オープンから3カ月でナカメ民の心をわしづかみに!?
毎日の食卓に欠かせないパン。せっかく食べるのなら体に優しくおいしいものをチョイスしたい。そんな願いを叶えてくれるのが、中目黒に出店した『ベーカリー&カフェ 沢村』である。
パン屋で「沢村」と聞いて、ピンと来た人はなかなかの食通。というのも『ベーカリー&レストラン 沢村』と言えば、軽井沢では知らない人はいないというほどのパンの名店。約30種類もの小麦からパンごとに最適なものを選び、自家製天然酵母を加え低温長時間熟成されるパンが人気を博し、都内にはこれで5店舗目の出店となる。
軽井沢の名店が都内屈指のオシャレタウンである中目黒へ出店――その意図について伺うと、店長の安達さんからこんな答えが返ってきた。
「軽井沢のお店では、地元や別荘にお住まいの常連様が、朝食や夕食のためにパンを買いに来られます。ここでも、そのように気軽に毎日お店に立ち寄っていただき、沢村のパンを長く愛して頂けたら嬉しいなと思っています」
実際、取材時は2021年6月のオープンから3カ月頃だったが、中目黒に住む人たちが朝食に食べるための食パンや仕事帰りに夕食のパンを買うというケースが目立ち、徐々に常連客が増えているという。中目黒の人たちの心を早くもつかみ始めていると言えるだろう。
毎日食べても飽きない、こだわりのパンたち
『ベーカリー&カフェ 沢村』のパンの特徴と言えば、その豊富な品揃え。常時40~50種類ほど焼きたてのパンが並び、コーヒーとの相性抜群なスイーツ類も20種類近くショーウィンドウに並べられる。
種類が豊富ゆえにどれを買うか迷ってしまうが、安達さんがオススメしてくれたのはパン・オ・ノア。お店自慢の自家製天然酵母を使用したくるみ入りのパンで、レーズン種を加えたことでほんのりとした甘みとくるみの香ばしさがより引き立つように。
やや硬めで食べ応えがあり、毎日でも食べ飽きないのが人気の秘訣になっている。1本サイズから1/2本928円、1/4本464円と値段のバリエーションも豊富なので手軽に購入しやすいというのも愛される秘訣と言えるだろう。
定番メニューのほかに季節限定の商品も並ぶのが『ベーカリー&カフェ 沢村』のいいところ。秋限定ということで注目したいのが「秋の味覚を詰め込みました!」と安達さんも胸を張るパン・オートンヌ。その形にピタリとハマるようにカボチャ、さつまいも、レーズン、オレンジピール、オーツ麦、白胡麻、アーモンドスライスを使用し、さらにパンにはメープルシロップ、ラム酒、シナモンらも練り込まれている。
秋の味覚であるカボチャやさつまいもはもちろん、秋ならではの食材のオンパレードをこのパンで楽しんでみるのも悪くはない。
ベーカリー&“カフェ”にした真の理由とは
さて、ここまで『ベーカリー&カフェ 沢村』のことを紹介してきたが、同社の人気店舗名と若干異なることにお気づきだろうか? 実はこのお店はレストランスタイルの店を運営してきた「沢村」では珍しいカフェスタイルのお店でもある。
パン同様に色とりどりのケーキやプリンなどショーウィンドウに並んでいて、どれを食べようか思わず迷ってしまうほど。さらに『沢村』はコーヒーもおいしいことでおなじみ。そこで今回は沢村ブレンドコーヒーと、コーヒーとも相性抜群のチョコチップとアーモンドのサクサクデニッシュをオーダーした。
「このお店はベーカリー&カフェにしたのですが、テイクアウトの需要が増えているということと住宅街に出店することを考えてのことなんです。レストランとして出すよりもカフェの方がしっくりくるし、テイクアウトで毎日のように来てもらえるのもいいなと思ったんです」と安達さんはカフェ業態をセレクトした理由をこう語ってくれた。
「私たちはなるべくお客様とコミュニケーションを取るように意識しています。お客様に私たちの顔を覚えていただけるくらいに寄り添って、いらっしゃるお客様のニーズに応えられる店づくりをしていきたいです」
安達さんが語る「ニーズに応えられる店づくり」。オープンからわずか3カ月ほどで常連客に愛され始めたこのお店なら十分実現可能に思えるし、都内屈指のオシャレタウン・中目黒の雰囲気にピッタリとマッチし始めているように映った。
構成=フリート 取材・文・撮影=福嶌 弘