雪が降ってなくてもツルツル路面に注意。「ブラックアイスバーン」とは?
雪の降った日はもちろん、翌朝にかけて冷え込む時は、路面がカチコチに凍ってしまうことがよくあります。一般的にぬれた路面の温度が0℃以下になると凍結が発生するといわれるのですが、ならば、天気予報で予想最低気温がプラスの時(0℃以上)は大丈夫なのかといえば、そうではありません。
日陰になっているところや風が吹きやすいところなどは冷え込みやすく、予想気温が3℃程度でも路面温度は氷点下になり、凍ってしまうおそれがあります。
また、雪が降っていない時でも路面が凍結する場合はあります。雪が降る時だけでなく、雨が降った時や地下水やトンネルの湧水が道路に流れ出している時、霧が発生している時も路面がぬれてしまうからです。
特に注意したいのは「ブラックアイスバーン」と呼ばれる状態の路面です。これは、薄い氷の膜で道路の表面が覆われて凍っている状態ですが、一見ただ黒くぬれているだけのように見えるため、うっかり滑ってしまいやすいのです。
首都圏では統計的に南岸低気圧が接近しやすい春先に雪が最も多くなります。2024年も2月上旬に東京都心で積雪8㎝を記録する大雪になりましたが、路面の凍結などの影響で転倒する人が相次ぎました。
凍結が起こりやすい時間帯は、気温が下がっていく夜間から朝にかけてです。
ツルツルになってしまった道を歩くには事前の準備が必須です。滑りにくい靴をはく、小幅で地面を踏みしめるように歩く、万が一転んだ時に備えて手袋や帽子を身に着けるほか、時間に余裕を持って家を出ることも心がけてください。
油断禁物!視界が急激に悪化する「ホワイトアウト」
雪国に住む人でも油断できないのが「ホワイトアウト」です。
「ホワイトアウト」とは吹雪や積もった雪が巻き上げられることで視界が真っ白になり、見通しが急激に悪化する現象のことです。冬型の気圧配置が強い時や低気圧が急発達しながら通過する時に起こりやすいといわれます。ホワイトアウトは開けた平らな道や峠道などで発生しやすく、晴れていても雪が大量に積もっていると、強い風で吹き上げられて視界が一気に真っ白になることもあります。
以前、日本一の豪雪地帯ともいわれる青森県の酸ヶ湯を訪れた時、着いた当初は比較的おだやかな天気だったものの、強い風が吹くとほんの数メートル先も見通せなくなり、右を見ても左を見ても、振り返ってもただただ真っ白な世界になり恐怖を感じました。
特に普段雪の少ない地域の方は、旅行などで雪国を訪れる際、ホワイトアウトの危険性を必ず心に留めておくようにしましょう。危険を感じた時は無理に外出をしないのはもちろん、万が一、ホワイトアウトに陥った時は「#9910(道路緊急ダイヤル)」や「#8139(JAF <=日本自動車連盟>のロードサービス)」に連絡するようにしてください。車を運転している場合は、ハザードライトやヘッドライトを点灯させて、車の存在を知らせるようにしましょう。
雪の重さは数百キロにも!? 落雪は命を奪う危険も
雪に関する災害の中で死亡事故も多いといわれるのが「落雪」です。空から降る雪はふわふわとしていて軽いように思えますが、積もってから時間が経った雪は想像以上に重いのです。特に雪が降ってから数日経った状態の「ざらめ雪」が落ちてくると非常に危険です。こうした雪は、その一部が融けて再び凍結すると、降ったばかりの新雪と比べて約6倍以上の重さにもなるといわれています。1㎤あたりでは、新雪だと約50㎏でも、ざらめ雪になると約300㎏にもなります。
春にかけて、気温が上がって雪が緩み始めると、突然屋根や木などから雪の塊が落ちてきてケガをしたり、最悪の場合は窒息死したりする危険性もあります。晴れた日に雪道を歩く時は、頭上に十分注意するようにしてください。
文=片山美紀 写真=片山美紀、ウェザーマップ、写真AC
参考:ウェザーニュース「時間経過で密度が最大10倍に!?想像以上に重い雪の脅威」