日蓮聖人の遺徳を偲んで行われる「お会式」
「お会式」とは、鎌倉仏教のひとつ、日蓮宗の開祖である日蓮聖人の命日に合わせて営まれる法要のこと。全国各地にある日蓮宗の寺院では、命日の10月13日を中心に執り行われる。「ここ池上本門寺は日蓮聖人御入滅の地として知られ、最も盛大に行われるんですよ」と教えてくれたのは池上本門寺の一戸さん。安藤広重の『名所江戸百景』にも描かれた江戸時代から続く由緒ある行事で、特にお逮夜(命日の前日)にあたる12日の夜は一晩で30万人を超える参拝者でにぎわう。
毎年10月11~13日の3日間、さまざまな法要を通して報恩感謝の祈りが捧げられる。11日(土)の供養式に続き、12日(日)には10時から日蓮聖人像の衣を夏物から冬物に代える「宗祖御更衣(ごこうえ)法要」が、14時からは全国から集まった多くの参拝者が大堂に集まる「宗祖報恩御逮夜法要」が行われる。13日(月・祝)の「特別説法・臨滅度時法要」では、日蓮聖人が入滅した際に六老僧・日昭聖人が打たれた「臨滅度時の鐘」にならって、貫首によって厳かに鐘が打ち鳴らされる。
深夜まで熱気に包まれる万灯練供養
3日間のなかで街全体が盛り上がるのが、12日(日)夜の万灯練供養。纏(まとい)を先頭に、団扇(うちわ)太鼓、鉦(かね)、笛、万灯で構成された講中(=信徒の団体のこと)が18時に池上徳持会館に集まり、池上駅周辺から本門寺までの約2㎞にわたって練り歩く。参加する講中は100以上、その数なんと約3000人にものぼる。万灯には和紙でひとつひとつ手作りした桜花が飾られていて、これは日蓮聖人が入滅された際に季節外れの桜が咲いていたという故事に由来している。
「華やかな万灯に明かりが灯って幻想的であり、また笛や鐘などの鳴り物が響き渡り、纏を回しながら進む行列は熱狂的という表現もぴったりです」と一戸さん。この行列は深夜近くまで続き、池上の街は祈りと熱気に包まれる。街を挙げての大規模な祭りをぜひ現地で体感してみよう。
開催概要
「池上本門寺お会式」
開催期間:2025年10月11日(土)~13日(月・祝)
開催時間:12日(日)の万灯練供養は18:00~23:00ごろ
会場:池上本門寺(東京都大田区池上1-1-1)
アクセス:東急電鉄池上線池上駅から徒歩10分、地下鉄浅草線西馬込駅から徒歩12分
【問い合わせ先】
池上本門寺☎03-3752-2331
URL:https://honmonji.jp/oeshiki/index.html
取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供





