人生を変えた台湾茶との出合い

人通りの多い中央通りを一本入ると現れる緑の看板。地下に続く階段を降りると、コンクリート打ちっぱなしの壁が印象的な店内にたどり着く。

この店のオーナー兼店長である井上尚哉さんは、大学時代、旅行先の台湾から持ち帰ったお茶を飲んで、台湾茶の奥深さに魅了されたと言う。

「初めは日本の急須で飲んでいたんですが、台湾で買った茶器で飲んでみたら、味や香りが格段に良くなったことに驚いて。そこから台湾茶の面白さに気付き、本格的に勉強したいと思うようになったんです。」

大学卒業後は商社に勤務し、台湾や中国との貿易に関わる仕事を担当。趣味として台湾茶の勉強を続け、中国の国家資格である“評茶員”“茶藝師”の資格を取得するまでに知識を深めていった。その後、会社を辞めて単身台湾に渡り、現地の茶芸館で働くかたわら、農園で茶葉の生産について学ぶなど、台湾茶の知識をより間近で得る日々を送った。

そして、29歳の時に台湾でティースタンドの立ち上げに参加するという、念願だった台湾茶のプロデュースに携わる機会を得た。そこでは、お茶のセレクトやメニューの考案といった企画から店の運営まで、幅広い仕事に関わることができたと言う。

オーナー兼店長の井上尚哉さん。

約4年間の台湾生活で得た経験や知識をもとに、帰国後2017年に自身の店である『Cha Nova』をオープン。“Cha Nova”とは、お茶の「Cha」とラテン語で新しいという意味を持つ「Nova」を組み合わせた造語だ。「新しいお茶の楽しみ方を広めたいという想いで名付けた」と、井上さんは話す。

数々の台湾茶を飲み尽くした店主が選ぶこだわりの茶葉

使用している茶葉は、井上さんが認めたお茶業者が扱っているものだ。種類は、焙煎烏龍茶、ジャスミン緑茶、四季春青茶(しきしゅんあおちゃ)、日月潭(にちげつたん)紅茶の4種類。耳慣れない「青茶」とは、半発酵させて作るお茶で、台湾では日常的に飲まれている。日本でなじみ深いウーロン茶よりも軽めの味わいが特徴だ。この店では、これら4つの茶葉をそれぞれ丁寧に抽出して作ったお茶をベースに、様々なアレンジティーを作っている。

中央上から時計回りに四季春青茶、ジャスミン緑茶、日月潭紅茶、焙煎烏龍茶。

茶葉ごとに5~7種類のアレンジティーが提供されているが、今回は特に人気の蜂蜜檸檬緑茶と蜂蜜紅茶ラテを注文した。蜂蜜檸檬緑茶は、ジャスミン緑茶をベースに、愛媛産のレモンを皮ごと搾った果汁と、純ハチミツを合わせたシンプルなドリンク。台湾ではポピュラーだというジャスミン緑茶は、ほんのりジャスミンの香りと緑茶の味わいが特徴。さっぱりとしたお茶にレモンの酸味とハチミツの甘さがほのかに感じられる、暑い夏には特にぴったりな一杯である。お店イチオシのスイーツ、自家製のパイナップルケーキとの相性も抜群だ。

蜂蜜檸檬緑茶 550円(税抜)、パイナップルケーキ 350円(税抜)。

続いて、蜂蜜紅茶ラテをいただいた。台湾で最も大きい湖「日月潭」の周辺で栽培され、現地では高級品として扱われる日月潭紅茶。日本でもよく飲まれるインドやスリランカ産の紅茶とは香りが少々異なり、味がまろやかなのが特徴だ。そこに、純ハチミツと新鮮なミルクを合わせる。見た目は濃厚なミルクティーだが、日月潭紅茶の味わいのおかげで、すっきりと飲める。

蜂蜜紅茶ラテ 550円(税抜)。オリジナルボトルでの提供はプラス200円(税抜)。

追加料金をプラスすれば、オリジナルのボトルにお茶を入れて提供してくれる。店のキャラクターとして、ボトルに描かれている鳥は、台湾の国鳥であるヤマムスメがモチーフだそうだ。

次回以降ボトルを持参すると、30円お得にドリンクを飲める。持ち運びにも便利なサイズで、自然環境にも配慮できるとあって好評だ。

『Cha Nova』店舗詳細

住所:東京都中央区銀座1-5-1 第三太陽ビルB1F/営業時間:11:00~20:00(土日祝は11:30~18:30)/定休日:月/アクセス:地下鉄有楽町線銀座一丁目駅から徒歩2分

取材・文・撮影=柿崎真英