クラシックホテルが新たな歴史を紡ぐ
明治27年(1894)の創業から初の大規模リニューアルを果たした『万平ホテル』。国内外の旅行客から愛されてきた“万平ホスピタリティ”のコンセプトはそのままに、昔から通う人には安心感と懐かしさを、初めて訪れた人には新しさを感じられる空間へとアップデートした。
ホテルは昭和11年(1936)に建築され国の登録有形文化財でもある「アルプス館」をはじめ、「愛宕(あたご)館」、「碓氷(うすい)館」という3つの宿泊棟と、婚礼・宴会場を備えた「バンケット棟」の全4棟で構成されている。
ホテルを象徴する「アルプス館」は、ガラス障子や猫足バスタブなどのインテリアで“和洋折衷”なホテルの伝統を表現しつつ、居心地の良さを追求。そのほか、リニューアルに伴い建て替えた「愛宕館」はホテルのDNAを引き継ぐクラシカルモダンな空間となり、全室に塩分を多く含み保温効果が高い天然温泉「塩沢温泉」を完備。「碓氷館」は、テラス付きの客室も用意し、上品な雰囲気の中でゆったりと過ごせる。
各客室には、軽井沢を代表する伝統工芸品「軽井沢彫」の家具や、“桜の沢”と呼ばれる軽井沢をイメージした桜モチーフのインテリアなど、随所に軽井沢らしさも散りばめられている。
伝統のアップルパイを緑あふれるカフェテラスで
「メインダイニングルーム」では開業当初からのレシピをかき集めて再構築したメニューが揃う。
またジョン・レノンなど数多くの著名人に愛された「カフェテラス」は、テラス席を拡張し愛犬と一緒に楽しめるスペースも新設。緑あふれる空間で、伝統のレシピで作られるアップルパイやロイヤルミルクティーを堪能できる。
時代を超えて人々から愛されるクラシックホテルは、軽井沢での滞在を特別なひとときに彩ってくれるはずだ。
取材・文・撮影=稲垣恵美