吉祥寺の一角を明るく照らす電飾アート

初めて目にした時は驚きましたよ。駅南口の井の頭通り沿い、飲食店のネオンも少ない場所で巨大な電飾が煌々(こうこう)と光っているから。

こちらのビルは林修先生のCMでおなじみとなった東進ハイスクール本部。かなり唐突にも思えるが、目的は一体何なんだろう。気になり過ぎるので担当者に話を聞いてきた。

快く取材に応じてくれたのは、東進ハイスクールを運営する株式会社ナガセの広報部長、市村秀二さん。

「2008年に起きたリーマン・ショックが、世の中に暗い影を落としていた頃のことです。社長の永瀬が『皆さんの沈んだ気持ちを明るくしたい』と、本社屋の丸ごと電飾アートを発案。2009年の12月に始めて、以降、デザインを変えて毎年実施しています」

文字通り、吉祥寺の一角を明るく照らすという試み。あまりにも目立つため、通りを行き交う人々が立ち止まって見入るケースも多い。ちょっとした名所にもなっているのだ。

「当初は色数も少なく、かなりシンプルなデザインでしたが、2012年から一気にきらびやかになります。前年の東日本大震災を受けて、『街の人々の心に明かりを灯す』という思いが一層強くなったんです」

2012年のデザイン。セサミストリートのエルモが初めて登場。
2012年のデザイン。セサミストリートのエルモが初めて登場。
2014年。高校生という樹が枝を伸ばすという意匠。
2014年。高校生という樹が枝を伸ばすという意匠。

また、2012年からは毎回エルモが登場する。東進こども英語塾の教材にセサミストリートイングリッシュを取り入れたためだ。

余談だが、東進ハイスクールの本部が吉祥寺にあるのは原点が吉祥寺だからだという。

「社長が東京大学在学中から、この近辺に住んでいました。卒業後に前身となる『東京進学教室』を開設したのも、ここ吉祥寺でした。新宿にもビルを所有していますが、本社は吉祥寺から創業以来一度も動いていません」

2016年。ふわふわと浮かぶ風船に「TOSHIN」の文字。
2016年。ふわふわと浮かぶ風船に「TOSHIN」の文字。
最新の2021年バージョンは宇宙がモチーフ。電飾は毎年12月第1週から翌年2月末ごろまで。
最新の2021年バージョンは宇宙がモチーフ。電飾は毎年12月第1週から翌年2月末ごろまで。

電飾は3月5日に撤去された。次はどんなデザインになるのだろう。

いつ見るか? 今年の12月でしょ!

『株式会社ナガセ』詳細

1976年創業。東進ハイスクールの他に四谷大塚、早稲田塾、東進ビジネススクールなども運営。

●JR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅から徒歩5分。東京都武蔵野市吉祥寺南町1-29-2。☎0422-45-7011

取材・文=石原たきび 撮影=鈴木愛子 画像提供=ナガセ
『散歩の達人』2022年4月号より