2020年6月24日。
交通新聞社共用冷蔵庫前。なんとか二日酔いを回避し、再び大量の缶酒を冷蔵庫に詰め込む担当編集・佐藤七海の姿があった。
その手さばきにすでに迷いはない。どこにどう置けば崩れるか、どの順番で置けば効率的か、全て頭の中で明確に思い描ける。一度の経験が佐藤を大きく成長させていた。
結局、前日よりも多くの缶を詰めているのだが、約半分の時間で仕事を終えることができた。
「よし、今日は見つかってない。」佐藤はそう独り言ちると、満足げに冷蔵庫の扉を閉めた。
少し離れた場所で、ある編集部員が総務のお姉さまの詰問を受け、平謝りしながらバケツを借りていることすらも知らずに……。
登場人物紹介
泡ビールさん(右):酒飲むのも、飲まれるのも得意な飲みにケーション世代。散歩の達人本誌では、ほぼ酒場ページを担当。かつては、ストリートでストロング系を飲む路酎にハマるも、今は自宅で水割りが基本。
たい焼きさん(左):小麦粉の皮を被った麦芽女子。好物は350ml缶ビール、特にサッポロ黒ラベルに目がない。かたや、ストロング系チューハイに免疫がほぼ無く、本日は不安……しかない!
某スーパーの総菜と乾き物がアテの主役

オー〇ーストアで、発泡酒やストロング系と相性がいい!って謳われてたのを買って来ましたっ!

ナッツや味付け海苔は、肝臓が苦しくなってきたときに助けてくれそう。

泡ビールさんが持ってきてくれたのは、エビチリに鶏チャーシュー。さすがビールに合いそうなセレクトですね。

今日の試飲は発泡酒と第三のビールだけど(笑)。

今日は全部で39本。

うひゃ~。

気合い入れて、はじめますか!
リアルなビール感を求め、戦いの口火は切られた

さてと、封切りは発泡酒・第三のビールから!

このカテゴリの一番のポイントは「いかに本物のビールの味に近いか」だよね。

ですね。一缶目の淡麗グリーンラベルは、文字通り色が淡い!

これは酸味がやや強く、すっきりしてて飲みやすい。暑い日の一缶目としては適役だ。

アルコール4.5%と度数低いですし、お外でサクッと喉を潤すにはいいかも。

兄弟銘柄の淡麗プラチナダブルは……うーん、金属っぽい味が強くて、ラガービールのようなコクは少ない。

私の周りにファンの多い本麒麟はどうですか?

甘みとコクがしっかりあって、ビールに肉薄してる。これで100円ちょいなら人気出るわ。

クリアアサヒ 夏日和はシトラスのような清涼感ある香りが特徴ですね。

アサヒ ザ・リッチは味が濃厚! 後半に甘みがグワッと来ます。

アサヒの第三のビールでは最大級の原麦汁エキス濃度らしいよ。

黒ラベルの麦芽とヱビスのホップを使い、醸造してるのがサッポロ GOLD STAR。クセが無くて飲みやすい!

普段からこのカテゴリの中ではよく飲む一本なんだけど、売ってないコンビニもあるんだよね。旨すぎて他のビールが売れなくなるから、サッポロが出荷量調整してるのかも。

なにその説。極ZEROは香りがチューイングガムのブドウ味みたい。

なにその比喩。ホワイトベルグはフルーティで華やかな味。一定数の女性ファンはいそう。けど、この味を好きな女性と気が合いそうにない。

もう酔ってきてるじゃん!(笑)

麦とホップ<黒>はスタウトビールのようなコクとロースト香があるね。アーモンドとすごく合うよ、これ!

