漫画家とその漫画が持つ情熱を緻密な線から感じる
漫画の世界でもデジタルが主流となるなか、アナログの手描きにこだわりつづける二人の漫画家・森薫と入江亜季。生み出される絵は、極めて繊細な線で描かれながら、ペン先の力強い息づかいを見る者に伝える。
細部まで描きこまれた中央アジアの風物と美しい花嫁たちが登場する『乙嫁語り』、アイスランドの大自然のなかで消えた弟の行方を探る『北北西に曇と往け』など、美しい線画と華麗なコマ割りやセリフで、ドラマティックかつファンタスティックに展開する作品に魅了される読者は多い。
展覧会担当学芸員は、「本展では原画とともに、同人誌時代の作品やイラストレーション作品、机周りや創作メモ、取材の様子など執筆の現場も紹介。物語の世界はもちろん、一枚の原稿がうまれる過程までご紹介します。漫画家と、その漫画がもつ情熱をぜひ体感してください」と見どころを語る。
生の原画が持つ力を感じられる絶好の機会となりそうだ。
本展のための描き下ろし作品は必見!
二人の漫画家の軌跡をたどるとともに注目したいのが、繊細な筆遣いで描かれた、鮮やかなカラー作品を間近に見ることができる貴重な機会。この感動を味わえるのは、本展ならでは。
漫画の世界を身近に感じる関連イベントも開催
11月10日(日)講演会「生業さがし 漫画家という職業」
漫画家・森薫氏を講師として迎え、漫画にまつわる職業や漫画の描き方、テクニックについて学ぶ高校生を対象とした「生業さがし 漫画家という職業」が11月10日(日)14~17時に開催。本や出版などに興味がある高校生もぜひ参加を。対象は高校生、定員15名(抽選)。参加費無料。応募はHP内申込フォーム(https://www.setabun.or.jp/event/20241110/)より。締め切りは10月31日(木)23時59分。
12月6日(金)「アイスランド大使館見学会」
北大西洋に浮かぶ火山と氷河の国、ジェンダー平等世界1位の国、アイスランド。入江亜季氏の連載中の漫画『北北西に曇と往け』(2016年~)の舞台でもあり、ダイナミックな気候風土や人々の暮らしは物語の展開とも密接に結びついている。大使館の特別な協力により、「アイスランド大使館見学会」を12月6日(金)14時~15時30分に実施。見学場所は駐日アイスランド大使館(港区高輪4-18-26)。定員10名(抽選)。参加費100円(保険料)※現地集合解散、現地までの交通費は各自負担。応募はHP内申込フォーム(https://www.setabun.or.jp/event/20241206/)より。締め切りは11月12日(火)11時59分。
開催概要
「漫画家・森薫と入江亜季 展 ―ペン先が描く緻密なる世界―」
開催期間:2024年11月2日(土)~2025年2月24日(月・休)
開催時間:10:00~18:00(入館は~17:30)
休館日:月(祝の場合は開館、火休)、12月29日(日)~1月3日(金)
会場:世田谷文学館(東京都世田谷区南烏山1-10-10)
アクセス:京王電鉄京王線芦花公園駅から徒歩5分
入場料:一般1000円、大学生・高校生・65歳以上600円、中学生・小学生300円。
※身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方500円、ただし小・中・高・大・専門学校生の障害者の方とその付添いの方(1名まで)無料。未就学児無料。
※11月8日(金)は65歳以上の方は入場無料
※11月16日(土)・17日(日)はセタブンマーケット開催に伴い入場無料
【問い合わせ先】
世田谷文学館☏ 03-5374-9111
公式HP https://www.setabun.or.jp/
取材・文=前田真紀 ※画像は主催者提供