まずは愛宕神社にお参りに行こう。朝の神社の空気は好きだ。そして今オレは全てに感謝したい気持ちなんだ。

神谷町駅から愛宕神社まで歩く。

天気も良くて最高じゃないか!!!
天気も良くて最高じゃないか!!!

愛宕神社は防火・防災の守り神だけではなく仕事運アップでも有名だ。

彼女のために仕事も頑張っていきたい。オレは決意を固めた。

「出世の石段」は傾斜40度、86段の急な参道だ。
「出世の石段」は傾斜40度、86段の急な参道だ。

おいっ!!思ってたより急じゃん!!

お分かりいただけるだろうか。もはや壁。
お分かりいただけるだろうか。もはや壁。

エルボーは颯爽と石段を登り始めた。やべ、置いていかれる!!!

「お互い頑張ろうぜ。」

と心の中でつぶやく。

と言うと何かかっこいい感じだが、実際は結構ハードだから話す余裕がないのが正直なところだ。やっとの思いで頂上へ。ちなみに、愛宕神社がある愛宕山は標高25.7mで東京23区内の自然地形では一番高い山らしい。

なんだか空気もいいし、自然に癒やされる。

ここが都心であることを忘れる空間だ。
ここが都心であることを忘れる空間だ。

日本は山だらけだから平地は貴重なのだ

で、ここ愛宕山も「山」というだけあって、平べったい東京23区のなかにあっては山っぽい。

そうなんです。東京23区は平べったいのです。平べったいから、こんなふうに都市として発展しているというふうに考えることもできる。

ちなみにですね、日本全体を地形別に見てみると、じつは山地だらけなんだよね。そもそも日本の国土面積はどれくらいかというと、まぁふつうの人だと見当もつかないんだろうけど、約37万8000K㎡です。この「約37万8000K㎡」を地形別に大別してみると、

山地:約28万4500K㎡(75%)
平地:約9万3500K㎡(25%)

おわかりのとおり、平地は貴重なのです。

ところでそんな平地なんですけど、日本のどこにあるのでしょうか。

illust_6.svg

ここで日本地図を思い浮かべてもらいましょう。日本の真ん中は日本アルプスだ奥羽山脈だのが、どーんと北から南まで延びている。

で、そんな山々の裾野から日本海側と太平洋側に至る部分に、つまり国土の両サイドの沿岸部分に、ほらあるでしょ平地。この国土の25%しかない「平地」が都市として発展しているのよ。山と海の間にちょこっとだけある平地(国土の25%)に、人口の約9割(約1億1000万人)が密集して住んでいる。

宅建的に考えてみれば平地=都市=人と産業が集中している=不動産の利用価値が高い

……うん。さらに宅建資格の立ち位置を考えてみると、みんな不動産を欲しがる=不動産業が栄える=宅建資格を取ろうかな=宅建とれば仕事がある……そんなイメージかな。

ちなみに宅建だと都市計画法を勉強するけど、その都市計画法で「都市を建設していく区域を『都市計画区域』として指定する」というのが出てくる。お察しのとおり、この都市計画区域と地形の「平地」はリンクしてます。

実際にさ、東京・千葉・神奈川の首都圏はもちろんのこと、東京駅から東海道新幹線に乗った感じで見てみると、名古屋、大阪、神戸、広島、福岡などなど。平地は基本的に栄えているでしょ?

ただし、平地には災害に対する構造的な弱点もある。つまり、平地は低地だったりするわけで、そうなるとだ、まぁあまり考えたくないけど大地震のときの津波やらなんやらで、大規模に被災しちゃう可能性もある。

令和3年12月に実施された宅建試験でも【問49】で、こんなふうに出題されている。ちょっとピックアップしてみよう。

選択肢1:沿岸地域における地震時の津波を免れるためには、巨大な防波堤が必要であるが、それは限度があり、完全に津波の襲来を防ぐことはできない。
解答:○

選択肢3:低地は、大部分が水田や宅地として利用され、大都市の大部分もここに立地している。
解答:○

選択肢4:平地に乏しい都市の周辺では、住宅地が丘陵や山麓に広がり、土砂災害等の災害を引き起こす例が多い。
解答:○

まとめますと……

大都市の大部分は低地(平地)に立地していて、巨大な防波堤を作っていたとしても、完全には津波の襲来は防げない。

ということなんだよね。

なので、日頃の防災意識が大切です、ということになるわけなんですね。

帰りは緩やかな女坂を下って行く。
帰りは緩やかな女坂を下って行く。

右手に進むと何か工事らしきものをしている。埋蔵文化財の発掘調査をしています。だとっ!!!

