雅な風情でいただく美しき鉄火丼『割烹熱海』[小台]

鉄火御膳1600円は、小鉢2品、茶碗蒸し、お椀物付き。玉子焼きは手みやげにも人気だ。
鉄火御膳1600円は、小鉢2品、茶碗蒸し、お椀物付き。玉子焼きは手みやげにも人気だ。

創業大正6年(1917)の老舗料亭が秋田スギの障子や欄間を生かして小体な割烹に変貌。 「以前は厨房にいて、お客様の顔が見えなかったから」と、カウンターを設(しつら)え、丁寧な仕事を眼前で披露する。夜の会席もいいが、昼はかなりお値打ち。中でも見目麗しいのが鉄火御膳だ。ミョウガを加えた紅芯大根のみずみずしいツマの下に、メバチマグロの赤身、本マグロの中トロが広がる。 艶ピカな身の香味にうっとり。小鉢もいい箸休め。至福だ。

目の前でマグロをさばき、盛り付ける。
目の前でマグロをさばき、盛り付ける。
門をくぐって玄関へ。「お稲荷さんと坪庭の間を抜ける、ちょっといい小径(こみち)でしょ?」と、根岸さん。右は仲居の内田理良さん。
門をくぐって玄関へ。「お稲荷さんと坪庭の間を抜ける、ちょっといい小径(こみち)でしょ?」と、根岸さん。右は仲居の内田理良さん。

『割烹熱海』店舗詳細

住所:東京都荒川区西尾久3-19-3/営業時間:11:00~13:00LO・17:30~21:00LO/定休日:水・木/アクセス:都電荒川線小台停留場から徒歩1分

軽やかな歯触りの奥から香る旬『天ぷら山の井』[熊野前]

天ぷら定食1000円は、アンデスの岩塩でもイケる。
天ぷら定食1000円は、アンデスの岩塩でもイケる。

天ぷら定食はエビに始まり、アユ、イカなど、旬の魚、野菜、山菜を取り混ぜ全8品!「油切れをよくするために、湯気が出るほどの高温で揚げるんです」と、店主の山本コノムさん。サクッと軽く、香味が鼻腔を抜けて昼飲みしたくなる。また、上天ぷら定食ならかき揚げ付き。小柱、エビ、イカ、アサリなどがゴロゴロで贅沢の極み。頼めば継ぎ足しの丼つゆに潜らせ、ご飯に乗せてくれる。定食はランチのみのメニュー、夜は4235円~のコースのみの営業となる。

上天ぷら定食1500円の締めはかき揚げ小丼に。
上天ぷら定食1500円の締めはかき揚げ小丼に。
頃合いを見計らい、順々に揚げる山本さんは、江戸料理も学んだ。
頃合いを見計らい、順々に揚げる山本さんは、江戸料理も学んだ。
1998年に荒木町で開業、2010年にこの地で再開。山本夫妻のもてなしも温か。
1998年に荒木町で開業、2010年にこの地で再開。山本夫妻のもてなしも温か。

『天ぷら山の井』店舗詳細

住所:東京都荒川区東尾久3-35-29/営業時間:11:45~13:30LO・17:00~20:30(13日は昼のみ)LO/定休日:火・水、木の昼、13日の夜/アクセス:都電荒川線熊野前停留場から徒歩4分

路地裏に潜むこれぞ正統派な洋食『キッチンぴーなっつ』[荒川遊園地前]

豚の生姜焼き1000円。リッチなトマトスープは+200円。
豚の生姜焼き1000円。リッチなトマトスープは+200円。

「テキトーだよ」と、とぼけるが、店主・谷口隆さんの手際のよさには惚(ほ)れ惚れ。六本木で店を営んだ後、2006年に妻の実家に移転。レンコン入りハンバーグ、ベシャメルソースが上品なドリアなどもファン多しだが、生姜焼きはご飯に最強だ。ソースに加えたひとかけのニンニクが濃厚な旨味を、ざく切りタマネギが食感の妙味を際立てる。別注のトマトスープも忘れずに。なめらか&香り豊かで、惚れる。

ランチはデザートとコーヒー付き。ババロアがふんわりなめらかな口溶け。
ランチはデザートとコーヒー付き。ババロアがふんわりなめらかな口溶け。
豚の肩ロースをあぶり、先に火入れしたタマネギをサッと合わせる。
豚の肩ロースをあぶり、先に火入れしたタマネギをサッと合わせる。
次男が描き谷口さんが彩色した看板が愛らしい。
次男が描き谷口さんが彩色した看板が愛らしい。

『キッチンぴーなっつ』店舗詳細

住所:東京都荒川区西尾久6-18-1/営業時間:11:30~14:00・17:00~23:00/定休日:木/アクセス:都電荒川線荒川遊園地前停留場から徒歩4分

取材・文=佐藤さゆり 撮影=山出高士