◆散歩コース◆

体力度:★★☆
難易度:★☆☆

  • 登山シーズン 3月~6月、9月~12月
  • 最高地点 1098.3m(丸山)
  • 登山開始地点 500m(笛吹入口バス停)
  • 歩行時間 2時間45分
  • 歩行距離 約6.5km
スタート
笛吹入口バス停
笛吹の集落はバス停から上がったところ。笛吹峠・小棡峠の標識。先に石塔などが数体出迎えてくれる。

小棡峠分岐
笛吹の集落に入り少し上がっていくと分岐。バス停から10分ほど。集落の外れの民家脇から登山道になる。

丸山
登山道は樹林帯の中を行くが、途中で開け、笹尾根の展望がいい。笛吹峠との分岐から丸山を回って行く。

大羽根山分岐
丸山は樹林帯の中で展望はなし。笹尾根を笛吹峠から大羽根山分岐まで。ここから右折し、ひたすら下る。

大羽根山
天気がよければ、山頂から正面に御前山が迫るはずだが……浅間坂の建物がかすかに見えるだけ。

ゴール
浅間尾根登山口バス停


アクセス:
[行き]新宿駅からJR中央線で立川駅へ。立川駅からJR青梅・五日市線で武蔵五日市駅へ。武蔵五日市駅から西東京バスで笛吹入口バス停へ、約2時間10分。
[帰り]浅間尾根登山口バス停から西東京バスで武蔵五日市駅へ。武蔵五日市駅からJR五日市線で拝島駅へ。拝島駅からJR中央・青梅線で新宿駅へ、約2時間。

武蔵五日市駅から数馬へ行く便は1時間に1便はあるのでとくに問題はない。多めに歩きたければ、手前の人里で下車し、土俵岳から笹尾根を歩いて丸山へ向かえば、プラス1時間半。

笛吹と書いて「ふえふき」と読めば笹尾根の向こう、山梨県の笛吹市になり、「うずしき」と読めば東京都檜原村の笛吹の集落になる。

うずしきとは難読地名だが、ほかにも読み方があるようで、現在の国土地理院の地図では「うずひき」とルビがあり、手元にある1929年の古い国土地理院では「ウヅシキ」とある。

また土地の人は「うそふき」や「うずひき」ともいうし、一体どう読むんだ、と謎は深まるばかりだ。

近くにある集落の人里も「へんぼり」と読む難読地名。檜原村はこれからは難読村といいたいくらいだ。その難読集落から笹尾根に上がって、また下りるというコースへ出発。

笛吹入口バス停で下車。檜原街道を離れて笛吹集落の道へ入る。少し上がっていくとすぐ集落が見えてくる。小網峠の分岐からさらに坂を上がると集落が俯瞰できる。山村集落の眺望がいい。

集落の入り口付近に石塔などが10基以上。中身はいろいろのようで、富士山の登山成就記念や百観音に巡拝した記念の百番塔など。好きな人がいたのだろう。
集落の入り口付近に石塔などが10基以上。中身はいろいろのようで、富士山の登山成就記念や百観音に巡拝した記念の百番塔など。好きな人がいたのだろう。
笛吹集落の中を上がっていく。集落の中には笛吹沢が流れている。
笛吹集落の中を上がっていく。集落の中には笛吹沢が流れている。

集落の中を上がると、登山道になり、樹林の中を抜けると笹尾根の展望が開けてくる。これは森を伐採したからだろう。笹尾根方面と、今上がってきた笛吹の集落が見えてくる。

集落を抜けて上がっていくと笛吹の民家が俯瞰できる。笛吹は世帯数が16世帯で人口は27人(2022年)、檜原村全体では約2070人。
集落を抜けて上がっていくと笛吹の民家が俯瞰できる。笛吹は世帯数が16世帯で人口は27人(2022年)、檜原村全体では約2070人。
展望が開けた笹尾根から登ってきた笛吹の集落を俯瞰。檜原街道も少し見える。
展望が開けた笹尾根から登ってきた笛吹の集落を俯瞰。檜原街道も少し見える。

