脱サラ店主が、おいしくてヘルシーなラム肉をもっと気軽に食べてほしくて開店

北千住駅東口から学園通りを経由し徒歩3分。大きな看板が目印の『HAWAIIAN CAFE LAU LAU LAMB』は2018年6月にオープンした。

ハワイアンなのにラム肉!? ハワイでは旅行者がファイヤーダンスを見ながら、分厚いステーキや金串で刺した巨大なBBQにかぶりついているイメージがある。最近はラム肉も食べるのかもしれない。

ラム好きの筆者としては「ラム肉のお店」のキャッチフレーズに「おっ!」と足を止めた。
ラム好きの筆者としては「ラム肉のお店」のキャッチフレーズに「おっ!」と足を止めた。

さっそく店に入り店主の中村誠一さんに尋ねてみたのだが、「ハワイでラム肉は食べないと思いますよ」と笑われてしまった。やっぱり、じゃあどうして!? とさらに聞いてみた。

「私の好物で。ヘルシーでおいしいラム肉をみんなに食べてもらいたいなという想いがありました。世界中ではポピュラーですが、日本ではまだ気軽にラム肉を食べる機会がない。そこで、ファストフード的に提供したらいいんじゃないかという発想がありました」。

手書きのPOPにはいかにラムがヘルシーか、罪悪感なしにいただけるかが書かれている。
手書きのPOPにはいかにラムがヘルシーか、罪悪感なしにいただけるかが書かれている。

「フライドチキンとかハンバーガーとか、アメリカンな要素を入れたいなって思った時に、ハワイアンならロコモコとか食べやすい料理もあるし、好意的なイメージがあると思いました。いやね、お客さんにも『ハワイでラム食べるんですか?』って聞かれるんですよ」と話す。

店主の中村誠一さんとアルバイトの都築優亜さん。
店主の中村誠一さんとアルバイトの都築優亜さん。

中村さんは飲食とは関わりのないメーカーに25年勤務していたが、「サラリーマンで終わるのは嫌だと思って」退職して自ら店を立ち上げた。「調理学校の飲食店開業コースに1年間通って、調理や計画書の作成方法を学びました」と語っていて、なるほどそれでコンセプトやメニュー構成などもしっかりしているのか、と納得した。

高い天井にシーリングファンが回る風景は、現地のロコが通っていそうなカフェの雰囲気。
高い天井にシーリングファンが回る風景は、現地のロコが通っていそうなカフェの雰囲気。

ラム肉をどういう風に提供をしたらみんな食べてくれるかなと考えた中で、最初に思いついたのはラム肉を揚げるというアイデア。「ケンタッキーみたいに肉に衣をつけて揚げたフライドラムですね。この通りは学生も多いので食べながら帰ったりとか、ご家庭では食卓に並べたりとかできるなと思いました」。

フライドラムはこの店の看板メニューとなり、中村さんの狙い通りおやつやおかず、酒の肴にと老若男女に好評だ。

ありそうで、東京でもなかなか食べられるところは少ないフライドラム。
ありそうで、東京でもなかなか食べられるところは少ないフライドラム。

食事やおやつ、お酒にも合うラムを手軽に楽しめるフライドラム&ラム串

どんなものか想像はつくが、フライドラムにはなじみがない。ジンギスカンをよく食べる北海道では、ラム肉のザンギがあるようだが……。

「うちは香辛料を 12種類使ってるんですよ。お酒とか炭酸飲料に合うように、ちょっとピリッとさせつつ旨味もあるような感じですね。衣には卵白を加えてフワッと軽めに仕上げています。1枚食べたらもう1枚食べたくなると思いますよ!」という中村さんの自信作。

プレーン、レッドホット、ブラックペッパーの3つテイストがある。衣をつけるので肉汁を逃さず、ラムは短時間で火が通るためファストフードにはうってつけ。しかも、「揚げたては格別!」と太鼓判を押す。きっと開発にもかなり力を入れたのだろう。

フライドラム、ラム串は開店時間中いつでも食べられる。
フライドラム、ラム串は開店時間中いつでも食べられる。

「ラム屋さん自体がないので、商品開発の前に有名店の手羽先の唐揚げを食べに行きましたね。スパイスをつけて揚げているっていうところで、味の方向性を決める参考にしました」。

