バングラデシュの住宅がそのまま日本に!
バングラデシュ出身の建築家で教育者でもあるマリーナ・タバサム氏。2005年にダッカに建築設計事務所「マリーナ・タバサム・アーキテクツ」を設立して以来、気候や文化、伝統に根差した建築を手掛けるのみならず、自然災害や貧困で苦しむ人々への支援に取り組んできた。
本展は、「人々」「土地」、そして創作や詩作を意味する「ポイエーシス」をテーマに、彼女たちの作品と活動を模型や映像、インスタレーションなどで紹介する。中庭にはMTAオリジナルの「クディ・バリ」がバングラデシュから輸送されて立ち上げられるとともに、京都の里山で実践を行う建築家の森田一弥氏と京都府立大学森田研究室の協力のもと、日本の素材と技術で翻案した「日本版クディ・バリ」が新たに制作、展示される。
『TOTOギャラリー・間』の片桐さんは「マリーナ・タバサムさんはTIME誌が選ぶ『世界で最も影響力のある100人』に選ばれるなど、いま注目を集める建築家です。洪水など災害の多いバングラデシュで現地の材料で簡単に組み立てができる可動式住宅として考案された『クディ・バリ』の現物や、中庭を囲む伝統的な暮らしを表現したインスタレーションも見どころで、建築に詳しくない人にもぜひ訪れてほしい展覧会です」と見どころを語る。
地域の独自性に応える建築がもたらすもの
People(人々)、Place(場所)、Poiesis(ポイエーシス)という3つのキーワードをもとに、マリーナ・タバサム・アーキテクツの取り組みを紹介する本展。ベンガル・デルタ地方の独自性に応えるべく建築を探求してきた彼らは、人間の活動=People、場所=Place、創造的な表現=Poiesisの3つが相互に結び付いていることを明らかにする。地元の材料や建築・工芸に関する知識を活用することに重点を置き、地域経済を活性化させるだけでなく、その土地の独自性から生み出される建築言語を尊重しているという。
「私たちはこの展覧会を通して、バングラデシュのさまざまな面を日本の皆様に紹介し、お互いの文化に深い敬意を払いながら、より大きなコミュニティとしてひとつにつながるための共通の基盤を見つけていきたいと願っている」(マリーナ・タバサム)
現地の独自性を尊重した作品から、そこに生きる人々の姿が立ち上ってくるようだ。
開催概要
マリーナ・タバサム・アーキテクツ展「People Place Poiesis(ピープル プレイス ポイエーシス)」
開催期間:2025年11月21日(金)~2026年2月15日(日)
開催時間:11:00~18:00
休館日:月・祝・12月29日(月)~1月7日(水)
会場:TOTOギャラリー・間(東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F)
アクセス:地下鉄千代田線乃木坂駅から徒歩1分、地下鉄日比谷線・大江戸線六本木駅から徒歩6分
入場料:無料
【問い合わせ先】
TOTOギャラリー・間☏03-3402-1010
公式HP https://info.jp.toto.com/gallerma/
取材・文=前田真紀 画像提供=TOTO





