台南発祥、日本初直営1号店

(写真提供=William Hsing)
(写真提供=William Hsing)

上の写真は現地の友人に撮ってもらったあちらの店の様子。

台北市内でやたら目に着くから発祥も台北と思ったら、遙か離れた台南の西門路にある路面店が第1号なのだそうな(1961年開業で現存)。マニアックな疑問にそう教えてくださったのが、日本直営店の店主・福原さん、生粋の台南っ子でいらっしゃる。

『天仁茗茶』は2020年2月にオープン。日本には「天仁茗茶」をかかげる店はすでに横浜中華街と神戸元町にある。しかし厳密には親戚筋が営む兄弟店なんだそうで、品揃えも少し異なり、商いは販売のみのスタイル。

今回オープンの『天仁茗茶』はティースタンド形式の日本初直営1号店。本格台湾茶を様々なスタイルのドリンクに仕立て、気軽に味わえる。

店は当初、原宿のいわゆるウラ原の奥の私道の先にあり、コロナの影響もあって、知る人ぞ知る状態になっていた。原宿は、流行りの品を手を変え品を変え売り出すにはもってこいだけど、老舗が昔ながらの看板商品をかかげて、どっしり腰をすえるとなるとベストとは言いがたいし。

そんなこともあってか2021年に大門に移転。地下鉄大門駅から徒歩数分、車道を跨いでそびえる立派な増上寺の表門を越えたすぐ右手、小ぶりな店舗がそれ。判りやすく、インスタ映えもよろしげなロケーションである。偶然ながら向かいはスターバックスで、通りを挟んで世の東西いずれの飲み物にもありつける仕様。

このあたりは台湾系企業が少なからずあったり、海外との取り引きある会社も多い。早くもご近所の事情通ビジネスマンが立ち寄っている。お客さまの年齢は原宿に比べると高め。落ちついた大人びた台湾ティーの店である。

店内はカフェ仕様。敷居は低く、ひとりでふらりと入り込める。テイクアウトがメインで、イートインのスペースも狭いながら設置。

おなじみのタピオカミルクティーも扱っているが、主役というわけではない。むしろ、老舗ならではの茶を用いた多彩な飲み物を試してみるといい。

香り高き台湾茶をじっくり味わおう

お茶好きであれば看板商品の台湾茶「913茶王」のストレートティーをまずは試してみていただきたい。ちなみに913という番号は茶葉の品番+焙煎の度合を示している。409とか10数種あって、913はその中のイチオシ。台湾中部の烏龍茶に西洋人参をミックスした、香り高き芳醇な味わいは、紙カップで頂くのが申し訳ないレベル。味わい深いコクにビックリである。

「913茶王」517円。
「913茶王」517円。

ミルクを加えたハニー菊花プアールティーラテもお薦めだ。プアール茶独特のクセのある風味はなく、それでいてミルクで割っても存在感を失わないパワフルな味わいにうなる。表面に浮かべた菊花の香りもいいアクセント。加えてもらえるシロップを「標準」の量でオーダーすると口当たりが丸くなって最初はいいと思う。

ハニー菊花プアールティーラテ693円。
ハニー菊花プアールティーラテ693円。

スイーツやスペシャリティコーヒーも

他にも現地店では出していない東方美人(紅茶のような甘さが魅力の台湾茶)を加えたしっとりシフォンケーキや、世界的評価を受けて注目されている台湾・阿里山産の高級豆を使ったアリサンコーヒーなども飲める。日本ではなかなか味わえない美味。フルーティかつ複雑な味わいをお試しあれ。

シフォンケーキ495円。
シフォンケーキ495円。
アリサンコーヒー605円。
アリサンコーヒー605円。

取材中、勢いであれやこれやと山のように頼んでしまったが、美味いと飲みきれるものですね。フルーツティー系も含めてハズレなし。

聞くところによると、今後様子を見て店数を増やしていく予定だとか。

流行に左右されぬ、台湾ドリンクの奥深い美味に触れる機会が増えることを、台湾好きとして願ってやまない。

住所:東京都港区芝公園1-7-14/営業時間:11:00〜18:00/定休日:無/アクセス:地下鉄大江戸線大門駅から徒歩2分

取材・文・撮影=奥谷道草