正しく活用して役立てよう!台風情報を確認する時のポイントは?

台風の接近が予想される時、テレビやインターネットなどで台風の進路情報を確認する人は多いと思います。台風情報の中で特に注目度が高いのが、「予報円」です。皆さんは図1の予報円(白い破線の円)を見て、どのような印象を受けるでしょうか?「白い円がだんだん大きくなっているから台風が発達しそう」などといった声をよく聞きますが、実は間違いです。

図1 台風経路図の例(画像=気象庁)。
図1 台風経路図の例(画像=気象庁)。

「予報円」とは、予報時刻に台風の中心が70%の確率で進むと予想された範囲のことです。図1の場合は、20日9時に台風の中心が近畿地方に進んでいる可能性もあれば、関東地方に接近している可能性もあり、さらに日本海に抜けている可能性もあるのです。ですから、予報円が大きければ大きいほど、台風はどこへ向かうのかまだ進路は定まっていないということを意味しています。近年は予報精度の向上により以前と比べて予報円は小さく描かれるようになりましたが、予報円が大きな場合は最新の情報をこまめに確認する必要があります。

また、赤い円は「暴風域」と呼ばれる風速25m/s以上の大人でも立っていられないくらいの風が吹き荒れている領域です。黄色い円は「強風域」で風速15m/s以上の風の吹いている範囲です。強風域内では、風に向かってまっすぐに歩くのが難しくなるくらいの風が吹き、看板やトタン板が吹き飛ばされるほどの強風となることもあります。

強風域は、台風の大きさを表す基準にもなります。「大型」の台風とは、強風域が半径500㎞以上、800㎞未満、「超大型」の台風とは、強風域が800㎞以上の台風を指します。中心から離れていても、強風域に入れば飛んでくる物でケガをするかもしれないので、とても危険です。大型や超大型の台風が近づく時は、台風の中心がまだ遠い段階から散歩の予定は見直しましょう。

強い風で木が倒れ、物が飛ばされることも。散歩中に被害に遭わないように注意したい(画像=写真AC)。
強い風で木が倒れ、物が飛ばされることも。散歩中に被害に遭わないように注意したい(画像=写真AC)。

海沿いの散歩は危険!晴れていても波が高くなる!?

台風が日本付近で発生している時は、海辺の散歩は用心する必要があります。たとえ台風から離れているところでも、急激に波が高くなることがあり、過去にも海を見るために海岸へ出たり釣りやサーフィンをしていたりして、波にさらわれる事故が起きています。台風がはるか南の海上にある時でも、台風によって発生した高波が「うねり」となって、太平洋沿岸まで伝わることがあるためです。

恐ろしいのは、台風はまだ遠くにあるため、空は晴れていて穏やかな天気なのに高波が押し寄せることです。波浪注意報・警報が出ている時は、たとえ晴れていても海の近くを歩くのはやめておきましょう。

台風接近中は晴れているのに高波が押し寄せることも(画像=写真AC)。
台風接近中は晴れているのに高波が押し寄せることも(画像=写真AC)。

台風の接近前から大雨になるリスクも 

台風が日本付近にある時は、台風周辺の水分をたくさん含んだ非常に暖かく湿った空気が流れ込みやすくなります。暖かく湿った空気は、雨雲のもとになる水蒸気を大量に含んでいて、雨雲を発達させます。このため台風が接近していると、いわゆる「ゲリラ豪雨」が発生することが多くなります。ゲリラ豪雨は気象庁の正式な気象用語ではないものの、予想が難しい突然の大雨を上手く言い表していると世間に広く浸透している言葉です。

一昔前は、夏の午後に降る雨を「夕立」などと風流な表現で呼んでいましたが、近頃はあまりにも雨の降り方が激しくなっているため十分な注意が必要です。ゲリラ豪雨が発生すると、台風の接近前から道路が冠水するほどの大雨になることがあるため、散歩の時は折り畳み傘を持つ、レインブーツや晴雨兼用の靴を履くほか、スマホなどで最新の気象情報を確認して危険な場合は予定を見直すようにしましょう。

ゲリラ豪雨によって道路が川のようになるおそれも(画像=写真AC)。
ゲリラ豪雨によって道路が川のようになるおそれも(画像=写真AC)。

文=片山美紀、TOP写真=ウェザーマップ