最後の長編作品を通してゴダールの視点を体感

ジャン=リュック・ゴダール近影(C)Fabrice Aragno。
ジャン=リュック・ゴダール近影(C)Fabrice Aragno。

『勝手にしやがれ』や『気狂いピエロ』など、数々の作品を発表し、ヌーヴェル・ヴァーグの旗手としてその名を轟かせたフランスの映画監督ジャン=リュック・ゴダール(1930-2022)。

本展は、ジャン=リュック・ゴダール監督最後の長編作品であり、カンヌ映画祭でパルム・ドールを超越する賞として、映画祭史上初の「スペシャル・パルムドール」を受賞した『イメージの本』(2018年発表)を映像インスタレーションとして再構成したもの。

主催者は「1世紀以上にわたる歴史、戦争、宗教、芸術などの変遷を、過去のさまざまな映画の引用によってコラージュしたゴダールの映画『イメージの本』。これを映像インスタレーションとして再構成した本展では、映画上映の時系列的な束縛を打ち破り、視覚的、空間的にゴダールを体感できます。言わば、世界の観察者であったゴダールの思考の中に入り、ゴダールの目で世界を見て、自らを取り巻く世界を見つめることができる展覧会です」と見どころを語る。

映像や音の断片を通じて、彼の目で世界を見つめる、そんな稀有な体験が待っている。

ドイツ・ベルリンでの開催の様子 2022年。
ドイツ・ベルリンでの開催の様子 2022年。
会場となる王城ビル。撮影=荻原楽太郎。
会場となる王城ビル。撮影=荻原楽太郎。

後期ゴダールの右腕、ファブリス・アラーニョ氏がキュレーターを担当

アラーニョ氏とゴダール。
アラーニョ氏とゴダール。

これまでドイツ、スイスなどで会場の特徴を生かした展示が行われてきた同展は、ゴダールの右腕として活躍し、映画『イメージの本』のプロデューサーでもあるスイスの映画作家・ファブリス・アラーニョ氏がキュレーターを担当。アラーニョ氏は本展のコンセプトについて「『イメージの本』の編集室を拡大し、映画のなかの世界のように拡張させたもの。観客は自分で映画のプロセスを選択し、観客自身が時間のカーソルとなって、まるで森のような映画空間を散策できる」と語っている。

また、7月4日(金)から『銀座 蔦屋書店』『代官山 蔦屋書店』『京都 蔦屋書店』、7月12日(土)から『TSUTAYA BOOKSTORE 渋谷サクラステージ』、7月15日(火)から『六本木 蔦屋書店』で関連フェアが実施されるので注目したい。

ドイツ・ベルリンでの開催の様子 2022年。
ドイツ・ベルリンでの開催の様子 2022年。

開催概要

ジャン=リュック・ゴダール「感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について」展

開催日:2025年7月4日(木)~8月31日(日)
開催時間:12:00~20:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:無
会場:王城ビル(東京都新宿区歌舞伎町1-13-2)
アクセス:JR新宿駅から徒歩5分、西武鉄道新宿線西武新宿駅から徒歩5分
入場料:一般2200円、大学生1500円、中学・高校生・1000円、小学生以下無料、障がい者1500円

【問い合わせ先】
公式HP  https://godardtokyo.com/

 

取材・文=前田真紀 ※画像は主催者提供