資生堂クリエイティブが放つ多彩な“美”を目撃

Scent in Sight ―香りを視る―(※画像は今回の展示作品とは異なる)。
Scent in Sight ―香りを視る―(※画像は今回の展示作品とは異なる)。

美とは何か。美を問い、疑い、新たな美を見出すために取り組んだ、資生堂クリエイティブの挑戦が形となった本展。表面的なものにとらわれず、考え方、生き方、世の中への作用まで考え、美の概念が広がり、世界が違って見える体験を与えてくれる。

資生堂クリエイティブの中山さんは、「私たちはあらゆるものに美を見出し、新たな美を生み出すことを目指し、美と真摯に誠実に向き合っています。資生堂クリエイティブ初の展覧会である『美を疑え』では、展示作品は、『資生堂ギャラリー』が入る東京銀座資生堂ビルのウィンドウディスプレイから始まります。展示作品のみならず、会場全体に施した空間デザインも見どころの一つです。ぜひご注目ください」と、見どころを語る。

美に対する新たな視点を想起させる内容に注目したい。

新たな美のクリエイションへの試みが続々

色覚多様性に着目した「MY COLOR MY BEAUTY」。
色覚多様性に着目した「MY COLOR MY BEAUTY」。

色覚多様性においてマイノリティである畝本彩美(あぜもとあやみ)さんの世界の見え方を、そうでない生活者が体感できるメイクアップキットとビジュアルの制作に挑戦する「MY COLOR MY BEAUTY」。資生堂の多種多様な口紅・アイカラーの中から、畝本さんが最も「美しい」と感じる色と、彼女が見たときに見える色とを対にしたカラーキットを資生堂クリエイティブチームが制作。彼女が見ている色覚の世界に近づきながら、新たなビューティーの表現を一緒に完成させたその工程までを追体験できる。

また、滋賀県と岐阜県の県境に位置する伊吹山薬草園の素材を用い循環型ものづくりを目指した入浴剤「蘇湯(そゆ)」プロジェクトや香川県男木島(おぎじま)の麦を用いた男木味噌を次世代に残す「男木みそ缶」プロジェクトなど、幅広い展開を通して、美とは何か? 改めて自分自身にも問いかける契機となりそうだ。

2023年、生薬を用いた入浴剤を開発する松田医薬品とともに伊吹山の植物を原料とした入浴剤を開発する「蘇湯」プロジェクトを開始。
2023年、生薬を用いた入浴剤を開発する松田医薬品とともに伊吹山の植物を原料とした入浴剤を開発する「蘇湯」プロジェクトを開始。
香川県男木島の味噌を缶詰にした「男木みそ缶」。つくる過程や食す際に複数の人が関わり、味噌自体がコミュニケーションツールになっている点が特長の男木味噌。このユニークな生活文化を遺す一つの方法として、「缶」に封じ込めるアイデアを考えた。継承であり、警鐘を鳴らす缶として、缶の天面には、このまま何もしないと男木味噌が絶滅すると考えられる年を記している。
香川県男木島の味噌を缶詰にした「男木みそ缶」。つくる過程や食す際に複数の人が関わり、味噌自体がコミュニケーションツールになっている点が特長の男木味噌。このユニークな生活文化を遺す一つの方法として、「缶」に封じ込めるアイデアを考えた。継承であり、警鐘を鳴らす缶として、缶の天面には、このまま何もしないと男木味噌が絶滅すると考えられる年を記している。

開催概要

「美を疑え-資生堂クリエイティブ展-」

開催期間:2025年1月11日(土)~26日(日)
開催時間:11:00~19:00(日・祝は~18:00)
休館日:月(祝・休の場合も休館)
会場:資生堂ギャラリー(東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1)
アクセス:JR新橋駅から徒歩5分、地下鉄銀座駅・新橋駅から徒歩4分
入場料:無料

【問い合わせ先】
資生堂ギャラリー☏03-3572-3901
公式HP https://gallery.shiseido.com/jp/exhibition/7898/

取材・文=前田真紀 画像提供=資生堂クリエイティブ