金麦〈ゴールド・ラガー〉は後味が軽やかで飲みやすい。

苦みと喉越しのバランスがいいけど、もう少し個性がほしいなあ。

サントリーブルーは、ほのかにマスカット系の香りが。

缶に「超スッキリ!」って書いてあるけど、 金麦〈ゴールド・ラガー〉の方がすっきりしてる気がする。
激安PB陣でビールの疑似体験は可能か

ここからは遂にPBも登場しますよ~。

PBこそ未知の味が多いから、楽しみ。

泡麦はホントにさっぱり系。個人的にはコクが深い方が好きかな。

泡麦とゴールドマスターオフはライトボディで淡泊だね。枝豆合うのが意外な発見。

裏の表示を見るとゴールドマスターオフの製造はキリン。何となく淡麗グリーンラベルと味が似てます。

PBや販路限定品は製造元をチェックすると、味の手掛かりになるね。

バーリアルはアルコール6%と強めで少しコクがあるし、グランリッチは麦感と炭酸が強い。

ビールの代打として楽しめるかどうかは、人によるかな。

まだPB祭りは続きますよ~。

オーケーストアの麦の時間は、人工的な酒の味がするな。

炭酸強めで麦の香りはしっかりあるから、私は嫌いじゃないです。

黄金3種はまず芳醇から行きますか。

なんかファンタグレープみたいな味!

ホッピーのファンタグレープ割り? STRONGはアルコール8%でパンチはあるけど……。

コクの奥行きが物足りないですね。WHITEは少し柑橘の香りがして飲みやすい。

オレンジオイルとコリアンダーが使われてるんだって。フルーティとかスパイシーとか、最近流行りだよね。

わわ、ド派手なデザイン。トロピ缶(かん)!

イケアで6月から販売されてます。ストックホルムのオムニポロっていうブルワリーの低アルコールビールです。

0.3%はド低アルコールだね。ペールエールは柑橘系のアロマ、スパイシーな味わいと今のツボを押さええる。

甘くて爽やか。ほぼジュースですね。

ブローベル スソッパの色、濃いね。バニラの香りがほのかにする。これも甘み濃厚なブルーベリーソーダって感じ。

このシリーズ、ビールテイストうんぬんはさておき、おいしくないですか?

このオストカーカも酢っぱうまい!

リンゴンベリーって書いてあるから、コケモモの甘酸っぱさをイメージしてますね。

第三(のビール)疲れが来てたんで、いい口直しになったよ。

疲れてちゃダメですよ。真の「強」敵は、次戦からですから。

ざわざわ……。
缶酒の終着駅、ストロングの深みへ

ここからが、いわゆるストロング系。チューハイをメインにアルコール7~12%の缶を揃えました。

12%って。もはや最近の低アル日本酒と同じ濃さじゃん。この氷結復刻版グレープフルーツの缶、懐かし~。黄緑と紺の字の組み合わせがCITY POPって感じ。

意味わかんない。現行版と比べ、ルビーのグレフル果汁は入ってないから、すっきりとした味わいです。

りんごの方は、最初甘酸っぱいけど、後味はSTRONGらしくドライだ。

ピノ・ノワールは圧倒的ブドウ感です!

人工的な香りだけどね。

これ、セブン&アイグループの限定缶です。誰のために造ったんだろ?

自粛中のキャバ嬢とか?
![左からキリンチューハイ ビターズ 皮ごと搾りレモンライム130円、もぎたてストロング夏限定宮崎産日向夏、サッポロチューハイ99.99クリアロゼスパークリング[カベルネ・ソーヴィニヨン]、サッポロチューハイ99.99クリアドライコーラ各155円。](https://san-tatsu.jp/assets/uploads/2020/09/10172703/350day2-14-750x497.jpg)

ここにもワインっぽいブドウを使ったチューハイがある。

カベルネ・ソーヴィニヨンを使ってるから、スパークリングワインみたいな味なの?

うーん、やや渋みと風味が乏しいな。同じく99.99シリーズのコーラは、ちょっとドクターペッパー寄りの薬草感を感じる。

私は駄菓子屋の粉コーラの味を思い出しました。

ビターズは数年前まで、大変お世話になった一缶。苦みとライムの爽やかさが絶妙なんだよね。これの500ml缶があんま売ってなくて……。

サンゴー缶の企画ですよ! この日向夏のは果実感がしっかりあって飲みやすい~♪

飲みやすく酔いやすいのがストロング。そんなに飲んだら、この後知らないよ。


ストロングゼロ〈ドライ〉は初めて飲むけど、かなり甘さ控えめ。余韻を残さずスパッと切れる後味が潔くていい。

後味全く残らないですもんね。こっちのビターレモンは幅広い料理に合いそう。

これもお世話になったなあ。後味の苦みが鮮烈で、病みつき度高め。

ウィルキンソンの2缶は泡の粒が大きい!

