吹き抜けの開放感が心地よい店内

奥には東京スカイツリーが望める。
奥には東京スカイツリーが望める。

浅草の観光の中心地から少し離れた場所にある。すぐそばを流れる隅田川の向こうには、東京スカイツリーを間近に見ることができる。

天井からぶら下がるライトも素敵なアクセントになっている。
天井からぶら下がるライトも素敵なアクセントになっている。

2015年にオープンしたが、もともと浅草は外国人観光客も多い土地柄。そんな海外からのお客さまにも自国のように寛いでもらえるようにと、内装はゆったりと開放感のあるつくりにした。店内は吹き抜けになっており、天井ではゆっくりとファンが回る。中央のテーブルに大きく生けられた桜が目にもうれしい。どことなく異国情緒が漂い、時間の流れも何だかここだけ違うような気がする。

 

「イートグッド」をお客さまに届けたくて

店内のどこを切り取っても絵になる。まるでインテリア雑誌から抜け出したかのよう。
店内のどこを切り取っても絵になる。まるでインテリア雑誌から抜け出したかのよう。

店のコンセプトは「イートグッド」。そこには「お客さまによいものを食べてほしい」という願いが込められている。

 

お話を聞かせてくれたシェフの福田さん。
お話を聞かせてくれたシェフの福田さん。

シェフの福田さんにお話を伺った。『SUKE6 DINER』では食材の素材のよさにこだわっているそうだ。とくに野菜と卵については、葉山に住んでいるオーナーさんが、三浦半島でつくられる三浦野菜と地元の養鶏場の卵を仕入れ、店に運んでくるのだという。もともとはオーナーさんがおいしいからと個人的に購入していたが、今では同じビルの3階にあるパン屋『MANUFACTURE(マニュファクチュア)』で週末販売も行っている。

 

3階にある『MANUFACTURE』は同系列のパン屋だ。『SUKE6 DINER』の店内でも数種類のパンを販売している。
3階にある『MANUFACTURE』は同系列のパン屋だ。『SUKE6 DINER』の店内でも数種類のパンを販売している。

こだわるのは素材のよさだけではない。「ベーコンやドレッシング、ジンジャーエールやレモネードなど、店で出すほとんどのメニューが手作りです。化学調味料も使っていません」と福田さん。

これは実際、すごいことだ。例えばベーコンひとつとっても、塩水に漬け込んだり、乾燥させたり、スモークさせたりといくつもの工程がある。ちなみにベーコンが出来るまでは3〜4日かかるそうだ。程度の差はあるだろうが、ほとんどのメニューにそれほど手をかけているというのだから驚きだ。

手間暇かけた味わい深いメニュー

フライパンごとテーブルへ。
フライパンごとテーブルへ。

筆者が訪れたのは朝食の時間帯。フライパンにのったイングリッシュブレックファストという意味の、お店一番のおすすめENGLISH BREAKFAST IN A PAN 1250円をいただいた。自家製のソーセージ・ベーコンやベイクドビーンズなどと一緒にトーストが添えられている。しっかりとバランスのとれたイギリス風の朝ごはんだ。フライパンごとテーブルに出される豪快さがまたいい。

2階にはゆったりとしたソファ席もある。
2階にはゆったりとしたソファ席もある。

それにしても自家製ベーコンのおいしさには驚いた。脂の旨味とやさしい塩味、くどくはないけれどしっかりとしたスモークの香り。

また一見ミニハンバーグのような、腸詰めをしないタイプの自家製ソーセージも、凝縮した肉肉しさを味わうことができる。

そして一緒に盛りつけられたベイクドビーンズや野菜も、ひとつひとつはシンプルだがそれぞれの素材のおいしさが味わえる。

 

クロワッサンとライ麦のカンパーニュ。
クロワッサンとライ麦のカンパーニュ。

フライパンの横に添えられたトーストは、前出の3階のパン屋『MANUFACTURE』で作られたもの。追加オーダーでクロワッサン240円とライ麦のカンパーニュ(スライス)210円も頼んでみた。ちょっと酸っぱみのあるライ麦のカンパーニュは好き嫌いが分かれるところであろうが、喉の奥で酸味が香る独特なおいしさは、きっとコアなファンも多いのではないだろうか。セットメニューだけでなく、卵料理やサイドディッシュもあるので、それらを焼きたてパンと組み合わせて自分好みにカスタムするのも人気だ。

爽やかな飲み口の自家製ジンジャーエール。
爽やかな飲み口の自家製ジンジャーエール。

気になっていた自家製ジンジャーエール510円を最後にいただいた。四万十の有機生姜と喜界島の有機きび砂糖を使ったドリンクだ。思いのほか大きくスライスされた生姜が、グラスの底に大胆に沈んでいる。きび砂糖を使っているからであろう。主張しすぎない程よい甘さだ。

生姜の刺激がかなり強いのかと思いきやそんなことはなく、むしろフレッシュな爽快感を感じる。シナモン、クローブ、唐辛子などの香辛料を加えてジンジャーシロップを作るのだそうだ。

 

2階から1階を見下ろす。
2階から1階を見下ろす。

朝から大変いいものをいただきました。派手さがあるわけではないが、どれもしみじみとしたおいしさで滋味深い。一言でいえば「しあわせを感じる味」とでもいおうか。オープンからクローズまで、常時食事メニューがあるので、ランチを食べそびれてしまったときにふらりと立ち寄るのもよさそうだ。

店の入り口には懐かしのゾウのじょうろが置かれていた。
店の入り口には懐かしのゾウのじょうろが置かれていた。

最後にひとつ、『SUKE6 DINER』という名前の由来が気になっていた筆者だったが、福田さんに尋ねてみて納得。「店の横の通りが『助六夢通り』っていうんですよ」。なるほど!助六夢通りにある食堂という意味なんですね。

店の外にかかる看板も洒落ている。
店の外にかかる看板も洒落ている。
住所:東京都台東区花川戸1-11-1 あゆみビル1F/営業時間:8:00~19:00/定休日:無/アクセス:私鉄・地下鉄浅草駅から徒歩2分

構成=フリート 取材・文・撮影=千葉深雪