地域にガッツリ密着したラーメン店
「2011年11月11日という、1の付く日にオープンしました」と話すのは戸谷店長。『ラーメン吉田屋』はここ以外にも、門前仲町にも系列店を構える。
店内を見渡してみると、この地域の氏神神社である深川神明宮の例大祭の案内、3年に一度の本祭りの巡行するお神輿の写真などが飾られている。オーナーを筆頭に従業員一同、町内会の行事にも積極的に参加しているとのこと。ずらりと飾られる写真は、これぞ下町の祭り!というものばかり。その中には、地元民と威勢よくお神輿を担ぐオーナーの姿が写っており、地域の人に愛されている店であることが伝わってくる。
調味料のバリエーションにも注目
豚骨醤油ラーメンでは定番のごまやニンニク、生姜はもちろんのこと、豆板醤ではなく自家製の激辛味噌が並び、他店では味わえない“味変”が楽しめる。
さらに、餃子用に置いてある自家製の食べるラー油は、使い方もさまざまで、ラーメンやご飯にもあう。
ここでしか味わえない極めつけの調味料は、生ニンニク酢なるもの。この馴染みのない調味料は、なんでもベトナム人従業員の結婚式に参加するためにオーナーと店長が現地に赴いた時に飲食店で出合ったとのこと。そのおいしさゆえに「お店にも置こう!」となったが、日本にはない材料だったので、ベトナム人従業員協力のもと完成させた。今ではヘビーユーザーがいるほど好評なのだそうだ。
まろやかな旨味のスープが絶品
寿司職人を経てラーメン店で修業し、正統派とんこつラーメンの味を継承したというオーナー。それをさらにまろやかで味わい深いものに昇華して、子供もお年寄も食べやすい珠玉の1杯を提供している。
「豚骨はしっかりと下ごしらえを行います。一度、生のゲンコツをひと茹でし、血合い部分を丁寧に洗い流すことで、臭みのない透き通る味に仕上げていきます」
合わせる麺は中太麺。コシもしっかりとあるから、弾力のある噛み応えがたまらない。加えてつるつると喉ごしもよく、スープとの相性も抜群だ。
トッピングの自家製チャーシューは、豚肩ロースを使用する。食べた瞬間、歯ごたえと柔らかさを感じ、ほどよくタレが染みこんで、濃いめのスープとの相性も良い。「オーナーのご実家がかつて精肉店を営んでいたこともあり、チャーシューの作り方はその店の製法を受け継いでいます」。
『吉田屋』という名前の由来は、その精肉店からつけられたという。オーナーの強い思い入れが感じられる。
このほか、熱々の麺に絡む特製ダレがおいしいまぜそばや、濃厚魚介系のつけ麺といったメニューもおすすめで、どちらも試してみたい。豚骨系が苦手な人なら、鶏ガラ魚介系スープでつくる昔ながらの中華そばもおいしそうだ。
麺の量も並、中、大と用意しており、相撲部屋も近くにあることから、特大というのも用意している。お腹の空き具合と相談しながら量を選ぼう。
取材・⽂・撮影=千葉香苗