボクピング協会さんが動画にまとめてくれました!

第2・4土曜、10:00~11:00、南浦和コミュニティセンターにて開催中。要事前連絡。
☎090-8810-9658 JR京浜東北線・武蔵野線南浦和駅東口から徒歩14分。埼玉県さいたま市南区大谷場2-6-25 南浦和公民館。

取材・文=松井一恵(teamまめ) 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2022年3月号より