オールドレンズを知ったきっかけ
私がオールドレンズの存在を知ったのは、山本まりこさんの『オールドレンズ撮り方ブック』という書籍を読んでから。美しいボケやゴースト、柔らかな風合いの写真に魅力されて、絶対に欲しい……! とすぐに思いました。
昔のレンズなので、新品のレンズと比べて比較的安く手に入るのもオールドレンズの素敵なところ。それでも、本に載っていたり、ブログ等でよくレビューされているようなレンズは数万円するものも多く、そんなに気軽には買えないな……と思った私は、もっとお手頃価格で手に入るレンズを探すことにしました。
そして見つけた『FUJIAN TV LENS 35mm F1.7』
たくさんのオールドレンズの中から見つけたのは、手の平に収まるほど小さなシネレンズ。シネレンズとは、写真用ではなく、映画撮影などに使われていた映像用レンズのこと。イメージサークルが小さいので、マイクロフォーサーズ機などセンサーサイズの小さなミラーレス一眼に向いているレンズです。
私が購入した時の価格は、なんと3000~5000円程度。通常のレンズとは比較にならないほど低価格なのに、オールドレンズ特有の味わいをしっかり見せてくれる、とっても優秀なレンズなのです。まるでオモチャみたいな見た目も、なんだかかわいい。
使ったカメラは、OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II。専用アダプターをつけ、レンズをクルクルと回しながら装着。マイクロフォーサーズ機で使用する場合、焦点距離は倍の70mmになります。
『FUJIAN TV LENS 35mm F1.7』の特徴
このレンズの最大の特徴は、「ぐるぐるボケ」と呼ばれるボケ。写真の四隅に近い部分が歪んで、ボケが中心から渦巻いているようになります。デジタルレンズとは違う、不揃いな玉ボケもとても綺麗です。
こんな風に虹色の線が写り込んだり、
フレアの効果でどこか幻想的になったり、人物写真も淡く優しい雰囲気で撮れます。
絞り開放で撮ったときの、境界のないとろけるようなボケもとても綺麗です。
安価でオモチャのような見た目なのに、こんなにさまざまな表現ができることに驚き、このレンズは私のお気に入りの一つになりました。小さくてとても軽いレンズなので、持ち歩きにもピッタリ。オートフォーカスは使えませんが、ピントがうまく合わなくても、それはそれで味のある写真になってくれます。
マイクロフォーサーズ機を持っている方は、ぜひこのレンズの世界を体験してみてはいかがでしょうか。
その際は、アダプターを一緒に購入するのをお忘れずに……!
取材・文・撮影=カメラガールズ編集部