オリオフィルムズ 小島さんに聞く ”おすすめホウ作品と見どころ”

オリオフィルムズ 小島さん。

例年新宿のミニシアター『ケイズシネマ』を起点に都市部で催されるプログラム「台湾巨匠傑作選」では、2020年デビュー40周年を迎えたことを記念して、今夏ホウ・シャオシェン監督を大特集。現在日本で上映可能な作品が観られる貴重なチャンスだ。
1980年代の台湾映画には、日本統治時代の建築や習慣、台湾に与えた日本の影響が随所に見られる。今回、「台湾巨匠傑作選」を手がける配給・オリオフィルムズの小島さんに、日本との共通点を見いだせるホウ作品のおすすめを聞いた。

日本人にも通ずるノスタルジー 『冬冬の夏休み』(1984) ©A MARBLE ROAD PRODUCTION, 1984 Taiwan

「田舎の祖父の家で過ごす少年のひと夏を描いた『冬冬(トントン)の夏休み』の舞台は、駅のホームや祖父宅の建築様式に昭和の日本を感じることができます。夏休みにおじいちゃんの家に行くというシチュエーションも、日台共通のノスタルジーがありますね」。ちなみに本作で登場する銅鑼(トンロウ)の街並みは今でも残されていて、ストリートビューでバーチャルロケ地巡りもできるそう。

80'S日本カルチャーも随所に 『ナイルの娘』(1987)。

日本のコミックに夢中な少女をとりまく青春群像劇『ナイルの娘』は、「80年代後半は台湾の若者に日本文化が流行。ヒロインの妹が日本のキャラクターグッズを持っていたり、バイト先のお店でJポップが流れていたりして、自然に日本文化が浸透していたことがうかがえます」。

デビュー第2作 『風が踊る』(1981) ©1982 Kam Sai (H.K.) Company / ©2018 Taiwan Film Institute. All rights reserved.

さらに今特集の目玉、デビュー第2作『風が踊る』も小島さんイチオシ。「当時台湾で人気のあったアイドルが起用されており、楽しい気持ちになれるラブストーリーです。女性の自立をテーマに描いた作品でもあり、今の時代こそぴったりな作品ですよ」。劇伴として多用される台湾の歌謡曲も、どこか昭和的なメロディーだとか。

劇場初公開の貴重なドキュメント 『HHH:侯孝賢』(1997) © AMIP-La Sept ARTE-INA-France 1997

また、台湾ニューシネマが世界に知れ渡るきっかけを作ったフランスの映画監督、オリヴィエ・アサイヤスとホウ監督が九份(ジォウフェン)や鳳山(フォンシャン)などゆかりのロケ地を旅するドキュメント『HHH :侯孝賢』も見逃せない。

映画の世界から台湾の置かれてきた歴史を垣間見れば、グルメや観光名所だけでなく、一歩踏み込んで台湾を理解することにつながる。観るたびに新しい発見があるホウ・シャオシェン作品に、この夏どっぷり浸ってみては。

限定パンフレット『侯孝賢 台湾映画地図』はファン必読の永久保存版だ。

台湾巨匠傑作選2021 『ホウ・シャオシェン大特集』 詳細

今も熱い 世界的映画監督の軌跡

台湾映画の魅力を伝える劇場プログラム「台湾巨匠傑作選」。今年は、2020年デビュー40周年を迎えた台湾映画の巨匠、ホウ・シャオシェン監督を大特集。『風櫃(フンクイ)の少年』などの名作から、オリヴィエ・アサイヤス監督による貴重なドキュメンタリー『HHH:侯孝賢』を一挙上映。今回の開催記念特別上映作品には『風が踊る』デジタルリマスター版、また4Kデジタルリマスター版 の『フラワーズ・オブ・シャンハイ』が今回劇場初上映となる。

『風櫃の少年』 © Central Motion Picture Corp.

首都圏では『アップリンク吉祥寺』にて7月15日まで、『横浜シネマリン』では7月3日から30日まで上映される。上映作品は事前にチェックしよう。
(掲載している情報は2021年6月9日現在のものです。)

●公式ウェブサイト https://taiwan-kyosho2021.com/

取材・文・撮影=吉岡百合子(編集部) 映画写真提供=オリオフィルムズ
『散歩の達人』2021年7月号より