赤羽関連本の品揃えは見事
書店チェーンながら“地元密着”を掲げ、赤羽関連本の品揃えは他の追随を許さない。「清野とおるさんの作品を聖地で手に入れたいと思う方も多いようで」とは、店長の渋谷さん。他にも、地元ゆかりに関する著作が充実。また、雑誌や漫画の新刊発売を目指して開店早々来店し、そのまま書棚を回遊する人も多い。各書店員が手がけるコーナーがユニークで、新たな世界の扉が開く機会にもなる。
昼からにぎわう横丁に一筋縄ではいかないディープなキャラクターたち。赤羽の日常を赤裸々に描いた『東京都北区赤羽』はドラマ化もされ、赤羽の地名を全国区に押し上げた。実際、聖地巡礼前に書店に立ち寄る人も多く、特に著者の清野さんにお願いして実現した『文教堂赤羽店』限定の特典本や関連本の発売時には、全国から問い合わせが相次ぐというから驚く。
2ちゃんねる開設者のひろゆき氏に、隣の飛鳥山ながら2021年大河ドラマ の主人公・渋沢栄一など、地元著名人ゆかりの関連本も抜かりない。店長の渋谷享寛(たかひろ)さんは 「赤羽のカオス感が人を育てるんだと思うんです」と、目を輝かせる。
赤羽カルチャーがひと目でわかる!
赤羽にはエキナカや高架下のほか、新刊書店、古書店が路地に点在。猫がトレードマークの子供の本 『青猫書房』や、江戸・明治期の古書やアートを発掘できる『紅谷書店』など、発掘感に心躍る書店もある。渋谷さんは「趣味を掘り下げる人が結構いらっしゃるんです。各書店員が担当するテーマ本からも、そんな傾向がうかがえます」。
街では雑誌を片手に一人酒をたしなむ姿あり、専門書を見つけて胸に抱く姿あり。書店を巡れば、街のディープさ、懐の深さが実感できるはずだ。
『文教堂 赤羽店』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2021年6月号より