淡白で瑞々しい冬瓜はおでんによく合う
冬瓜は夏が旬の野菜だ。名前に「冬」が付いているが、冷暗所で保存すれば冬まで持つことから冬瓜と呼ばれるようになった。
約95%が水分という果肉は瑞々しく味は淡白で、煮物に最適の食材だ。カリウムを多く含んでおり、高血圧の予防や利尿作用の促進などが期待できる。また、ビタミンCも豊富だ。
購入の際は皮の色が濃く、ずっしり重たいものを選ぶといい。また、皮の表面に粉がふいているのは完熟のサインだという。
冬瓜は夏の野菜のため、おでんの具材としては一般的ではない。だが、煮物に最適の食材なのでおでんにもよく合う。東京のおでん種専門店では『塚田水産 麻布台ヒルズ店』で提供していた。店頭で調理するできたておでんの具材で、オーダーを受けてから鍋に入れて温める。
大きさや色味が似ているため、時折「大根の代わりに」と紹介されることがあるが、味はまったく異なる。非常に淡白で瑞々しく、暑い時期に冷やしおでんにすると格別の味わいとなる。
簡単調理でおいしくできる、冬瓜のおでん
さて、ここからはおでんにおける冬瓜の調理法を紹介していこう。切ってそのままおでんに入れてもいいが、青臭さを取り、より柔らかく、味が染みるように下茹でを行う。
丸ごとの場合は縦半分、もしくは4等分に切る。両端の固い部分を切ったら、皮を剥いていく。皮が固い場合は縦に立てて下に削ぐようにするといい。包丁が苦手な方はピーラーを使うといいだろう。
皮を薄めにすると煮崩れしにくく、厚めにすると柔らかくとろりとした食感になる。なお、皮を薄く剥いて表面の緑色を残して煮ると翡翠煮になる。
包丁ですくうように刃を入れて種とワタを取る。この作業はスプーンでも代用できる。
次に、食べやすい大きさに切っていく。角切りにするのが一般的だが、今回はほかのおでん種との兼ね合いを考えて大きめに切った。煮崩れが心配な場合は面取りをし、味をよく含ませたい場合は隠し包丁を薄く入れる。なお、塩をすり込む場合があるが、これは色止めのためだ。おでんの場合は省略してかまわない。
鍋に水を張って冬瓜を入れ、中火にかける。沸騰したら弱火にして、5分ほど茹でる。竹串が入る程度に柔らかくなったら火からおろし、冷水に入れて晒(さら)す。あとは水気を取れば下ごしらえは完了だ。
味付けは非常に簡単、おでん汁で煮るだけだ。弱火で5分から10分程度、粗熱を取ってしばらく冷蔵庫に入れておけば、より味が染みる。
ほかのおでん種と一緒に鍋に入れてもいいが、一品料理にしても雰囲気が出る。生姜、ミョウガ、鰹節など好みに合わせてトッピングしてもいい。
温かい状態で食べてもおいしいし、冷やしおでんにしてさっぱりと味わうのもおいしい。たっぷり出汁の旨味を吸い込みながら、冬瓜本来の瑞々しさも感じられる。暑い時期の栄養補給にもうってつけなので、お店で見つけたらぜひおでんにしてみてほしい。
取材・文・撮影=東京おでんだね