なんで、お彼岸にお墓参りするの?

どうしてお彼岸と言われる時期にお墓参りをするのでしょう?

それを知るために、言葉の意味を掘り下げでみましょう。

「彼」という文字は「あちら」という意味ですので、彼岸は「向こう岸」ということです。

対して、こちらの岸を「此岸(しがん)」と言います。

そして、彼岸と此岸の間に流れているのが三途の川なので、「此岸=今生きているこの世界」で「彼岸=亡くなった人のいる世界」として表現され、お墓参りに行って故人を想う時期を「お彼岸」というのです。

極楽浄土のオーナー阿弥陀如来(東京都目黒区「蟠龍寺」)。
極楽浄土のオーナー阿弥陀如来(東京都目黒区「蟠龍寺」)。

また、仏教の考え方では亡くなった人は(地獄に落ちない限り)、阿弥陀如来がオーナーである極楽で静かに暮らしているとされています。

極楽は正しくは「西方極楽浄土」といって、西の方角に存在すると考えられています。

お彼岸は、春分の日と秋分の日を挟んだ前後3日間ですので、夕日が真西に沈むこの時期こそ、極楽浄土に思いを馳せるのに最適な日。

だからこそ、この時期にお墓参りをするんですね。

お墓の前に行っておきたい場所

本堂へのお参りを忘れずに!(静岡県「指月殿」)。
本堂へのお参りを忘れずに!(静岡県「指月殿」)。

では実際に、お墓参りに行く場合、故人が眠る墓地や納骨堂に直行していませんか?

お寺の場合は、まずは本堂に行きましょう!

本堂には、ご本尊である仏像が祀られています。物理的にお墓を守っているのはお寺の方ですが、仏教的な意味ではこのご本尊が守っていると考えます。

筆者の法名。
筆者の法名。

「亡くなったうちのじいちゃんも私も、別に仏教徒ではないから、ご本尊にはお参りしなくていいや」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

でも、仏式でお葬式をあげた方なら、「戒名(浄土真宗では法名)」がついているはずです。

本来は「仏様に身を委ねよう」と、生前に仏教徒になる際につけられるのが戒名でした。

かくいう筆者も「釈 成量」という法名を持っています。

しかし、無宗教を自認する日本人が多くなった現代。

こんな言い方をすると怒られるかもしれませんが、亡くなった時に「仏式でお葬式をするために、仏の弟子になったテイにする」的な意味合いが強くなっています。

そうしたことから、故人を守ってくれているご本尊に先にご挨拶をしておくのです。

お墓参りで迷うあれこれ!どうするのが正解?

さて、いよいよお墓参りです。

しかし、実際にお墓を目の前にしても「これって、どうするのが正解だっけ?」ということがたくさんあるのではないでしょうか?

まず、お墓の掃除をすると思います。暮石はゴシゴシ磨いてもいいのでしょうか?

暮石を痛める可能性があるので、基本、ゴシゴシするのは避けましょう。

上から水をかけ、柔らかいタオルやスポンジで洗います。

どうしても気になる汚れやコケがあれば、担当の石材屋さんやお寺の方に相談するのが安全です。

また、ドラマなどで故人の好きだったお酒を暮石にかけるシーンを見かけたことがある方もいるのではないでしょうか。

気持ちはわかりますが、お墓参りの人が帰った後、鳥や虫や獣が寄ってきて大変なことになってしまいます!

好きなものは、墓前にお供えするのが一番です。

では、そのお供え物、故人がゆっくりと味わえるように、置いて帰りたくもなりますよね。

しかし、こちらも動物や虫たちが狙っていますので、お参りが終わったら持ち帰りましょう。

西に沈む夕日を見ると、なんとなくお彼岸を思う。
西に沈む夕日を見ると、なんとなくお彼岸を思う。

今回は、お寺へのお墓参りについてご紹介しました。

仏教以外の墓地や無宗派の霊園での作法とは、違う部分もあると思いますので、お参りに行く場所に合わせて故人を偲びましょう。

まだ暑いので、熱中症対策をして、よいお墓参りを。

写真・文=Mr.tsubaking