笛吹峠への分岐を右に分けてさらに進むと丸山へ到着。1098mほどある笹尾根のピークのひとつ。展望はまったくない森の中になる。標識はあるので山頂に着いたことは確認できる。

笛吹の先、樹林帯を抜け、丸山に行く途中から展望が開けてくる。笹尾根のこの眺めは大菩薩嶺の尾根歩きにも通じる風景かもしれない。富士山は見えないけれど。
笛吹の先、樹林帯を抜け、丸山に行く途中から展望が開けてくる。笹尾根のこの眺めは大菩薩嶺の尾根歩きにも通じる風景かもしれない。富士山は見えないけれど。

山梨と東京の境界尾根、笹尾根縦走を開始

笛吹峠方面へと笹尾根縦走を開始するが、まるで展望のない縦走はちょっとつらいかもしれない。最近はところどころ木を伐採したりして、少し見えるところも増えてきたように思うが、どうだろうか。やはり笹尾根は、トレランのハセツネカップの尾根なのだろうか。

展望のない笹尾根をゆく。笹尾根は展望さえ求めなければ、いい縦走路だと思う。たまには伐採跡から視界も少し開ける。
展望のない笹尾根をゆく。笹尾根は展望さえ求めなければ、いい縦走路だと思う。たまには伐採跡から視界も少し開ける。

ほとんど山に興味のない人たちの山の中のレースというのは、いったい何なんだろうかと、つい思ってしまう。別に山でやらなくてもいいのでは? というのがまっとうな感想だと思うのだけれど。ずいぶん前だが、笹尾根を歩いていたときに練習で走っている人と話したことがある。その人は、山にはなんの興味もないと言っていた。レースをしたいだけだという。下の檜原街道でも走っていれば、迷惑にもならないのだが。

笛吹峠からおよそ半時間ほどで大羽根山分岐へ。このまま縦走すれば数馬峠、田和峠を越えて槇寄山方面へと縦走できるが、今回は大羽根山へと下ることにする。

笛吹峠の先では登山者の一団が弁当をひろげていた。
笛吹峠の先では登山者の一団が弁当をひろげていた。

分岐から30分ほどで大羽根山に着いたが、空がぼんやりと曇ってきたので眺望はいまひとつ。近くにあった、ここから見える山々の写真が載った看板を見ると、正面に御前山、左手に石尾根の六ツ石山や鷹ノ巣山、右手には大岳山などが見える、はずだったが、皆目わからず。

木の間から目を凝らすと、どうにか今日最後に寄ってみたい数馬にある民宿浅間坂が小さく見えた。

檜原街道へ下りてから、今日最後の登りを15分。お目当ての風呂とおいしいそばに舌鼓を打てば、笹尾根縦走の完了となる。

山歩きメモ

笹尾根は三頭山から高尾山まで続く山梨県と東京都の境界の尾根である。全長40㎞に及ぶ。歩きやすい尾根で危険も少ないが、いかんせん展望場所が少ないのが残念だ。

アドバイス

40kmある笹尾根の一部を歩くが、危険なところはまずない。展望は笛吹から上がり、樹林を抜けたとこから笹尾根までの間は素晴らしい。笹尾根の風景と笛吹の集落や奥多摩の峰々の風景がいい。

浅間坂 木庵

下山後は眺めのいい檜風呂で汗を流そう

料理はいろいろあり。写真は鹿肉の燻製。そばもいける。一升瓶のワインが飲めるのがうれしい。
料理はいろいろあり。写真は鹿肉の燻製。そばもいける。一升瓶のワインが飲めるのがうれしい。

下山口になる浅間尾根登山口バス停近くから車道を15分も上がると浅間坂木庵に。最後のこの登りが少しこたえるが、絶景の檜の風呂が待っているので我慢できる。入浴後は「木庵」で地の食材に舌鼓。ちなみに民宿もやっており、部屋からは笹尾根の絶景が。

●11:30~17:00(宿泊者がいる場合は15:00頃までの利用)、入浴料700円。月〜水曜休み。浅間尾根登山口バス停から徒歩15分。 ☏042・598・6201

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ 低山をきわめる!』より