千嶋秩父
秘伝の味噌で煮込む深紅の肉
昭和28年創業の、秩父の郷土料理店。「昔は近所に芸妓さんの置屋があって、店にも呼んでいたのよ」と話す女将の千島よし江さん。昭和35年に同店に嫁いで以来、新橋の街とともに生きてきた。店内には馬刺、鹿刺、猪ベーコンなどのメニューがずらり。3種の味噌を合わせた特製スープでつくる猪鍋は、野性味たっぷりで体の芯まで温まる。肉は思いのほかクセがなく、噛むほど旨味がにじむ。秩父の地酒とともに、ゆっくり味わいたい。
『千嶋秩父』店舗詳細
炉とマタギ 歌舞伎町店
滋味あふれる“もてなし”鍋
「マタギたちが客人に振る舞う鍋です」と料理人の大滝智さん。鍋の中には、身の締まった土佐鴨、A5ランクの和歌山産天然猪、弾力あるエゾ鹿のスジ肉など、3種のジビエ肉が入る。さらに里芋、ゴボウ、たっぷりのキノコなど、冬の山菜で具だくさんに。それぞれの旨味が鍋の中で行き交い、食べるほどに味わいが深まってゆく。ジビエの栄養と、マタギのもてなしの心がギュッと詰まった寄せ鍋だ。締めは絶品スープを吸わせたきりたんぽで決まり!
『炉とマタギ 歌舞伎町店』店舗詳細
月島 まくら木
ヘルシー肉をさっぱりしゃぶしゃぶで
映画ポスターの飾られた内装の洋風居酒屋。鹿料理は、2008年ごろから裏メニューとして提供していた。使用するのは、肉質が硬くなる前の、北海道産の若いエゾシカのみ。肉の新鮮さゆえ楽しめる名物の鹿しゃぶは、1人前150gとたっぷり。高タンパクで低カロリー、さっぱりヘルシーな鹿肉は、えぞ鹿のたたき968円などでも味わえる。鹿肉のお供にはワインを。映画監督、コッポラ農場産のカリフォルニアワインは、ボトル4900円~とリーズナブル。
『月島 まくら木』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=稲葉美映子、今田 壮(風来堂)、本田直子 撮影=井上洋平、本野克佳