東京の街がますます発見であふれる期間に

黒川岳【参考作品】《石を聴く》2022年(写真=鈴木陽介)。
黒川岳【参考作品】《石を聴く》2022年(写真=鈴木陽介)。

拠点となる会場は、東叡山 寛永寺と馬喰町「エトワール海渡リビング館」の2カ所。今年で創建400年を迎える東叡山 寛永寺では、普段入ることができない貴賓室や葵の間廊下、渋沢家霊堂前庭にも作品が展示されている。さらに、上野・御徒町や八重洲・京橋など東京北東部6エリアの計12会場と街なかの31カ所も展示場所で、まさに街そのものがアート鑑賞の場。今回は8カ国・39組のアーティストが参加し、「歩くなかで発見すること」として地域とともに作り上げた見応えある作品がそろう。

会期中はアートマップが公開・展示されているほか、芸術祭を堪能できる散歩コースには、アーティストの視線を共有するプロジェクト「Tokyo Perspective」の撮影場所も。彼らが「まちの今」をどう捉えたのか、作品と現地を見比べることができるのも興味深い。

鈴木理策《日本橋室町から北側を見る》2025年。
鈴木理策《日本橋室町から北側を見る》2025年。
ミルク倉庫ザココナッツ萬葉草奔(Plantation)シリーズ構想イメージ〔CG〕。
ミルク倉庫ザココナッツ萬葉草奔(Plantation)シリーズ構想イメージ〔CG〕。
アダム・ロイガート【参考作品】《FOR THE PUBLIC I-III》2024年。
アダム・ロイガート【参考作品】《FOR THE PUBLIC I-III》2024年。

また、建築史家・藤森照信さんをゲストに迎えて「看板建築」をめぐりながらその歴史をひもとくツアーなど、会期中には各所でイベントも開催。「東京ビエンナーレ2025」のプロジェクトのひとつ「さんぽ大学」の特別課外講義としてフィールドワークも開催される。

会期は12月14日(日)まで。見知った日常の風景をもアートとして楽しめるこの期間は、東京の街がますます発見であふれるに違いない。

開催概要

東京ビエンナーレ2025

会期:2025年10月17日(金)~2025年12月14日(日)
拠点展示会場:東叡山 寛永寺(11:30~16:30、月・火休。入場1200円)、エトワール海渡リビング館(11:30~19:00、月・火休。入場2200円)、2会場共通チケット3000円
お問い合わせ:☎03-5816-3220(一般社団法人東京ビエンナーレ)

文=中村こより 写真提供=東京ビエンナーレ事務局
『散歩の達人』2025年11月号より