女性にも愛される丁寧に作られた家系ラーメンと明るい雰囲気

隅々まで掃除が行き届いている店内も女性に人気がある要因の一つだろう。
隅々まで掃除が行き届いている店内も女性に人気がある要因の一つだろう。

外観は木目調の落ち着いた造りで、壁に掲げられた独特な字体の看板が目を引く。店内は白い壁に木のカウンターや赤の椅子など、温かみを感じる造りだ。

2010年のオープン以来、行列ができることが多い人気店。店主の五十嵐恵三さんは「学生だけでなく、幅広い年代の人に来ていただいています。家系にしては珍しいと思うのですが、女性のソロ客も多いですし、近所に住んでいる年配の方もいらっしゃっています」と教えてくれた。
筆者もこの店の味に魅了されて足繁く通っているが、五十嵐さんが言うように女性客が多いように感じられる。味だけでなく、明るい店内や五十嵐さんの人柄も多くの人を引きつけているのだろう。

濃厚でスッキリしたスープとモッチリ麺。手間暇かけたトッピングも旨い

【割引価格】のり玉チャーシューらーめんは、トッピングたっぷりでお得。
【割引価格】のり玉チャーシューらーめんは、トッピングたっぷりでお得。

オススメは、【割引価格】のり玉チャーシューらーめん1150円。チャーシューや海苔がらーめんに比べて多くなり、味玉がセットになっていて、見た目にも豪華でお値打ちだ。食券を渡す際に、家系では恒例の麺の硬さ・味の濃さ・油の量を選べる。

スープは見た目通りの濃厚さやクリーミーさがあるが、後口はスッキリとしている。毎朝8時頃から作り始めるというスープは、横浜から毎朝届けられる新鮮な豚ガラなどを使用しているため、フレッシュで臭みが少ないのだという。また、鶏油は、抽出する際に水を使う製法を多くの店舗が採用しているのに対して、鶏の脂のみを温度管理しながらじっくりと煮出しているため純度が高い。手間暇かかる製法で作っているため、臭みを出さずに濃厚な味になるそうだ。

スープは2つの寸胴を用意し、新しいスープを加えて味と濃度を一定にしているという。
スープは2つの寸胴を用意し、新しいスープを加えて味と濃度を一定にしているという。

麺は家系御用達の酒井製麺の中太ストレート。モッチリとした食感で、スルスルとしたのど越しがいい。完成度の高いスープのよさを余すことなく伝えてくれる。

トッピングで特に目を引くのは味玉。通常の店舗だと、まるごと入れるか、半分に切るぐらいだが、手の込んだ飾り切りをしている。
「味そのものは変わりませんが、技術や手間をかけることで、見た目がきれいになるでしょう」と五十嵐さん。確かに思わず見とれほど美しく感じる。

【割引価格】のり玉チャーシューらーめんならば4枚ものるチャーシューも旨い。豚肩ロースをじっくりと煮込んだチャーシューをスープに浸すことによって、脂がトロリとあふれ、柔らかくてジューシーな味になってくる。
丼の縁に立つように盛り付けられた海苔も絶品。五十嵐さんは「おいしいのはもちろんですが、スープに浸しても溶けにくい海苔を専門業者から仕入れています」と話す。海苔にスープの旨味を吸い込ませば、磯の香りも加わり、さらに味わい深い。

スープによく合うライス。オリジナルふりかけも好評

家系ならばライスは必須。オリジナルふりかけで何杯も食べたくなる。
家系ならばライスは必須。オリジナルふりかけで何杯も食べたくなる。

家系にはライスを添えて味わうのもいい。ライスは半ライス30円(食べきり)、普通ライス(おかわり自由)50円。米専門業者から直接買い付けるという米をガス釜で炊き上げる。やや固めに炊いているので、スープとの相性も抜群。スープに浸してもよし、海苔で巻いてもよし、チャーシューをおかずに食べるのもいい。

卓上に置かれた調味料の数々。2種類のふりかけが目を引く。
卓上に置かれた調味料の数々。2種類のふりかけが目を引く。

ここで忘れてがいけないのがふりかけ。のり玉風のオリジナルと、「辛」とかかれた赤いオリジナルふりかけの2種類がある。「赤いふりかけは、辛みを加えています。のり玉風のオリジナルも、いろいろと工夫を凝らしています。お客様の中にはこの赤いふりかけが食べたくて来店される方もいらっしゃいます」と話してくれた。筆者もその一人で、ラーメンが食べたいのはもちろんだが、ピリッとした赤いふりかけ目当てに訪れたことがある。普通ライスを頼んで、スープや海苔と一緒に味わい、その後に赤いふりかけ……。これを繰り返してしまうこともある。

スープに辛みトッピングを加えれば刺激的になる

見るからに辛みを感じる五十三家地獄。
見るからに辛みを感じる五十三家地獄。

「辛いのが好きならばこれもオススメですよ」と五十嵐さんが出してくれたのが、五十三家地獄(オリジナル辛味スパイス)110円。一味唐辛子をメインにさまざまな辛味が複雑に絡み合う。「塩分は不使用」だそうで、豚骨醤油スープの味をそのままに、辛みと香味が加わって刺激的においしさが引き立ってくる。
「この五十三家地獄を赤いふりかけに加えてライスを食べる方もいます」と五十嵐さんから教えてもらったので試してみる。ピリ辛だった赤いふりかけが、強烈な辛みを発揮し、ライスの甘さが引き立ってくる。これからは五十三家地獄も購入してしまうかもしれない。

家系のおいしさに惹かれ、修業後に江古田で出店

店主の五十嵐恵三さん。
店主の五十嵐恵三さん。

五十嵐さんが家系に魅了されたのは大学生の頃だったという。「横浜で初めて食べたとき、こんなにおいしいラーメンがあるんだと思いました。その後、新中野系武蔵家で修業することになりました。食材はできる限り安心安全な国産を使用し、麺以外はすべて手作りにこだわっています。食材は一括で仕入れるのではなく、それぞれ専門の業者から仕入れています」と話してくれた。
江古田に開店する理由については、「独立するにあたって出身地の群馬県で出店しようと考えていました。ただ、現在の場所で祖父がテーラーを、祖母が対面式のタバコ屋を営んでいたこともあって、没後に祖父母が大切にしていたこの場所で開店することにしました」と話してくれた。店頭にある縦型の木製看板は祖父愛用の仕立台だったものを再利用しているという。

個性的な字体の看板がいい。
個性的な字体の看板がいい。

おいしい家系が食べられるので、何気なく通っていた『横浜家系らーめん 五十三家』。五十嵐さんに話を聞いてみるとこだわりが旨さを生んでいるのだと知ることができた。ラーメンやライスと赤いふりかけ、そして新たに知った五十三家地獄。通う楽しみがさらに増えた。

五十嵐さんが好きなドクターペッパーも販売している。テイクアウトで買うお客さんもいるとか。
五十嵐さんが好きなドクターペッパーも販売している。テイクアウトで買うお客さんもいるとか。
住所:東京都練馬区栄町21-3/営業時間:11:00~15:00・18:00~21:00/定休日:水・木/アクセス:西武鉄道池袋線江古田駅から徒歩5分、または西武鉄道有楽町線新桜台駅から徒歩3分

取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン