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profile:湯沢祐介(ゆざわ ゆうすけ)
1980年東京都生まれ。
月に500匹以上のペット撮影を手がける。
七色の声を使い分けてわんちゃんの気を引き、猫じゃらしで猫を操りながら撮影するペトグラファー。
その巧みな猫じゃらしさばきから「猫じゃらしの魔術師」の異名を持つ。
写真教室講師、原稿執筆、テレビ出演、レンタルフォト撮影など多岐にわたる活動をしている。著書多数。

ズームレンズと単焦点レンズ

そもそもレンズにはズームレンズと単焦点レンズというものがあります。

ズームレンズとはその名の通りズームが出来るレンズ。例えば24㎜-70㎜のズームレンズは24㎜-70㎜の間の好きな焦点距離で撮影できるレンズです。

単焦点レンズは焦点距離が決まっているレンズ。大きく撮りたければ自分が近付き、小さく写すなら離れて撮るレンズです。

それぞれメリットがあるので自分の好みに合わせて使い分けると良いでしょう。

よく使うレンズその① 望遠ズームレンズ

ペット撮影で重宝するのがこの望遠ズームレンズ。私が愛用しているのは70㎜-200㎜ F2.8のズームレンズです。

お花畑や走っているシーンを撮る時にはこのレンズが最適です。望遠レンズは狭い範囲を切り取るので余計なものを入れ込まずに撮影することができます。人の多い場所でも切り取り方次第で被写体だけを画面に捉える事が可能です。さらに望遠で撮る事でボケ味が強くなり、ペットの可愛さを引き立てるふんわり感が増します。

また望遠レンズの特徴として「圧縮効果」というものがあります。これは遠くにあるものをギュッと手前に引き寄せて遠近感をなくす効果で、実際にはスカスカなお花畑も望遠端で撮る事で花と花の距離が縮まり隙間のないお花畑に見えるのです。

圧縮効果により花が密集して見える。
圧縮効果により花が密集して見える。

走っているシーンを撮る時も離れた場所から被写体を大きく写す事ができ、背景も狭い範囲しか写らないのでスッキリとした写真に仕上がります。

狭い範囲を切り取り余計な物は写さない。
狭い範囲を切り取り余計な物は写さない。

よく使うレンズその② 標準ズームレンズ

私が良く使うレンズその②は、24㎜-70㎜のレンズ。望遠レンズに比べて写る範囲が広いのが特徴です。

こちらのレンズは背景を多く入れたい時によく使用します。

広範囲が写るので人が多い場所で撮影すると背景に人が写り込んでしまうので注意が必要です。

綺麗な背景や青空を多く入れたい時は広角側で撮ろう。
綺麗な背景や青空を多く入れたい時は広角側で撮ろう。

また望遠レンズに比べて最短撮影距離が短いので、猫じゃらしなどを使って1人で撮影する際にはこの標準ズームレンズを使います。

よく使うレンズその③ 単焦点レンズ

焦点距離が固定されているので画角を変えるためには自分が動く必要があります。不便なように思えますがズームレンズに比べると描写力が高く、絞りの開放値が小さくボケ味もとてもきれいです。

私が単焦点レンズを使う理由はこの描写力の高さです。

50mm F1.4で撮影。
50mm F1.4で撮影。

ズームレンズに比べてシンプルな構造である単焦点レンズは開放値がF1.8やF1.4と小さく、たくさんの光を取り込む事ができるため「明るいレンズ」と言われています。室内撮影の時は光が足りない場合が多々あります。そんな時でも明るい単焦点レンズならF値を小さくしてズームレンズよりも多くの光を取り込む事でISO感度を低く設定できます。

ボケ味が程よく、明るく撮れて、ぱっと見た時にもきれいなところが単焦点レンズの大きなメリットです。

私がよく使うのは50㎜と85㎜。撮りたい画角やその場の状況に合わせてレンズを選びましょう。

85mm F2.2で撮影。
85mm F2.2で撮影。

ちなみにスマホのレンズは焦点距離が固定の単焦点レンズです。ズームもできますが画像を無理やり大きく引き延ばしているデジタルズームなので画質が劣化します。

超広角、広角、望遠の3つのレンズを搭載している事が多く、焦点距離は機種によって異なります。レンズによって画素数が違う機種もあるようなので注意が必要です。

カメラでもスマホでも撮りたい画に合わせてレンズを選ぶのは同じこと。撮りたいイメージを頭で描く事が写真をうまく撮る一つのポイントになります。

カメラを使い始めたばかりで、「そんなにたくさんレンズを買えない! 」という方は、まずはカメラを購入した時にセットで付いているキットレンズを使ってみましょう。ペット撮影では自分が動かずに焦点距離を変えられるズームレンズが特におすすめです。上達して物足りなさを感じてきたら、単焦点レンズを買い足してみるのもいいでしょう。

レンズを使い分けてより充実したペット写真を楽しみましょう。

文・写真=湯沢祐介