現代美術ユニット・L PACK.がディレクションした日常と地続きのアート空間
MINAが生まれたのは、駅からほど近い渋谷三丁目。一大エンタテイメントシティにありながら、渋谷川のほとりで金王八幡宮に見守られ、古くから人々が生活を営んできたエリアでもある。MINAについて「アートと日常の間をフラットにする場所でありたい」と話す、現代美術ユニット・L PACK.(エルパック)の中嶋哲矢さん。今回のプロジェクトは東急株式会社が旗振り役となり、L PACK.がディレクターを務めている。
L PACK.は、小田桐奨さんと中嶋哲矢さんによる「まちを舞台にアートの日常化を目指す」現代美術ユニット。2人とも大学では建築を学んでいたが、「建物というよりは空間、場所を作りたいと考えるようになりました」と中嶋さん。MINAのコンセプトである「架空の物語」とは、訪れた人が自分の居場所を見つけやすくなる「関わりの余白」でもある。
「アートの捉え方は人それぞれでいいんです。特定の人だけが集まるのではなくて、誰でもふらっと訪れることができる場所にしたいです」
MINAをミュージアムだという人もいれば、居心地のいいカフェだという人もいるだろう。美術館のように真剣にアートと対峙するのもいいし、ただコーヒーを飲みたくて通っているうちに「ああそうか、あそこに飾ってあるのはアート作品だったのか」と少しずつ興味を持つのもいい。日常風景の一部として眺めると、美術館とはひと味違って見えるから新鮮だ。「アートの見方に正解も不正解もないんです」と中嶋さんは語る。
気軽に訪れ、アート作品に囲まれて過ごすカフェタイム
館内はまるごと展示室になっていて、アート作品が点在。年4回テーマが設けられ、展覧会が行われる。第1回は「広告性」と「公共性」を題材に、アートがメディアとして果たしうる役割を探る「公共性と広告性を再編集する/Re-editing the Narratives of the Public」を開催(2026年4月1日〜6月21日)。さらに、アーティストと一緒に屋外へくり出し、街の風景やパブリックアートに向き合うなど、体験型のラーニングプログラムも予定している。
また、展示室全体がカフェにもなっていて、併設のキッチンで料理やスイーツ、コーヒーを用意。アート作品のそばでゆっくり食事をすることができる。目の前にある作品について会話をしているうちに思わぬ方向に話題が展開する、というのもMINAならではの楽しみの一つ。心地良い時間を過ごしていると、アートと日常の境界線が少しずつ薄まっていく。
テーブルには、MINAが発行する季刊誌『COFFEE TABLE BOOK』を設置。注文した料理が届くまでの待ち時間や、コーヒーカップを片手に読むのにぴったりのミュージアムブックになっている。アートはもちろん、都市、渋谷の文化についても深堀り。
MINAはアートや飲食を切り口に、さまざまな方向に興味を広げてくれるスポットだ。
施設概要
Museum of Imaginary Narrative Arts[MINA(ミーナ)]
営業時間:11:00〜22:00
定休日:無
住所:東京都渋谷区渋谷3-7-1
アクセス:JR・私鉄・地下鉄渋谷駅から徒歩1分
入館料:無料(別途飲食代)
【問い合わせ先】
公式HP https://mina-shibuya.org/
取材・文=信藤舞子