こちらも甘みは皆無で強炭酸のハードボイルドな酒だよね。

ジンジャの方は、もうちょいジンジャーが……。

え? もっとショウガのフレーバーがほしいってこと? たい焼きさんの日本語が変になってきたああ。


よっしゃ、ラスト3本。

まだ3本も……。

ほら、のどごし STRONGは7%だから、まだいけるでしょ?

これは麦感強し、です。

喉に直接ぶち当たってくるような酸味も特徴だね。サイダーサワーの味は、まんまジュースのサイダーで、甘め。屋台の前で飲みたくなる。

なんか、祭囃子が聞こえてきた……。

幻聴聞こえてきてる、いよいよヤバいわ。〆はマグナム シークヮーサー! 最初舌にピリッと来るけど、シークヮーサーの香りが効いていて、12%の割りに飲みやすい。缶に「甘くない」って書いてはあるけど、甘みもあるし。

試飲制覇の道は甘くない……もう、私ダメです。おやすみなしゃ……zzzz

まだ、本日のまとめ終わってないじゃん! たい焼きさーーーん!
2日目のまとめ
※たい焼きさんが限界を迎えたため後日この日のまとめ談義を収録しました。

いや、ほんと飲んだねー! あの後帰り道大丈夫だった?

ダメでした。完全に死亡です(笑)。後半のSTRONG祭りで、一気に酔いが来ました。
最寄り駅で気付いたらちゃんと降りてて、ベンチで寝てましたよ。朝起きたら枕に突っ伏して寝てて……それから猛烈な二日酔い。仕事でお酒飲んで、仕事に行けませんでした(汗)。終盤から帰り道、全く覚えてないです。
ところで、発泡酒・第三のビールで、お気に入りはありました?

ビールの再現度でいうと、サッポロGOLD STARかな。

麦とホップ〈黒〉は第三のビールでこんなにおいしいビールがあるんだ!と感動でしたね。

今春登場したザ・リッチは苦みと甘みから来る味の厚みは、ラガービールに近かった。本麒麟と金麦〈ゴールド・ラガー〉もどっしりとしたコクを感じさせ、このカテゴリにありがちな水っぽさは皆無!

しっかりとコクのある本格志向の第三のビールが増えましたよね。

本格志向のものは、アルコール6%と度数高めのものが3缶もあった。かたや、PB系は第三のビールと割り切って飲んだ方がいいと思う。

私は麦の時間や黄金WHITEなんかはおいしいと思いましたけどね。

ストロング系は新商品が多くて、その人気ぶりを実感。

限定も含めるともぎたてストロングの日向夏に、サッポロチューハイ99.99のカベルネ・ソーヴィニヨンなどいろんなフレーバーがありましたね。

でも結局ストロング系は、レモンやライムなどドライ系が一番うまいと思う。

私はストロング系によくあるお酒のとげとげしさが苦手だけど、口当たりがいいから、つい飲んじゃうんですよね。

今宵のあなたのようにね。今年のGWの自粛期間中、外で飲みたくてストロング片手の“路酎者”を公園ですごい見かけた。コスパのいい酒だけど、右手のそれは缶酒の終着駅だゼ!

酔ってアジるのは止めてください(笑)。まあ、ストロング系はほどほどに!
ああでもない、こうでもないとくだを巻きながら勝手気ままな品評をしていた泡ビール&たい焼きコンビ。4回にわたる試飲会は、まだまだ折り返し地点! 次回に続く!
*掲載されている商品の表示価格は編集部調べ(2020年6月時点)です。期間限定の商品など、販売終了となっている可能性がありますので、ご了承ください。
文・構成=鈴木健太 撮影=佐藤七海 ・星野洋一郎(編集部)
まずは恒例のつまみチェック。