◆散歩コース◆
スタート
京急三崎口駅
駅から国道を右手に進み、最初の道を左折する。まっすぐ海岸のほうへ進む。
↓ 30分
黒崎の鼻
車止めのゲートを越えれば黒崎の鼻。来た道を戻り、再び国道へ出て左手に。
↓ 30分
矢作入口バス停
矢作入口バス停から左の道に入り、住宅地を抜けて行くと円徳寺。
↓ 25分
円徳寺
円徳寺の少し先に御経窟という岩窟。すぐ砂浜。海際を歩いて行くと岩礁帯になる。
↓ 35分
佃嵐崎
佃嵐崎から小さな栗谷浜漁港を過ぎて荒崎海岸を歩いて公園へ。
↓ 30分
荒崎公園
潮風の丘、夕日の丘を巡ってから海沿いの車道を進む。長井水産の直売所の先がバス停。
↓ 35分
ゴール
長井小学校バス停


体力度:★☆☆
歩行時間:3時間5分
歩行距離:約10km

アクセス:
[行き] 品川駅から京急本線で三崎口駅、約1時間10分。
[帰り] 長井小学校バス停から京急バスで三崎口駅、約20分。後は行きと同じ。
交通費: 2180円(往復)

この周辺には、太平洋戦争時、飛行場があった。それも2カ所も。ひとつは黒崎飛行場といい、今は三崎口駅から黒崎の鼻に行く途中の平らな大根畑。もうひとつは、今は親子で遊べる体験型公園のソレイユの丘で、ここは長井飛行場の一部だった。ただ二つの飛行場は、いずれも完成が1945年だったために使われることはなかったようだ。

畑が途切れた先に広がるのは、 三浦半島随一の絶景、黒崎の鼻

駅からさっそく農道へ入り、大根畑へ足を踏み入れた。さすが元飛行場。広く平べったい。どこまでも畑が続いているような風景。畑の先には富士山の先っちょが浮かんでいた。その方向へ、ひたすらまっすぐに進む。

黒崎の鼻。周辺は人の気配が少ないせいか、2010年のNHK大河ドラマ『龍馬伝』のロケ地にもなった。
黒崎の鼻。周辺は人の気配が少ないせいか、2010年のNHK大河ドラマ『龍馬伝』のロケ地にもなった。

畑が途切れると、車止めのゲートがある。それを越えると草藪の道に入る。進むと視界が開けた。黒崎の鼻だ。海原と空と。そして突き出た岩場。海から吹いてくる風が心地よい。

お忍びで皇族も何度か来ていたような話を、農作業をしていたおばさんに聞いた。気持ちがいいので随分のんびりしてしまった。

和田長浜海岸手前にある円徳寺にある御経窟という岩窟。日蓮の弟子の日範が3年間修行した岩窟。
和田長浜海岸手前にある円徳寺にある御経窟という岩窟。日蓮の弟子の日範が3年間修行した岩窟。

バス通りまでいったん戻ってから住宅地の中を抜けて円徳寺へ。御経窟という岩窟がある寺で、日蓮の弟子の日範が 3年間修行した場所だとか。

黒崎の鼻の北側の磯では地元のおばさんたちが何やら採っている。岩についた岩海苔だろうか。
黒崎の鼻の北側の磯では地元のおばさんたちが何やら採っている。岩についた岩海苔だろうか。

すぐ和田長浜海岸に出た。地元では「なはま」と呼んでいる。砂浜が佃嵐崎(つくだあらしざき)のほうまで、ず~っと伸びている。波打ち際では子供たちが遊んでいた。まだ5月だというのに海に入っている人もいる。砂浜から磯の海岸になると、バケツを持って何やら採取している人が何人もいる。目的は貝とみた。この佃嵐崎の北側がソレイユの丘で、飛行場があったところ。

波という芸術家が生み出した、 奇岩の数々に目を奪われる。

佃嵐崎の先の入り江部分に小さな栗谷浜漁港がある。港内には釣り人が多い。
佃嵐崎の先の入り江部分に小さな栗谷浜漁港がある。港内には釣り人が多い。

船が2、3艘係留されただけの小さな港、栗谷浜漁港に出た。ここを過ぎると荒崎海岸の突端にある弁天島も見えてきた。

まだ海底だった数千万年前に堆積した黒く固い凝灰岩と、白く柔らかい砂岩の層が浸食によって特異な景観を作っている。写真は荒崎海岸にある弁天島。
まだ海底だった数千万年前に堆積した黒く固い凝灰岩と、白く柔らかい砂岩の層が浸食によって特異な景観を作っている。写真は荒崎海岸にある弁天島。
荒崎海岸沿いにある十文字洞。海岸が浸食されてできた海蝕洞で、内部で十文字に交差する珍しい洞。現在は立ち入り禁止。
荒崎海岸沿いにある十文字洞。海岸が浸食されてできた海蝕洞で、内部で十文字に交差する珍しい洞。現在は立ち入り禁止。

途中に十文字洞という海蝕洞がある。現在は通れないので、覗くだけにして先端の弁天島から荒崎公園へ。

佃嵐崎の突端を過ぎたあたり。ここが荒崎海岸。干潮なので、かなり岩が露出していた。
佃嵐崎の突端を過ぎたあたり。ここが荒崎海岸。干潮なので、かなり岩が露出していた。

この公園は元は、長井城、荒崎城と呼ばれる鎌倉時代の城のあったところ。今は特に城の遺構などはないが、近くの潮風の丘にある展望台からの眺めは素晴らしい。しかし、こうして歩いていると、なんと城や山城が多いことか。

公園を抜けて漆山湾にある店に入って海の幸でお腹を満たした。三浦半島は三浦大根と魚と変化に富んだ海岸線。また来たくなるところだ。

さんぽMEMO
三浦大根が手に入るのは、秋の後半から2月頃まで。煮ものにいいが、 塩漬けにしても食感がよく旨いそうだ。三浦大根は美味しいのだが、買って帰るのには、ちょっと大きすぎて重いのが難点だ。
アドバイス
海岸沿いのコースなので、天候が荒れているときや、満潮時は十分注意したい。というより戻ったほうがいいかもしれない。風が強ければ波しぶきをかぶるので雨具を持っていこう。岩場なので滑りにくい靴で。
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長井水産 直売センター

隣の長井漁港から水揚げされた新鮮魚介

長井漁港に隣接している直売所。漁港から水揚げされた新鮮な魚介類を販売している。鮮魚、冷凍魚介、水産加工品など。とにかく新鮮で価格も安いので、魚好きはぜひ寄りたい。土・日・祝日は店頭で、つみれ汁なども食べられる。

●8:30~16:30、火休。長井小学校バス停から徒歩1分。☎046-858-1020

 

あらさき亭

近くの漆山湾で獲れた新鮮魚介を

漆山湾そばにあるフランス料理店風な店構えだが、れっきとした魚料理店。50年も営業している老舗で、漆山湾に揚がった新鮮魚介を提供している。まさに旬を味わえる。メニューが選べるランチは2200円。

●11:00~14:30、火・水休。漆山バス停すぐ。 ☎046-856-2402

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 首都圏日帰りさんぽ』より