より開かれた「東洋学の殿堂」を目指して改修

街とシームレスにつながったエントランス(筆者撮影)。
街とシームレスにつながったエントランス(筆者撮影)。

東洋文庫は、大正13年(1924)に三菱の第三代社長・岩崎久彌(ひさや)によって創設された東洋学の研究図書館。東洋の歴史・文化を対象とし、100年以上に渡って蒐集(しゅうしゅう)されてきた約100万冊もの書物を所蔵する。2011年には、東洋学の魅力に気軽に触れられる場として『東洋文庫ミュージアム』を開設。“日本一美しい本棚”と名高い「モリソン書庫」は、岩崎久彌がジャーナリストのG.E.モリソン博士から購入したコレクションが並ぶ。

三方の壁を覆う本棚が圧巻のモリソン書庫(写真提供=東洋文庫ミュージアム)。
三方の壁を覆う本棚が圧巻のモリソン書庫(写真提供=東洋文庫ミュージアム)。

東洋文庫創設100周年事業の一環として進められた今回のリニューアルでは、より開かれた「東洋学の殿堂」を目指して改修。展示ケースを大きくしたり側面もガラス張りにしたりすることで、車いすでも見やすく、さまざまな角度から展示品を鑑賞できるようになった。また、エントランスにあった壁をなくして開放的な印象になったほか、館内1階には「東洋学入門図書コーナー」を新設。子供も東洋文化に親しめるよう研究員が選んだ児童書や絵本が並び、座って楽しめる空間が用意されている。

『魏志倭人伝(三国志 魏志)』3世紀成立、1600年刊(公益財団法人東洋文庫蔵)。
『魏志倭人伝(三国志 魏志)』3世紀成立、1600年刊(公益財団法人東洋文庫蔵)。
『東方見聞録』1485年刊 マルコ・ポーロ口述、ルスティケッロ著(公益財団法人東洋文庫蔵)。
『東方見聞録』1485年刊 マルコ・ポーロ口述、ルスティケッロ著(公益財団法人東洋文庫蔵)。
『日本・中国・シャムの風景』プロイセン東アジア調査団 1860-63年(公益財団法人東洋文庫蔵)。
『日本・中国・シャムの風景』プロイセン東アジア調査団 1860-63年(公益財団法人東洋文庫蔵)。

リニューアルオープン記念の企画展は「ニッポン再発見─異邦人のまなざし─」と題し、日本の異文化との交流の歴史や海外から見た日本のイメージの変遷が分かる資料を展示(~2026年5月17日)。中世の書物に記された日本についての描写や幕末に描かれた江戸の風景には、新鮮さも感じられる。東洋学への興味が湧くのはもちろん、日本や東京に対する新たな視点を与えてくれそうだ。

住所:東京都文京区本駒込2-28-21/営業時間:10:00~16:30最終入館/定休日:火(祝の場合は開館、翌休。臨時休館あり)/アクセス:地下鉄三田線千石駅から徒歩7分、JR山手線・地下鉄南北線駒込駅から徒歩8分

取材・文=中村こより 写真提供=公益財団法人東洋文庫
『散歩の達人』2026年3月号より