貴重な資料で振り返る、東急電鉄と世田谷の街の100年今昔物語
世田谷区内を世田谷線、田園都市線、大井町線、目黒線が走り、世田谷区民にとって大切な暮らしの路線である東急電鉄各線と東急バス。
東急の鉄道事業は、多くが宅地開発と結びついており、草創期は洗足、大岡山、田園調布の開発、戦後は大規模な多摩地域の宅地開発へと結びついていった。
本展では、東急沿線に住んだ世田谷の美術家たちの仕事にも目を向け、絵画、彫刻から現代美術まで、総勢40人を超えるバラエティに富んだ表現を集結。また五島育英会、東急財団、「五島プラネタリウム」、『五島美術館』、『電車とバスの博物館』、「Bunkamura」などの社会的な事業も紹介し、多面的な街づくりに迫っていく。
それぞれが相まって、東京という大都市圏における生活基盤の整備にどのようにコミットしてきたのか。田園と人間生活が交わる住環境を醸成してきた東急と世田谷の“今”へとつながる物語が綴られていく。
『電車とバスの博物館』が全面協力! 多彩かつレアな鉄道・バス資料がずらり
本展の大きな見どころは、東急各線にまつわるさまざまな鉄道関係資料、またバス事業関係資料を一挙に紹介する点。『電車とバスの博物館』による全面協力によって実現したという。
鉄道とバスの車両模型にはじまり、昭和期の手描きの車両図面、歴代の記念乗車券の数々、また改札鋏や切符発券台など、レアな鉄道アイテムが次々と展示される。
さらに渋谷駅再開発工事で発見され話題となった旧玉川線の遺構レールや、田園調布のマンホール蓋といった実物資料、「五島プラネタリウム」や「多摩川スピードウェイ」に関する資料など、普段目にすることのできない貴重な資料群に目を奪われそうだ。鉄道やバスのファンのみならず、東急各線になじみの深い人にとっては懐かしい世界が広がっている。
そして、もうひとつ注目したいのがミュージアムグッズ。鉄道ファンならずとも、思わず手に取ってしまう東急グッズが多数展開されるので、こちらもお見逃しなく。
東急と街の歩みがよくわかるレクチャーを開催!
企画展のテーマを深堀りする、全4回に分けたレクチャーも開催される。いずれも『世田谷美術館』講堂にて開催、参加費無料。手話通訳付き。定員は当日先着140人(整理券は開始1時間前から講堂前にて配布)。
・レクチャー1「東急の歩みと世田谷」(仮)
開催日:2024年12月22日(日)
開催時間:14:00~15:30
講師:高嶋修一氏(青山学院大学教授)
・レクチャー2「東急の車両設計に携わって」
開催日:2025年1月11日(土)
開催時間:14:00~15:30
講師:荻原俊夫氏(東京急行電鉄車両部OB)
・レクチャー3「東急の街づくり」(仮)
開催日:1月13日(月・祝)
開催時間:11:00~12:30
講師:高橋俊之氏(東急株式会社取締役専務執行役員都市開発本部長)
・レクチャー4「なるほどなっとく、とうきゅうのひみつをさぐる!」
開催日:1月13日(月・祝)
開催時間:14:00~15:00
講師:竹内敏浩氏(東急100年史担当・鉄道子ども会会長)
※対象者は小学生とその保護者。
開催概要
「東急 暮らしと街の文化――100年の時を拓く」
開催期間:2024年11月30日(土)~2025年2月2日(日)
開催時間:10:00~18:00(入館は~17:30)
休館日:月(1月13日は開館)・12月29日(日)~1月3日(金)・1月14日(火)
会場:世田谷美術館(東京都世田谷区砧公園1-2)
アクセス:東急電鉄東急田園都市線用賀駅から徒歩17分または東急バス「美術館」行き終点下車歩3分。
入場料:一般1400円、大学生・専門学校生・高校生800円、65歳以上1200円、中学生・小学生500円。
※身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方500円、ただし小・中・高・大・専門学校生の障害者の方とその付添いの方(1名まで)無料。未就学児無料。
【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏ 050-5541-8600
公式HP https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00221
取材・文=前田真紀 画像提供=世田谷美術館