『縄文神社 首都圏篇』

今と縄文時代をつなぐ「祈りの場所」

武藤郁子 著/ 飛鳥新社/ 1650円+税

“縄文神社”とは、「縄文時代の遺跡と神社が重なっている」場所のこと。著者は神社に参拝するなかで、多くの境内やその周辺から縄文遺跡が出土していることを発見。この2つの関連性に着目した。本書で取り上げているのは、東京・神奈川・埼玉・千葉にある計40の縄文神社。その探し方というのがまず面白く、見るべきは縄文推定地図だという。当時の海岸線を意識しつつ、湧水がある、水辺につき出た土地の先端である、霊山がきれいに見えるなど、祈りの場としてふさわしそうなスポットを調べると、驚くほど出てくるのだとか。
例えば、埼玉県は大宮の氷川神社。大宮台地の上にあり、川も脇に流れるここでは、本殿付近から縄文後期・晩期の遺跡が見つかっている。その近くには「蛇の池」と呼ばれる湧水もあり、社名の由来にも……と読み進めると、神社の見え方が変わってきて、歴史の厚みや地形とのつながりに高揚する。何より何千年の時を超え、同じ場で同じように祈っている我々自身にも驚かされる。そして過去形ではなく現在進行形で機能している土地の力に引き込まれていく。
掲載されている中で、個人的に好きなのは、三峯神社(秩父市)や遅野井市杵嶋神社(杉並区)、香取神宮(香取市)など。現地では縄文とのつながりを細かに紹介していないので、本書で予習しぜひ訪れてほしい。ところで、『散歩の達人』2021年8月号で特集した湘南エリアはというと……あれれ、縄文時代はほとんどが海の中!? しかし台地の端は神社が見つかるチャンス大。地図を見ながら縄文神社を探す散歩も、また一興だ。(町田)

『相模のもののふたち 中世史を歩く』

永井路子 著/ 有隣新書/ 1320円+税

源頼朝が旗揚げしてからの動乱の時代、相模湾周辺を拠点に活躍した「もののふ」がどのように生きて、どのように滅びていったのか。筆者が史跡へ赴き、地形や文献をもとに丁寧に紐解いていく。一読すれば、彼らの生き様がより身近に感じられるはずだ。来期の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の予習にもおすすめ。(白瀧)

『大人の東京自然探検 森林・水辺・山・草原etc.』

吉田友和 著/ エムディエヌコーポレーション/ 1430円+税

コンクリートジャングルなんて呼ばれる東京にも、意外と多くの自然があふれている! 実は47都道府県のなかで一番公園が多いのは東京都なのだとか。本書では石神井公園や小石川植物園など言わずと知れた場所にはじまり、都内を網羅した55の自然スポットを写真付きで紹介。まだ知らない東京の顔を再発見できるかも。(吉岡)

『令和の時代もたくましく生きる 町田忍の昭和遺産100』

町田忍 文・写真・絵/ 天夢人/ 1980円+税

様々なコレクションや庶民文化研究で知られる著者が、日本全国を旅して出会った昭和時代の遺産ともいえる事物を100セレクト。「ホーロー看板」「赤チン」「新聞少年像」など、それぞれが古いけどエネルギッシュな魅力にあふれていて興味深い。実際に著者が愛用している「実用自転車」や「ビートル」も登場。(土屋)

『散歩の達人』2021年8月号より

『散歩の達人』本誌では毎月、「今月のサンポマスター本」と称して編集部おすすめの本を紹介している。2020年も年の瀬にさしかかり、いよいよそれを一斉公開する時が来たと言えよう。ひと月1冊、選りすぐりの12冊を年末年始のお供に加えていただければ幸いである。