北海道直送のタマネギを身体にいいカレーで

店名は、北海道方言の“すごい”“とても”などを意味する「なまら」と香辛料を指す「マサラ」を合わせた造語。
店名は、北海道方言の“すごい”“とても”などを意味する「なまら」と香辛料を指す「マサラ」を合わせた造語。

落ち着きのある外観は、以前は和食店だったそうで、店内も和の内装を生かしつつ改装したとのこと。

この店で提供するのは、北見産タマネギを使った自然派スパイシーカレー。「心と身体に優しい食事を」をテーマに、小麦粉・化学調味料は一切使用していない。

実は北見市は、タマネギ生産量日本一を誇る。辛味成分も一般のタマネギより1/3程度と少なく、甘みがあるのが特徴。店主は、そのおいしさを多くの人に知ってもらおうと北見産にこだわって使っている。

 

小さな子供連れにもうれしい座敷席のほか、テーブル席も3卓ある。
小さな子供連れにもうれしい座敷席のほか、テーブル席も3卓ある。

これがカレー!? 驚きの組み合わせを堪能あれ!

マサラスペシャル(3種盛り)1595円。
マサラスペシャル(3種盛り)1595円。

カレーメニューは全4種類。カレー屋なのにメニュー数が少ないようにも思ったが、それもそのはず。4種類のカレー、すべてルーが異なるのだ。4つの味を作る労力を考えると、料理長のこだわりを感じる。

また、彩りも美しい食用のエディブルフラワーを使っているのも、この店独自の発想。カレーを盛る器も一つとして同じものはなく、オーナーや料理長が、いい!と思った皿を揃えている。美しい一皿を提供したいという店主の思いの表れは、どんなお皿で供されるかも楽しみの一つだ。

今回紹介するのは、その4種類のうちから好きな味を選んで盛り合わせたマサラスペシャル。

香辛料が効いた大人な味のマサラキーマは、単品1023円。
香辛料が効いた大人な味のマサラキーマは、単品1023円。

マサラキーマは、牛と豚の合い挽き肉に、野菜とフルーツを合わせたスパイシーな一皿。スパイス独特の風味を楽しめる逸品で、スパイスに漬けた半熟卵を崩し、甘さを加えて楽しむのもおすすめ。

国産豚なんこつと根菜カリーは、4時間かけてトロトロになるまで煮込んだ豚軟骨に、大根やゴボウなどの根菜と魚介だしを加えた和の味わい。大葉やミョウガ、ショウガの爽やかさとシャキシャキ感、根菜のホクッと感、そして軟骨のなめらかな味わいと、異なる食感が感じられる。

国産豚なんこつと根菜カリーは、単品1045円。
国産豚なんこつと根菜カリーは、単品1045円。
サーモンといくらのカリーは、単品1100円。
サーモンといくらのカリーは、単品1100円。

北海道の郷土料理・石狩鍋に着想を得たという「サーモンといくらのカリー」は、カレーにはない組み合わせにまず驚いた! 揚げた一口サイズの絹ごし豆腐、プチプチ食感のイクラ、そして柔らかく香り高い鮭。スパイシーさを感じつつも海の幸の風味を損なわない、絶妙なバランスの贅沢な一品だ。

互いの目標が、一つの形として生まれた店

左から、店長の曽我和騎さん、梶浦さん、天羽さん。
左から、店長の曽我和騎さん、梶浦さん、天羽さん。

今回、話をしてくれたのは、代表の天羽(あもう)望さんと、料理長の梶浦康平さん。このお二人、6歳からの幼なじみということで、小学校からずっと一緒に遊ぶ仲なのだそうだ。そんなお二人がここに店を開く経緯について、天羽さんはこう話す。

「私自身は、IT関連の会社も経営しており、飲食事業としてこの店を開きました。一方、梶浦は札幌の美味しい飲食店を渡り歩き、料理の腕を磨いていました。一緒に何かやりたいという思いもあって、じゃあ、飲食店をやろうじゃないかと。まだジャンルも何もきまっていなかったのですが、地元へも貢献したいということで、北見産タマネギを使ったカレー屋になったんです」と話す。

梶浦さんはオープンに向けて上京し、店は2018年11月にオープン。2020年で丸2年を迎える。

「店に関しては、梶浦と店長の曽我に全面的に任せています。カレーメニューは梶浦が考案したのですが、ルーも全部違うし、海の幸のトッピングとか、非常に効率の悪いことをしているなとは思いました。でも、梶浦も曽我も、作業効率が悪くてもとことんこだわってお客様へ美味しい料理を届けたいという思いが強く、そんな二人の熱意はリスペクトしています」と天羽さん。

二人のやりとりをみていると、オーナーと料理長という関係よりも、何でも言い合える昔なじみの友達感覚という方がしっくりくる。楽しそうに、それでいて真剣に、それぞれ違う立場、役割で仕事に取り組む姿が印象的だった。

住所:東京都大田区西蒲田7-31-9 蒲田TKハイツ102/営業時間:11:00〜15:00LO・17:00〜20:00LO/定休日:木(祝の場合は営業)/アクセス:JR・私鉄蒲田駅から徒歩2分

取材・文・撮影=千葉香苗