建築家・平田晃久のこれまでの建築をたどる

Taipei Roofs (2017)  (C) Dean Cheng
Taipei Roofs (2017) (C) Dean Cheng

これまで、自身の建築に対する思想を「からまりしろ」という言葉を使って説明してきた平田氏。「からまりしろ」とは平田氏自身によって作られた言葉で、かっちりと人間によって作り上げられた建築空間ではなく、自然の偶然性に建築的空間を見出すという考え方を指し、平田建築の大切な要素のひとつだ。

広報担当の山本萌由さんは、「平田晃久の20件以上に及ぶ建築プロジェクトを模型、図面、ドローイング、写真、関連資料などで紹介していきます。また、平田の建築的発想『からまりしろ』を体験できるワークショップなど、関連イベントも用意しています。自然と人間との関係性から建築を捉える平田の建築世界を体感いただく本展は、未来に向けた建築のあり方1つの示唆となることでしょう」と意気込みを語ってくれた。

本展では「波打ちぎわ」という新しい言葉を軸に3章で構成。1章目は平田建築の核をなす言葉、「からまりしろ」がテーマ。2章目と3章目は、「響き」をテーマに、共鳴という感覚に近いこの言葉で、20件以上におよぶこれまでの建築作品を紹介していく。

Tree-ness House (2017)  (C) Vincent Hecht
Tree-ness House (2017) (C) Vincent Hecht
Global Bowl (2021)  (C) ToLoLo studio
Global Bowl (2021) (C) ToLoLo studio
シャイニング・クラウズ(2022)(C) Yasushi Ichikawa
シャイニング・クラウズ(2022)(C) Yasushi Ichikawa

新たな『練馬区立美術館・貫井図書館』を手掛けるプロジェクトが開始

練馬区立美術館・貫井図書館  模型 (C)平田晃久建築設計事務所
練馬区立美術館・貫井図書館 模型 (C)平田晃久建築設計事務所

もうひとつの見どころが、建て替えにより生まれ変わる『練馬区立美術館・貫井図書館』建築のプロジェクトだ。図書館と融合する文化複合施設として新しく生まれ変わる美術館にふさわしい、次世代建築が姿を現す予定だ。そのコンセプトは、「21世紀の富士塚/アートの雲/本の山」。練馬に古くから存在する「富士塚」をテーマに、「美術と本」を街や人々とつなぐ場として構想される。平田建築が内包する、未来への展望を目にできる展覧会となりそうだ。

太田市美術館・図書館(2017)(C)Daici Ano 平田氏の「からまりしろ」を実現した公共建築。2022年に日本建築学会賞を受賞した。
太田市美術館・図書館(2017)(C)Daici Ano 平田氏の「からまりしろ」を実現した公共建築。2022年に日本建築学会賞を受賞した。

平田晃久氏の講演会やワークショップも! 展覧会関連イベント

8月15日(木)・29日(木)・9月5日(木)ギャラリートーク

8月15日(木)・29日(木)・9月5日(木)の各日15時~(30分程度)、展示室にて平田晃久建築設計事務所のスタッフおよび『練馬区美術館』学芸員によるギャラリートークを開催。参加無料・申し込み不要(当日の観覧券が必要)。開催時間に2階ロビーに集合。

8月24日(土)平田晃久展 講演会「人間の波打ちぎわ」

講師に平田晃久氏を迎える講演会が8月24日(土)14時30分~16時に『サンライフ練馬』研修室で開催される。対象・定員は中学生以上70名(要事前申し込み、抽選)。参加無料(観覧券が必要。当日以外の半券可)。申し込みは、公式HP内の「イベント申込フォーム」または往復ハガキにて。申し込み締切8月9日(金)必着。

9月7日(土) ワークショップ 「からまりしろ」を作ろう!

講師に平田晃久氏自身を迎え、平田晃久の建築的発想「からまりしろ」を体験できるワークショップが9月7日(土)11~16時(12時30分~13時30分昼休憩)に『サンライフ練馬』研究室で開催される。対象・定員は小中高生(小学生以下は保護者同伴)20名(要事前申し込み、抽選)。参加費用500円(観覧券が必要。当日以外の半券可)。申し込みは、HP内の「イベント申込フォーム」または往復ハガキにて。申し込み締切8月23日(金)必着。

 

開催事項

「平田晃久―人間の波打ちぎわ」

開催期間:2024年7月28日(日)~9月23日(月・休)
開催時間:10:00~18:00(入館は~17:30)
休館日:月(ただし8月12日・9月16日は開館)・8月13日(火)・9月17日(火)
会場:練馬区立美術館(東京都練馬区貫井1-36-16)
アクセス:西武鉄道池袋線中村橋駅から徒歩3分
入場料:一般1000円、高校・大学生および65~74歳800円、中学生以下および75歳以上無料 (その他各種割引制度あり)

【問い合わせ先】
練馬区立美術館☏03-3577-1821
公式HP  https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202402101707551005

 

取材・文=前田真紀 画像提供=練馬区立美術館