「何が埋まっているんだろうね!!!」
「気になるね!!」

なんて盛り上がりながらトンネルを抜けて進んでいく。

お目当ては結構早くからやっているソフトクリーム屋さん『SOWA』。平日は10時からやってる。
お目当ては結構早くからやっているソフトクリーム屋さん『SOWA』。平日は10時からやってる。

最高の朝デートだ。

ソフトクリームで満足したオレたちはさらに散歩を楽しむ。

あっという間に東京タワーに着いた。
あっという間に東京タワーに着いた。

今日はたくさん外を歩きたいから東京タワーは通過。東京タワーに登るのもいいが、色んな角度からの東京タワーを楽しむのもなかなかいい。

オレのイチオシはチケット売り場の壁沿いにある映像。東京タワーができるまでの映像だ。

色んなものがまだ発達していない頃にあの東京タワーを作り上げたってものすごいと思う。結構マニアックな楽しみ方かもしれないが、機会があればぜひ楽しんでほしい。

東京タワーは「建物」か?

みなさんご存知のとおり、土地や建物については「不動産登記」という制度があるでしょ。国が用意している登記簿という公の帳簿(データ)に、土地や建物の所在や規模のほか、誰がその不動産を所有しているかなどが記録されます。土地だったら一筆ごとに、建物だったら1戸ごとに不動産登記があるということになっていて、その登記を調べれば、誰が所有者なのかがわかったりする。

具体的には「登記事項証明書」というのを取り寄せまして、権利関係を確認したりするんだけど、はい、ここで問題。

東京タワーは「建物」と定義されるのでしょうか?

もし「建物」であれば、不動産登記(登記事項証明書)があるはず。ちなみに建物だけど、「屋根があって壁・柱がある工作物」で「土地に定着しているもの」となる。たとえば屋根や壁があって建物っぽいけど、キャンピングカーとかは建物としては扱われないでしょ。

illust_8.svg

では答え。

東京タワーは「建物」!! 登記事項証明書を見てみると……。

構造:鉄筋コンクリート・鉄骨造陸屋根地下2階付き15階建

陸屋根(読み方は「ろくやね」か「りくやね」でどっちでもいいみたい)とは、ビルの屋上のような平な屋根。

「あれ?」と思ったあなた。気持ちはわかります。だって東京タワー、屋上はとんがっているもんね。

でもまぁ、写真をよく見てみてくれたまえ。

タワーの先端のちょっと下に、建物(部屋)っぽいのがあるでしょ。おそらく展望室かな。そこの屋上屋根が、陸屋根。

あ、そうそう。登記があるっていうことだから、東京タワーは誰かの建物だ。ではこのコーナーで、最後の問題。

東京タワーの所有者は誰でしょう。

illust_9.svg

みなさん、登記事項証明書を見てね。いや持ってねーし(笑)!!

はい、答え。持ち主は「株式会社TOKYO TOWER」

民間の会社だよ。でね会社名なんだけど、ちょっと前までは「日本電波塔株式会社」だった。東京タワーの正式名称は日本電波塔なので、そのまま会社名にしていたみたいだ。

東京タワーの背後のビルは日本一の超高層になるんだとか。
東京タワーの背後のビルは日本一の超高層になるんだとか。

東京タワーを堪能してからオレたちは、初夏の潮風を味わうことにする。こんな気持のいい朝、そして、横にはエルボーがいる。

竹芝方面に行く途中には、芝公園や旧芝離宮恩賜公園、浜離宮恩賜公園もある。

とりあえず、竹芝。『東京愛らんど』には島の名産品などが置いてあって面白い。

「今度、島とかも行ってみたいね。」
「いいね。島ってあんまり行ったことないから。」

そんな話をしながら、島の名産品を見ている。ああ。今日はずっと夢の中みたいだ。

海を見ながら風に当たるのも最高にいい!!!
海を見ながら風に当たるのも最高にいい!!!

今日はどこまででも行ける気がする!!!
「レインボーブリッジ遊歩道を渡ってみよう!!!」
オレは希望に満ちた声で言った。

行こう!!!

「私、今日の打ち合わせお台場の方だしちょうど良かった!私の予定も考えてくれてるんだね!」
「当たり前じゃん!」

得意気に答えた後、思い出した。

あれ?あれあれ?オレ、あれ???

……やべえこんな時間!!!

オレの予定、忘れたいなんて思ってたから、すっかり忘れてたっ!!!しかもここ、レインボーブリッジ遊歩道の途中じゃんっ!!!

今日は結構大事な仕事ー!!!果たしてオレはどうなるのかっ!!!

走れ!オレ!!間に合え!!

エルボーと一緒に必死に走るオレだが、この先“あんな出来事”が起こるとは、この時はまだ、夢にも思っていなかったのだ……!!!!

取材・文・撮影=大澤茂雄(宅建ダイナマイト)