暮らしと共に進化してきた技術と工夫『容器文化ミュージアム』[大崎]

2012年開館。容器包装の歴史や技術を幅広く展示。
2012年開館。容器包装の歴史や技術を幅広く展示。

缶詰やビン、ペットボトルなど多種多様な包装容器を製造する東洋製罐(せいかん)グループの本社ビルにあるが、自社製品だけでなく、広く容器の文化を伝える展示になっている。壁面に掲示された「人と容器の物語」では、食品の腐敗防止に始まり、味や風味を損なわないための工夫、環境に配慮した素材の開発と、生活スタイルの変化と共に容器が進化してきたことがわかる。日ごろ手にするものが持ちやすかったり、開閉しやすくなっていたりする裏には、さまざまな試行錯誤があることに気づく。

容器包装には、中身を守り、使いやすく、商品情報を伝えるという3つの役割がある。
容器包装には、中身を守り、使いやすく、商品情報を伝えるという3つの役割がある。
「人と容器の物語」は見応えあり。缶詰の発明は画期的。
「人と容器の物語」は見応えあり。缶詰の発明は画期的。
「缶入りの牛乳はあるか?」などのクイズ形式のパネル展示も。
「缶入りの牛乳はあるか?」などのクイズ形式のパネル展示も。
1912年アメリカ製の自動製缶機がお出迎え!
1912年アメリカ製の自動製缶機がお出迎え!

こんな展示もあります

明治10年(1877)、北海道開拓使が日本で初めての缶詰工場を設置。当時製造されたサケ缶詰のラベル。
明治10年(1877)、北海道開拓使が日本で初めての缶詰工場を設置。当時製造されたサケ缶詰のラベル。

『容器文化ミュージアム』店舗詳細

住所:東京都品川区東五反田2-18-1 大崎フォレストビルディング1F/営業時間:9:00~17:00/定休日:土・日・祝(混雑時は入場制限の場合あり、緊急事態宣言下は休館)/アクセス:JR山手線・京浜東北線、東京高速鉄道りんかい線大崎駅から徒歩6分

「宅急便」という当たり前ができるまで『ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム』[品川]

ミュージアムは建物外周のスロープを活用した空間。
ミュージアムは建物外周のスロープを活用した空間。

「クロネコヤマトの宅急便」を生んだヤマトグループの創業は、大正8年(1919)。銀座で大和運輸としてトラック4台、従業員15名でスタートした。今では当たり前となった家庭から家庭へと荷物を送る「宅急便」だが、集荷と配送の仕組み、サイズ変更や時間指定などのサービスを確立していった道のりを知ることができる。セールスドライバーの制服の着用、ウォークスルー車(展示車両)への乗車など、体験コーナーも充実。身近な物流の仕組みを、改めて考える良い機会になるだろう。

宅急便を始めたのは1976年。手書きのチラシを配布した。
宅急便を始めたのは1976年。手書きのチラシを配布した。
2階にある『スワンカフェ』。運河を見下ろす心地よい空間。
2階にある『スワンカフェ』。運河を見下ろす心地よい空間。
スロープの上下はトラックが走る。
スロープの上下はトラックが走る。
歴代の制服を展示。一部の制服は着用もできます。
歴代の制服を展示。一部の制服は着用もできます。

こんな展示もあります

ネコマークのデザインのヒントとされている、ネコの絵。当時の広報担当者の娘さんの作。
ネコマークのデザインのヒントとされている、ネコの絵。当時の広報担当者の娘さんの作。

『ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム』店舗詳細

住所:東京都港区港南2-13-26 ヤマト港南ビル6F/営業時間:10:00~17:00(入館は~16:30)/定休日:月(祝の場合は開館し翌平日)/アクセス:JR・私鉄品川駅から徒歩10分

日本屈指の光学技術を目の当たりにする『ニコンミュージアム』[品川]

ニコン初の小型カメラ「ニコンI 型」から最新のミラーレスまで約500点を展示。
ニコン初の小型カメラ「ニコンI 型」から最新のミラーレスまで約500点を展示。

入館してまず目につくのは、円柱状の半透明の物体。「合成石英ガラスインゴット」という光学素材で、このガラスを削ってレンズを造る。さまざまな光学機器に活かされる光学素材の製造は、ニコンの源流と言えるものだ。館内には、歴代のカメラやレンズがずらりと並び、技術の変遷を見わたすことができる。シアターでは、Nikon Zシリーズで撮影した映像作品が上映されていて、ふらりと立ち寄っても楽しめるだろう。

