路地にこぼれる灯(あか)りとワイン好きの笑顔『Rëats(リーツ)』【人形町】
フレンチ出身の店主・清水絵理さんは「夕食前にお酒や軽食を通じて交流を楽しむ、フランスの“アペロ”が好き」と、立ち飲みスタイルのバルを2年前に開店。酒粕で作るグラノーラやミツバを使ったハーブソースのエビ料理など、カジュアルで美しい各皿が会話を盛り上げる。ワインはグラスを約20種用意。常連も一見もやさしく包み込むような空気感で、軽く一杯のつもりがつい長居してしまう。
『Rëats(リーツ)』店舗詳細
街の端(はし)で腹ペコさんとワイン党を満たす『ワインバーアメ』【茅場町】

ワインリストを見るとグラスが20種も。「フィレンツェの大好きなバーが20種ほど出してて、いろいろ飲めたのが楽しかったので」と浅原建(たける)さん。ワイン名の横には“龍角散”や“体液”などひとことコメントがあり、独創的だが味をイメージしやすい。雰囲気やリストはTHEワインバーだが、手打ちパスタをはじめフードも充実。仔羊肉の水餃子や鯖とクミンのポテサラなど飲んべえの心をつかむ一皿も!
『ワインバーアメ』店舗詳細
極小空間に流れるおいしい時間『MELLOW(メロウ)』【馬喰横山】

5.2坪の店内でひとりタクトを振るうのが、益田隆司さん。料理の品数は約40種もあるが、小気味よいテンポで提供される。「自分の料理は仕込みが8割。なるべく待たせず心地よい空間とサービスを提供したいんです」。新鮮なモツをトマトではなく塩ゆでする煮込みや、中華風細切り炒めのようなポテサラなどアイデアの光る各皿に、ナチュールが加速。シメは2.2mmの生パスタでもちもち食感に溺れるべし。
『MELLOW』店舗詳細
重心で味が変わるワインの未知なる世界へ『Vineria IL Passaggio(ヴィネリア イル パッサッジョ)』【浜町】

ワインを注ぐ前、佐竹厚紀さんは4 、5秒、精神集中。「造り手やインポーター、経由した人すべてをワインは記録すると思っているので、最後は自分が味を歪めないよう、空っぽになる感覚ですね」。注がれた先は、なんと貝殻。「ワインも器も重心が大切と気づきました」。酸味・旨味が強い=腰高のナチュールは、重心が高い自然素材の貝殻が一番おしいく飲めるそう。この不思議、体験せよ。
『Vineria IL Passaggio』店舗詳細
瀟洒(しょうしゃ)と懐古、注力と脱力。すべてがいい加減『パーラー 305』【人形町】

あえて残した以前の靴屋の看板に、吹き抜けの開放感。無垢(むく)のカウンターの上にはレトロ喫茶で見る星座占い。絶妙ブレンドに、飲む前から期待が膨らむ。「ワインと料理の酸を、きれいに合わせることを意識しています」と久保ゆかりさん。定番の牛ハチノスのレモン煮込み1000円は、爽やかな柑橘系のポルトガルのオレンジと抜群に合う。「でもマリアージュ云々(うんぬん)より、町中華みたいにカブッと飲んでバクッと楽しんでもらえれば!」。
『パーラー 305』店舗詳細
取材・文=鈴木健太 撮影=逢坂聡
『散歩の達人』2025年6月号より