下町情緒とおかしみで温もり感じる公園ぞろい

街なかに小さな公園が点在し、特にインパクトが大きかったのは遊具。中でも、タコさん滑り台は最たるものだ。北千住にあるのは赤と緑の2体だが、足立区全体では実に11体も存在する。イカも1体いるらし い。調べてみると、タコさん滑り台の数が一番多いのは足立区だとか、タコさん滑り台を最初に設置したのが足立区だとか諸説あれど、結局タコさんだらけな理由ははっきりとわからなかった。

ほかに、千住大橋さくら公園には約12m の長い滑り台を発見。こういったユニークな滑り台も、足立区全域にたくさんあるという。

ノスタルジック風味の公園もちらほら目につく。千住桜木町公園のトンネルは、かつてこの地にあり、昭和には指折りの東京名所として知られた千住火力発電所の「お化け煙突」をモチーフに造られた。映画や小説などでも登場することが多かったこの煙突が、地元民からいかに愛されていたかが垣間見えたような気がする。千住ほんちょう公園の宿場町風の入り口も、ここだけ江戸時代にタイムスリップしているようで楽しい。

歴史をさりげなく残しながら、目にした人を引き付ける面白い遊具が目白押しな北千住の公園。どこか温かく、人情味を感じずにいられない。

illust_9.svg

千住桜木町公園

お化け煙突モチーフの遊具がかわいい

半径は2m以上あり、大人でも楽々通り抜けられる。 中から見上げると、小さく穴が開き青空がのぞく
半径は2m以上あり、大人でも楽々通り抜けられる。 中から見上げると、小さく穴が開き青空がのぞく

隅田川堤防脇の公園で、ひと際存在感を放つ昇り棒とトンネルが。どちらもかつてこの付近に存在していた千住火力発電所の煙突、通称「お化け煙突」をモチーフにしている。トンネルの正面に立って見つめると、向こう側の景色だけ切り取られているようだ。思わず童心に帰り、潜り抜けずにはいられない。

●東京都足立区千住桜木1-7-4

千住公園

これも煙突モチーフかと思いきや?

入り口の煉瓦造りの門が、ちょっとおしゃれ。遊具は少なめだが、常に子供たちがそこかしこを走り回っていて開放的だ。かつて水遊びができたじゃぶじゃぶ池には、4本のカラフルな柱が。「もしやこれも『お化け煙突』?」と、区の公園管理課に問い合わせたが、特に煙突モチーフではないらしい。

●東京都足立区千住大川町35-1

千住東町公園

緑のタコさん、ここにあり

細い路地のような公園入り口を通り抜けると、勇ましい表情をした緑色のタコさん滑り台が。よく見ると、額に鉢巻が描かれている。これは、色を塗り替えたのがリオ五輪の年だったため、「日本を応援しよう!」と付け加えられたものらしい。

●東京都足立区千住東2-20-17

千住ほんちょう公園

江戸情緒とコミカルなタコさん

商店街を歩いていると、江戸時代の宿場町の門と高札場を再現した公園の入り口に出合う。情緒あふれる光景に癒やされるのも束の間、園内に鎮座するタコさん滑り台のインパクトに圧倒される。地元民の愛称が「タコ公園」というのも納得だ。

●東京都足立区千住4-22-16

取材・文・撮影=高橋健太(teamまめ)
『散歩の達人』2021年6月号より

赤羽の公園の成り立ちや地理的な意味、遊具の秘密などを紐解くと、街の歴史が、出るわ、出るわ。軍都だったころの喧騒(けんそう)が目に浮かぶようだ。うっかり素通りしてしまいそうな公園にフォーカスを当て、今まで知らなかった街の一面を知る!