School closing《一斉休校》

実際、新型コロナウイルスの影響は街中に多くの無言板を生み出すという思わぬ余波を広げました。感染予防のため3月から休校になった小学校の正門の掲示板も、普段なら卒業式や入学式を前にお祝いの言葉や紙工作で飾られるはずでしたが、今年は文字通り言葉を失ったままひっそりとしていました。

左下には無用となったマグネットが自宅にいる子供たちのように待機させられています。掲示物のなくなった緑色のボードには経年による日焼けの跡が現れました。失われた日常の形跡が寂しく映ります。

Say-nothing-academy《無言の抗議》

10月、六本木トンネルを抜けて乃木坂駅の西口改札に向かう途中で今年の事件を象徴するかのような掲示板に出合いました。日本学術会議の本部庁舎前の掲示板です。

これも普段であれば講堂で開催される公開シンポジウムのポスターが貼られているはずなのですが、新型コロナウイルスの影響ですべてオンライン開催になったためリアル会場は使われていないのでしょう。

通りかかったのはちょうど6名の新会員候補者が首相によって任命を拒否されるという事件がメディアを騒がせている最中だったので、まるで事件に対して沈黙を貫いているかのように映りました。

SNSでこの写真を見た友人が即座に「右上のマグネットが任命拒否された6名の学者たちですね」と返してくれました。見事な見立てです(でも、よく数えてみたら一個多い)。

Face shield《フェイスシールド》

医療用マスクの不足やアベノマスク騒動を経て、マスクはすっかり生活に欠かせないものになりました。フェイスシールドなる透明のマスクも職場に導入されましたが、街角で見かけた看板の中にはその大きさや形状から「フェイスシールド型」と呼びたくなる代物も。

何が書かれていたのかはもはやまったく不明です。駐車禁止の看板がシールドからこぼれ出した大きな声に見えます。飛沫感染には気をつけましょう。

Gutsy face shield《ど根性フェイスシールド》

こちらは塀にぴったりと張り付いた「ど根性」タイプのフェイスシールド。見ての通り肝心の張り紙がすっかり消え失せて透明の膜面と黒の両面テープが残った状態です。

隣の現役の張り紙が強い警告を発しているのと対照的に、シンプルな対角線だけで静かに何かを制止しようとしているかのようでした。

2020 roadside odyssey《モノリス発見》

11月アメリカのユタ州の砂漠地帯で正体不明の金属柱が発見され、12月には世界各国から同様の物体が相次いで出現しているようですが、私も東京で発見したのでここに報告いたします。

遠目に視界に入った瞬間にサイズ感といい存在感といいモノリスだと直感しました。近寄ってみると厚さ3センチほどの鉄板で、思わず『2001年宇宙の旅』の劇中のヒトザルのように触れてみましたが私の場合、生物個体として宇宙意識に開眼するといった進化の兆しはとくに見られません。

しかし、確認のため裏側にまわってみたときに衝撃が走りました。なんと! 裏だとばかり思っていたほうが実は表側で、そこにはこの建物のテナント名が普通に書かれていたのです。ガーン! どうやらお後がよろしいようで。

文・写真=楠見 清