ロートレックの作品を飾った古き良きパリのカフェ
昭和35年(1960)創業の純喫茶。かつてこの界隈は20軒ほどの映画館がある繁華街であり、この店も大繁盛していたという。やがて、映画館もなくなり、周辺の様相が変わっていくとともに店も変革を余儀なくされた。
2014年、「古き良きパリのカフェ」をコンセプトに店は大変身。白い壁に大きなガラス窓と赤いテントの外観は明るく入りやすい雰囲気になった。入り口脇に置かれたガス灯風の街頭もエキゾチックな雰囲気を演出する。店内の赤い壁にはパリのキャバレー『ムーラン・ルージュ』の作品で知られるロートレックの絵画を飾っている。洗練された雰囲気の中にも懐かしさを感じる独特の空間になった。
一番の人気メニューはチェリー風焼きチーズカレー
リニューアルとともにメニューの見直しも行われた。そこで生まれたのが、現在、店の看板料理になったチェリー風焼きチーズカレー。器にご飯を盛り、オリジナルのカレールーをかけ、ブレンドチーズや彩り野菜、卵をトッピングしてオーブンで焼く。スパイシーなカレーと濃厚なチーズ、とろりと溶けた卵が醸し出す味が絶妙で、多くの客が注文するというのもうなずける。
また、食事メニューが多いことも特徴の一つだ。メニューには、チーズ、ピザ、サンドイッチ、肉料理などさざまな料理が並ぶが、昔ながらのナポリタン550円、カレーライス650円、たんぽぽオムライス800円など、懐かしい洋食メニューが多いのも昭和の純喫茶ならではのこと。いずれもプラス100円でドリンクが付く。
“映える”盛り付けが評判のプリンアラモード
メニューには掲載していないが、常連客がよく注文するのがプリンアラモード。いわゆる裏メニューだ。半切りしたメロンの器にパイン、メロン、ブドウ、バナナ、オレンジなど10種類を超す季節のフルーツと、生クリーム、バニラアイス、プリンなどが入ったビッグサイズのスイーツ。写真映えするので、テーブルに運ばれると撮影している人が多い。一人では食べ切れないかもしれないので、シェアするのがいいかも……。
「以前はメニューにも載っていたのですが、手間がかかるのでランチなどの忙しいときにできないのと、メロンの器が入手しにくいこともあってメニューに載せていないんです。できるときは喜んでお作りしますので、声を掛けてみてください」。そう話すのは厨房を取り仕切るママの指田郁代さん。
また、高さ5cmはある分厚いホットケーキも人気メニューの一つ。生地はふわっとしてきめが細かく、たっぷりの生クリームが添えられ、口の中でなくなるような軽い食感のホットケーキだ。1段550円、2段750円(各)ドリンク付き。
取材・文・撮影=塙 広明