モガリで一年間の農作業を演じる

閑静な住宅地が広がる板橋区の徳丸・赤塚地域。昭和40年代に高島平にマンモス団地がつくられるまで、辺りは広大な水田地帯だった。そんな両地域に古くから伝わる「田遊び」とは、旧正月に一年間の稲作の様子を模擬的に演じて神様に奉納し、その年の五穀豊穣と子孫繁栄を願う「予祝」の行事。全国各地で田遊びは行われているが、徳丸北野神社と赤塚諏訪神社の田遊びは創始以来ほぼ完全な形で継承されていることから、1976年に「板橋の田遊び」として国の重要無形民俗文化財に指定された。

徳丸北野神社では、2月11日夜18時ごろから行われる。拝殿前に「モガリ」と呼ばれる舞台が設けられ、中央には田んぼに見立てた太鼓を据えて、「種まき」から「稲むら積み」までの一連の流れを太鼓の音に合わせた歌とともに演じていく。途中、稲の苗に見立てた「早乙女」役の子供たちを一人ずつ太鼓に乗せて胴上げするシーンがあり、苗の成熟と子供の成長を祈願する。徳丸北野神社の社伝によれば、この田遊びはおよそ1000年前に始まったと伝えられ、古くから形を変えずに行われているというから驚きだ。

神輿渡御やどんど焼きも行われる

一方、赤塚諏訪神社では2月13日夜19時ごろから行われる。田遊びで使用されるモガリは徳丸北野神社と基本的に同じだが、演じられる内容が異なる。赤塚諏訪神社の田遊びは「神輿渡御」から始まり、色紙が詰められた花籠を取り付けた槍の前で太鼓に合わせて獅子が舞う「獅子」が披露される。また境内では旧年中の災厄や不幸を焼き払い、新年の家内安全と子孫繁栄を祈る「お篝(かが)り」、つまりどんど焼きが行われる。モガリの外で行われる演目が多いのが赤塚諏訪神社の田遊びの特徴だ。

神社によってそれぞれ魅力が異なる「板橋の田遊び」。地域の人たちによって脈々と受け継がれている大切な神事だ。どちらも夜間に行われるので、見学の際は防寒対策をしっかりして出かけよう。

天狗が登場して舞を踊る、赤塚諏訪神社の田遊び。
天狗が登場して舞を踊る、赤塚諏訪神社の田遊び。

開催概要

「板橋の田遊び」

開催期間:2026年2月11日(水・祝)
開催時間: 18:00~2時間程度
会場:徳丸北野神社(東京都板橋区徳丸6-34-3)
アクセス:東武鉄道東上線東武練馬駅、地下鉄三田線高島平駅から徒歩20分

開催期間:2026年2月13日(金)
開催時間: 19:00~2時間程度
会場:赤塚諏訪神社(東京都板橋区大門11-1)
アクセス:地下鉄三田線新高島平駅から徒歩15分

【問い合わせ先】
板橋区生涯学習課文化財係☎03-3579-2636
URL:https://www.city.itabashi.tokyo.jp/bunka/bunkazi/bunkazai/1004839.html

 

取材・文=香取麻衣子 ※写真は板橋区教育委員会提供