全長約130㎝の合成石英ガラスインゴット。
全長約130㎝の合成石英ガラスインゴット。
試作機の数々。製品化までのプロセスがうかがえる。
試作機の数々。製品化までのプロセスがうかがえる。
魚眼、広角から超望遠など400点あまりのレンズが並ぶ。
魚眼、広角から超望遠など400点あまりのレンズが並ぶ。
顕微鏡や半導体露光装置、双眼鏡など、光学メーカーとして守備範囲は広い。
顕微鏡や半導体露光装置、双眼鏡など、光学メーカーとして守備範囲は広い。

こんなグッズもあります

栃木にあるグループ会社近くの老舗菓子店特製の羊羹10個入り1200円。10種の味が楽しめる。
栃木にあるグループ会社近くの老舗菓子店特製の羊羹10個入り1200円。10種の味が楽しめる。

『ニコンミュージアム』店舗詳細

住所:東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟2F/営業時間:10:00~17:00(入館は~16:30)/定休日:日・月・祝/アクセス:JR・私鉄品川駅から徒歩7分

物を運ぶ歴史は産業発展の歴史でもある『物流博物館』[品川]

地下1階のジオラマ。模型が動いたり、朝夜で光が変わったりなどの演出もある。
地下1階のジオラマ。模型が動いたり、朝夜で光が変わったりなどの演出もある。

かつて日本通運の本社内にあった通運史料室を前身として、現在地に1998年に開館。1階は江戸時代から昭和までの物流の歴史、地下1階には現代の物流産業をジオラマや映像を使って紹介している。なかでも、陸・海・空の物流ターミナルが一堂に会したジオラマは圧巻。鉄道やトラック、コンテナ船や貨物専用機と、多様な輸送手段があり、それらによって日々の生活が支えられているのだ。

江戸末期の品川宿の模型から展示が始まる。
江戸末期の品川宿の模型から展示が始まる。
慶長6年(1601)の東海道制定時の伝馬朱印状。宿馬の馬の利用法を示す。
慶長6年(1601)の東海道制定時の伝馬朱印状。宿馬の馬の利用法を示す。
陶磁器の荷造りは、江戸時代から1970年代まで藁を使っていた。
陶磁器の荷造りは、江戸時代から1970年代まで藁を使っていた。

こんな展示もあります

Amazonの物流センターで使われている商品を仕分けするためのロボット模型と商品棚。動画もある。
Amazonの物流センターで使われている商品を仕分けするためのロボット模型と商品棚。動画もある。

『物流博物館』店舗詳細

住所:東京都港区高輪4-7-15/営業時間:10:00~17:00(入館は~16:30)/定休日:月・第4火(祝の場合は開館し翌平日)/アクセス:JR・私鉄品川駅から徒歩7分

工夫を凝らした一点物の看板を鑑賞する『昭和ネオン高村看板ミュージアム』[新馬場]

木製の一枚板の看板は反りもない。大事に使われてきたことがうかがえる。
木製の一枚板の看板は反りもない。大事に使われてきたことがうかがえる。

大型屋上広告塔やLEDビジョン、各種サイン・看板を手がける昭和ネオンの本社内にある。3代目社長の故・高村五郎が収集してきた、江戸時代から昭和までの古看板がおよそ400点あり、そこから厳選した180点が公開されている。業種は薬屋、酒屋、日用雑貨屋と多岐にわたり、使われている書体や、文字の装飾の妙など、唯一無二のものばかり。時を経ても、古びることがない芸術だ。

3代目社長の高村五郎氏。昭和50年代から、看板の収集を始めたという。
3代目社長の高村五郎氏。昭和50年代から、看板の収集を始めたという。
文字の凹凸があるものも多い。
文字の凹凸があるものも多い。
昭和ネオンは、大正11年(1922)に高村看板店として創業。2006年にミュージアムを開館した。
昭和ネオンは、大正11年(1922)に高村看板店として創業。2006年にミュージアムを開館した。

こんな展示もあります

看板は四角いとは限らない。商品の形やマークだったりする。これは、腹痛の薬の看板。
看板は四角いとは限らない。商品の形やマークだったりする。これは、腹痛の薬の看板。

『昭和ネオン高村看板ミュージアム』店舗詳細

取材・文=屋敷直子 撮影=山出高士