料理看板に誘われる気さくな食堂

1階は中央に4人掛けのテーブル席が1卓、左右にカウンター席という変則的な造り。
1階は中央に4人掛けのテーブル席が1卓、左右にカウンター席という変則的な造り。

蒲田駅前の蒲田東口商店街ぽぷらーどから路地に入り、呑川(のみかわ)に向かって緩やかな坂を下って行くと、緑色の地色に赤い文字の看板を掲げた店が目に止まる。店頭には料理写真付きメニューが掲示され、食堂の名にふさわしい気さくな雰囲気がある。かつては駅前に店があり、その頃から数えれば2020年で創業65年ほどになるという老舗だ。

1階の壁面を埋め尽くすメニュー。
1階の壁面を埋め尽くすメニュー。

格安ランチと激辛の陳麻婆豆腐

「担々麺やサンマー麺だけでも700円しますから、ランチセットは絶対お得です」とスタッフの並木俊男さんが教えてくれた。
「担々麺やサンマー麺だけでも700円しますから、ランチセットは絶対お得です」とスタッフの並木俊男さんが教えてくれた。

メニューを開くと、「お粥・スープ」「野菜、豆腐、玉子」「海鮮」「麺類」「飯類」「点心」と分かれている。この中で目に止まったのが、「本日麺・半チャーハンセット」と名付けられたランチセット。ラーメンと半炒飯、担々麺と半炒飯各780円、サンマー麺と半炒飯、鶏肉そばと半炒飯各800円など8種類がある。どれもボリューム満点の上、サラダ・コーヒー付きという格安メニューだ。

一度食べたらクセになる陳麻婆豆腐1180円。辛い料理が好きな人には、ぜひ味わってほしい逸品だ。
一度食べたらクセになる陳麻婆豆腐1180円。辛い料理が好きな人には、ぜひ味わってほしい逸品だ。

おすすめの料理を伺ったら、「よく出るのは陳麻婆豆腐かな……」とのこと。通常の麻婆豆腐は絹ごし豆腐と豚挽肉を使うが、陳麻婆豆腐は木綿豆腐と牛挽肉を使う。調理には、豆豉(とうち)、朝天(ちょうてん)唐辛子、山椒、ニンニクなどの香辛料のほか、陳麻婆豆腐の生みの親である料理の鉄人・陳建一さんが考案した陳豆板醤などが入る激辛料理だ。通常のものよりも色が濃く、山椒が強く、ピリ辛度も高い。

中華居酒屋として利用するのもおすすめ

2階にはテーブル席と個室があり、グループでの利用はこちらになる。
2階にはテーブル席と個室があり、グループでの利用はこちらになる。

焼き餃子5個480円や水餃子8個480円、カニシューマイ4個500円など、気軽に注文できる点心をつまみに酒を楽しむ客も多い。ビール、日本酒、焼酎、紹興酒、ホッピーなど酒の種類も豊富に揃うので、夜は居酒屋としての利用価値大だ。

仲間と会食するならコースがおすすめ。ちなみに料理10品付き1980円のコースは、冷菜盛り合わせ、海老のチリソース、ユーリンチー、プリプリの海老揚げ餃子、豆苗炒め、マーボー豆腐、シュウマイ、炒飯、コーンスープ、デザート付きという豪華版。飲み放題付きのプラン1人3980円もある。

料理のおいしさはもちろん、品数の豊富さと価格の安さからにじみ出る大衆的な雰囲気。それが、この店が愛される秘訣なのかもしれない。

住所:東京都大田区蒲田5-3-4/営業時間:11:30~22:30LO/定休日:なし/アクセス:JR・私鉄蒲田駅から徒歩3分

取材・文・撮影=塙 広明