フライドラムに並ぶ人気メニューなのがラム串。エスニックスパイスとガーリックソルト、柚子コショウの3種類がある。「やっぱり私はお酒好きなので、酒に合うような感じで作りたいなっていうのがあって。単純に塩コショウで焼いてもおいしいんですけどそれでは芸がないなから少しピリッとしたテイストにしています」。

これはお酒に合いそう。やはり焼きたてが一番なのだろうが、テイクアウトして自宅でゆっくり楽しむのもいいかもしれない。

カウンターでフライドラムとビールをサクッと飲んでいく人も。
カウンターでフライドラムとビールをサクッと飲んでいく人も。

肉々しいラムショルダーのハンバーグは噛むほどに旨味がジュワ〜

本題のランチにも注目したい。学生にダントツ人気なのは、メインとトッピングが選べる500円のワンコインランチ。一方で大人が多い休日はロコモコやポキ丼が主力になる。「だけど平均してよく出るのはハンバーガー。常連さんにはバーガー屋さんとして認識されていると思います(笑)」。

ワンコインランチは14時までだが、ほかは17時までだから遅めのランチ(早めの夕飯!?)でも間に合う。
ワンコインランチは14時までだが、ほかは17時までだから遅めのランチ(早めの夕飯!?)でも間に合う。

どれも食べてみたいが、2022年秋に誕生したというデミグラス煮込みのラムロコモコ1350円をいただいてみることにした。店内で使用するラム肉はオーストラリア産で、メニューによって部位を使い分けている。

ロコモコのハンバーグにはショルダーを使用する。中村さんは「ショルダーは脂が少なくて繊維が太いけれども、ひき肉にすると食べやすいんです。基本的にはラム100%ですけど、香辛料やつなぎに卵白などを入れています」と解説してくれた。

セルクルでキレイな円形にした目玉焼き。
セルクルでキレイな円形にした目玉焼き。
デミグラスソースで煮込まれたラム肉のハンバーグ。
デミグラスソースで煮込まれたラム肉のハンバーグ。

「お待たせしました〜!」と、中村さんからパックに入ったロコモコを渡された。ヘルシーな十五穀米の上にラムのハンバーグ、目玉焼き、アボカドにはアイオリソースがかけられている。ニンジンのラペとチョップドサラダ2種が付き、甘酸っぱい自家製ドレッシングがかけられて彩りも鮮やかだ。

ファストフード店らしくイートインでも使い捨てのパックで提供され、プラスチック製のナイフとフォークでいただくのが新鮮な感覚だ。ハンバーグは弾力があるから、ナイフがポキッと折れないかしら……と不安だったけど、一度ナイフが入るとスッと切れた。それじゃ、いただきまーす。

肉々しくジューシーなラム肉のハンバーグ。
肉々しくジューシーなラム肉のハンバーグ。

ハンバーグはゴロッと粗めのひき肉だが食感はもっちりとしていて、噛むほどに旨味がしみでてくる。ラムのイヤな匂いはなくて、食欲をそそる香り。あ、コレはラムが苦手な人でも食べられそう。

「あんまり焼きすぎないようにしているのでふわっとしているんだと思いますよ」と中村さん。デミグラスソースには九州の醤油を使っているのもポイント。「ファストフードなので、あまり上品すぎないように」とこの味付けにしたとか。サラダのドレッシングにも同じ醤油を使っているせいか親和性がある。

筆者はこの量で満足だったが、もう少し食べられるならセットメニューがおすすめだ。「一番人気はフレンチフライやラムコロッケなどの揚げ物系ですね。昼間からアルコールセットを楽しむ方も多いですよ。セットからは除外されていますが、ハワイアンクラフトビールやスムージーなどもあります」。

フードメニューをオーダーするとお得になるセットメニュー。
フードメニューをオーダーするとお得になるセットメニュー。

次に来る時はフライドラムやラム串で軽く飲んで、ロコモコをつまみながらまた飲んで……って、ファストフードなのにじっくり腰を据えちゃってるじゃない。それもウェルカムなのが『HAWAIAN CAFE LAU LAU LAMB』のイイところだ。マハロ〜!

住所:東京都足立区千住旭町35-17クレール北千住1F/営業時間:10:30~20:00(金・土は10:30〜21:00)/定休日:不定/アクセス:JR・私鉄・地下鉄・つくばエキスプレス北千住駅から徒歩3分

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